終わらない夜
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あと二十歩
十五‥
十‥
五‥ 四‥ 三‥ 二‥ 一‥‥
襖を 開ける。
「沖田さん!!」
息が上がって 苦しい。
額には汗が光っていて、きっと髪は乱れているのだろう。
だけど、そんな事今はどうだっていい。形振りなんて どうでも良い。
「春華さん‥!」
「!! 沖田さん、血が‥っ」
羽織が 血だらけだ。それに 口元にまで‥
「‥全部返り血ですよ」
「――‥それだけじゃないでしょう‥?」
「‥‥」
沖田さんは何も答えなかった。
「‥‥取り敢えず拭って、横になりましょう? 今薬湯をお持ちします」
薬湯を注ぎに行くと、湯呑みの横に 例の薬らしきものが置かれているのを見つけた。
「‥‥何で戻って来たんですか」
「‥‥」
「こんな‥所に‥」
そんな事、決まっている。
「――沖田さんを 愛してるからですよ」
そう。
例え、次の瞬間 部屋の入り口に 鎌を携えた大男を見ても、である。
「「っ!!!!?」」
沖田さんも同時に気付き、刀を掴んで対峙した。
動きが速くて 私の目はついて行けない。
「っ‥!!」
〔――‥始末。中から‥壊す――〕
訳の分からない事を、大男は呟き続ける。
患っているのが嘘のように、沖田さんは刀を振るった。
鮮やかな刀捌きに、私は瞬きをすることも忘れた。
しかし、瞬間、嫌な音がした。
「っ‥‥ひゅ‥」
形勢が上手だった沖田さんの様子が 豹変した。
「っ‥!!? ひゅッ‥ ぐっ‥」
いけない
「ゴホッ‥ゴホォッ かはっ‥」
沖田さんの掌に 朱 が広がった。
今の沖田さんに、刀を握る 力は無い。
「 !!」
私の叫びは、言葉にならなかっただろう。
大男の鎌の描く軌跡を、見た
ただ、私は必死で
瞳に映ったのは、沖田さんの白い顔
唯一感じたのは
背中に受ける 熱い 感覚。
「春華さぁぁぁあぁあん!!!!!」
背中 が 熱 い
私の夜は もう明けないと言うなら
せめても
彼の夜が明けん事を
彼に“明日”が
必ず訪れん事を
この
全身全霊で 願う
《終わらない夜》-終