そして紅い月
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
全てが悪い方向に向かおうとしていた。
「‥ごふっ ごほっ‥ごほっ」
「沖田さん!」
咳が止まらない。
酷く苦しそうな表情に、私が耐えきれなくなってしまいそう。
それでも沖田さんは、大丈夫、と言う。
「ゴホ‥っ ‥大‥丈夫‥」
こんな状況に置かれても尚、私の事を気遣う。
「‥ほら、貴女は笑っていて下さい。‥少しでも 私が自然と笑えるように」
苦しんでいる本人にこんな事を言わせてどうするんだ。
そう自分に叱咤して、私は少しでも笑顔でいられるように努力をした。
笑顔を作るんじゃない。
笑顔になれるような“環境”を作ればいい。
そう思ったら 少しだけ心にゆとりが生まれた。
「うん、やっぱり春華さんの笑顔は綺麗ですよね」
「いやいや、沖田さんの足下にも及びませんよ」
貴方の笑顔には、強さをも備わっているから。
そんな笑顔に私は 心惹かれたから。
「‥‥‥好き‥」
「え? 今何て言いました?」
「‥‥」
「春華さーん?」
「‥‥今完璧聞こえてたでしょ、沖田さん」
「あ、ばれました?」
この全ての瞬間を 大切にしよう
例え いつか笑えなくなったとしても
今 笑える
生きる事に後悔はしたくないから
今を 大切に生きよう
貴方と 今を
「そうだ。白湯、淹れ直してきますね」
「ありがとうございます」
そう言って湯呑みを持って立ち上がると、木鈴がカランと鳴った。
+