解けぬ約束
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「‥沖田さん」
嫌だ。
嫌だ。
嫌‥‥だ‥――――
私は、泣かない。
泣かないと 決めた。
「‥‥ねぇ、沖田さん。明るい事‥考えましょうよ」
私は貴方に添い遂げると決めたから。
支えになると 決めたから。
「明るい事‥?」
「ええ」
この地球が、光の星・太陽の周りを幾度も幾度も回るのを二人で感じて
「私達がちゃんと年寄りになって、天寿を全うして‥。平和な時代に転生するんです」
今の貴方に、私の言葉は、想いは 願いは、届いているのだろうか。
「それで、また‥一緒に‥」
私が思い描いている“未来”の形を、貴方も一緒に願ってくれるだろうか。
「‥‥春華さんは‥、何になりたいですか?」
「へ?」
「生まれ変わったら」
それは弱々しいけれど、いつもの笑顔だった。
「私ですかー?」
出来得る限り、明るく装った。
嘘を吐くのが苦手な私の 精一杯の強がり。
「猫、ですかね」
「猫?」
「ええ。それで、自由に生きるんです。何にも縛られずに、新しい時代を」
「自由に‥」
「そう」
だから沖田さんも猫になって下さいね、とふざけて言うと、沖田さんは優しく笑った。
「人間じゃなくて良いんですか?」
「人間はもう今やってますから。色んな命を生きてから もう一度人間になっても‥遅くないでしょう?」
あはは、と沖田さんは笑った。
「黒猫がいいかな」
「黒猫!?」
「? 格好良くないですか?黒猫」
「いやぁ、私は黒猫には嫌われる質でして」
そう言って沖田さんは苦笑した。
「それなら、私が最初に愛してあげますよ」
そんな恥ずかしい台詞を、何でもないようなフリをして 悪戯っぽく笑って言ってみせると、沖田さんは私を抱き締めた。
「‥死んじゃ駄目ですよ‥春華さん」
「‥‥‥沖田さんの病気は治りますから、そんな約束は無効ですよ」
手に込める力が、互いに強くなる。
想いの分だけ、強くなる。
「約束‥して下さいよ」
「沖田さん‥」
『生きると、約束して‥』
そう耳元で呟かれた。
「‥‥じゃあ、沖田さんも‥約束して」
「‥‥」
「命在る限り 生き続けて、絶対に来世で再び廻り逢うと‥」
我が儘な私の、最大級の我が儘。
私の、たった一つの 最大級の願い。
叶えてくれますか‥―――?
私達は、何も言わなかった。
言葉にすれば、嘘になってしまう気がして。
お互いに体を離すと 不意に瞳が合って。
自然と、唇が重なった。
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