終わらない夜
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嗅ぎ慣れたこの 鉄の匂いと、見慣れた 赤の色。
生暖かいその赤が、自分の頬 腕 脚に飛び散り、目の前の障害物は倒れる。
「ひィィィィッ 来るぅう!!」
「沖田総司だろアレ」
「テメェ‥ 死に損ないの分際でェ!!」
五月蝿い。
黙れ。
「ゴホッ ゴホッ ケホ‥コホッ ゴホ‥」
ああ、何故だろう。
私の内からも 赤が出てくるではないか。
嫌だな。
「バっ化物!! 逃げろォ!!」
障害物が逃げていく。
逃がしちゃいけない。
追い掛けなければ。
そう思っていたら、柱の影から誰かがフラっと現れた。
‥山崎さんだ
――ヒュッ‥
――トトトッ‥
障害物が 全て倒れた。
「‥‥」
――ひた‥ ひた‥
「沖田さん」
外から 怒声と悲鳴、金属音が聞こえた。
そして 彼女の声も。
「沖田さん」
「‥‥‥」
行かなくては。
「いけません。」
なのに、何故邪魔をする。
「‥離して下さい。」
「いけません。部屋にお戻り下さい。」
何を言っているのだ。
「放しなさい。」
彼女はもうすぐそこに居るのに。
「そんな体で何をするつもりですか」
「‥‥‥」
この汚い世界から 彼女を逃れさせないと‥
「放しなさい」
私を 行かせて下さい。
「放せ 放せ‥‥!!」
――とすっ‥
首筋に微かな痛みを感じるのと共に、体から力が抜ける。
薄れてく意識の中で 山崎さんの声を聞いた。
「貴方はもっと 自分の価値を認識すべきや。」
自分の価値など 知らない。
「貴方には一日でも長う 息してて貰わな困るんや‥‥」
彼女が居なければ 意味がない‥――
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