そして紅い月
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「‥‥しかしなァ 歳。俺ぁ情けないよ」
「近藤さん‥」
「三顧の礼とは言わんが 江戸まで出向いて頭を下げて。共に幕府を護り 京の治安を回復し、新撰組を盛り立てて行こうと誓った仲だ。
‥その相手に」
慶応三年十一月十八日
「暗殺を企てられるとはな‥‥」
京の均衡が 破られる
「‥情けねぇと思うなら その面上げて一声言やぁいい。伊東は御陵衛士の頭、あんたはこの新撰組の頭だ。」
「‥分かっとるさ。
幹部の皆を集めてくれ。“けじめ”はつける。」
歯車は止まらない
「歳‥、春華はどうするんだ。此処に居ては‥」
「‥‥総司の奴がちゃんとやる」
「――‥そうか‥‥」
ただ 転がるように
「‥しかしなぁ 歳。俺達ぁどうして‥」
歯車は回り続ける
「こういう終わらせ方しか出来ないのかなぁ」
事態は急速に
「ゴホォッ ゴホゴホッ ケホ‥ゴホッ コフッコフッ」
まさかここまで厄日になろうとは‥
「ゴホッ ゴプ‥‥ッ ゴホゴホ‥」
「沖田さん!! しっかり‥ っ!!」
山崎さんが薬湯を持って駆け寄ってくれるけれど、もう 遅い。
己の手のひらに舞う鮮血を見て、我知らず体が震えた。
「――‥ あーあ‥。出ちゃった‥‥」
その“時”が刻一刻と 近付いてくる。
「――‥ただ今白湯を‥」
「山崎さん」
歯車の軋む音が聞こえる
「私はまだ大丈夫ですから。今日はお部屋へお戻りなさい」
「いえ そうはいきません。私は医者なので」
「――だからですよ。貴方は医務室で待機していて下さい。‥今夜はきっと‥」
それでも歯車は止まらない
「ケガ人が沢山出るから」
「――‥‥ホンマ嫌な日や」
今日はきっと 赤い月が昇るのだろう。
「内も外も 血の匂いがしよる。」
「春華さんを呼んで下さい。山崎さん」
「‥‥はい」
「はは‥ 呈の良い理由が出来ました‥――」
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