letter
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
生まれた瞬間の記憶なんて在る訳がない。
だから、いつから“それ”を思い出したのかなど 分からない。
でも、漠然と 覚えているのは
着物を着た女の人を初めて見た時の、体を貫くような感覚。
あの時、だ。
優しくて切ない、古の“約束”を取り戻したのは。
父親の仕事の関係上、転居が多かったのは幸いだった。
子供の身で日本各地を廻るには、それが一番都合の良いことだったから。
行く先々で、色んな人に出会った。
色んな過去と、向き合った。
そして、“今”を一層 愛おしく思うようになった。
不安になったら、空を眺めた。
二人で誓いを掛けた この空を。
繋がってる。
繋がっているんだ。
そう自分に言い聞かせて、また前に進んだ。
「お前は引っ越しになる度に嬉しそうな顔をするね」
「そうかな?」
‥なんて、親に図星を突かれた事もある。
嬉しいのは本当だ。
“彼女”にまた一歩近付ける気がしたから。
+