解けぬ約束
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「星になるぐらいなら‥私は空になりたい」
「空、ですか?」
「ええ」
風になり、雨になり。
いつでもすぐ傍にいる。
「‥ふふ、春華さんらしいですね」
「そうですか?」
「ええ」
そう言って沖田さんは空を見上げた。
その消え入ってしまいそうな横顔に、吸い込まれそうになった。
「‥それなら私も安心して‥―――」
それに続くだろう言葉を恐れて。私は沖田さんの名を呼んだ。
「沖田さん‥」
「‥‥‥ああ‥、ご免なさい。
‥‥でもね、もう一つだけ‥確認させてくれますか?」
「‥‥」
気持ちが思い切り下降しているのだ。
それが目に見えていて、苦しくなる。
「ねぇ春華さん。‥『転生』って‥‥あると思いますか?」
「え‥‥?」
――転生‥――――
仏が説く 輪廻の法則とか、何処かの偉い誰かが唱えた生まれ変わりの説なんて‥どうでもいいんだ。
“今”生きている私達が願う、切望する、一つの“未来”の形。
「‥‥私は‥信じてます」
そう沖田さんの瞳を見て告げると、私を映したその瞳の奥に 確かな光が宿った気がした。
「‥ふふ。私も、ですよ」
決して自ら運命を絶たず、天寿を全うすれば、来世で きっとまた‥―――
「ねぇ、春華さん。‥もし私が先に逝ったとしても、死んだりなんかしちゃ駄目ですよ」
「!! 沖田さん!!!」
その言葉だけは、貴方の口から聞きたくなかった。そんな話、聞きたくない。のに。
「最近ね、寝入る時‥‥どうしようもない不安に襲われるんですよ」
「‥‥」
強い沖田さんの口から発せられた、『不安』という言葉。
それだけで、どれだけ沖田さんが追い詰められているのかが分かる。
身が裂かれるように‥痛かった。
「死は怖くない。それを受け入れた上で刀を取り、隣り合わせで生きてきたから。
‥‥けれど」
沖田さんは、目を伏せて 苦しそうに続けた。
「‥貴女を独りにする事だけは‥耐えられない」
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