開花の時を告げる花
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「...Was it OK? 春華.」
マリアは心配げに私の顔を見上げてきた。
「...Never mind...」
そう、大丈夫‥。
私とマリアは、京の外れにある小さな茶店に辿り着いた。
「あの‥」
店番をしている青年に声を掛ける。
「今日は坂本さん‥いらしてますか?」
『坂本』という言葉に敏感に反応した男は、あからさまに怪訝そうな顔をした。
「あんた、名は?」
坂本さんの名前を出すのはまずかったか。
「あれ?君‥」
どう説明をしようかと考えていると、後ろから声がした。
振り返ってみると、見知った顔。
「店主さん!」
「ああ、やっぱりそうだ。春華、だね?」
「はい。お久しぶりです」
店主は店番の青年に「大丈夫だから」という意味合いで 手払いをして下がらせた。
「坂本さんなら、最近いらしてないよ」
「え‥?」
「連絡もぷっつりだ」
昼間に感じた、あの不安感と喪失感。
此処で坂本さんの顔を見れたなら、一気に晴れてくれると思った‥‥のに。
嫌な思案だけが残ってしまった。
「あぁ、でも今日は勝さんがいらしてるよ」
「勝さん?」
「ああ。勝海舟さん」
へぇー、海舟さんが。
って
「えぇ!!?」
「勝さん、相内春華が見えました。お通ししていいですか?」
「春華!!?」
余程驚いたのか、中で何かがひっくり返る音がした。
遅れて、構わん 通せ。という声が返ってきて、店主は襖を開けた。
「‥‥‥本当に春華じゃねぇか‥」
「えぇ、お久しぶりです、勝さん」
「お前達が留学する時以来だから‥四・五年振りか」
中に入れという手招きに従って、対面に座った。
「その件では大変お世話になりました」
「いや、度々送られてくるお前の親父の資料は、大層日本の医療の力になってるらしいぞ」
ありがとうございます、と私が言うと、勝さんはその小柄な体を乗り出してマリアの方を見た。
「‥で、今日はどうしたんだ」
「あ‥えっと‥」
勝さんなら大丈夫だ。
そう思った。
「本当は坂本さんを訪ねに来たんですけど‥」
私はマリアのことを全て勝さんに話す事にした。
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