開花の時を告げる花
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
二人黙って歩いていると、何か騒がしい声が聞こえてきた。
「? 何か騒がしいですね」
「何でしょう‥人だかりが」
次いで、耳障りな声も聞こえてきた。
『―――んで‥――おま‥――』
私と沖田さんはその騒ぎが気になって様子を窺うことにした。
人だかりに近付くにつれ、はっきりと聞こえてくる物騒な声。
「――何でこんな――にお前みたいな‥―――」
「この異人が!!!」
異人‥?
「春華さん、あれ!!」
沖田さんの指差した先には、よく沖田さんが遊んであげている子供達がいた。
さらによく見ると、子供達が 嫌な風の男達に絡まれているようだった。
「沖田さん!」
「えぇ」
「なぁに庇い立てしちょるかこの童!!」
「うるさいやおっさん!!」
「っ‥んだと こらぁ!!」
男達の拳が男の子に振り上げられた。
――‥バシッ
「っ!?」
「感心しませんねぇ、乱暴は」
間一髪の所で沖田さんの助けが入った。
「なんだこの女ぁ!!」
「いやいや、よく見ましょ。普通に男ですよ‥」
男はそんな沖田さんの態度が気に喰わなかったのか、お仲間三人に声を上げた。
「やっちまえ!!」
と、同時にその男は沖田さんに殴りかかった。
「でしゃばりな優男が!!」
「うーん、優男ですかねぇ 私」
男とやり合いながら本気で悩んでいる様子の沖田さんを見て、思わず笑ってしまった。
「よし、褒め言葉の方の意味で頂いておきましょう」
ああ、『容姿が上品』とかそういう意味もありますからね。
とか思っていたら、もう一人目は既に伸されていた。
「っこの餓鬼ぃ!!」
「へ?」
沖田さんが振り返ると、二人目の男が刀を抜こうとしていた。
「‥武士の命は仕舞っておきなさいな」
「うがっ‥」
刀を足で収めさせるのと同時に、鳩尾に一蹴が入った。
「痛ぇっ!」
三人目の男が腕を押さえて叫ぶのが見えた。男に捕まっていた子供が、その腕に噛み付いて 自力で脱出したのだ。
「おいで!」
逃げ出した子供を私の後ろに収め、庇うようにした。
沖田さんの方を見遣ると、四人目との勝敗も決していた。
「さ、これで済ん‥」
瞬間、私の視界に影が掛かった。
男の 影。
「こんのやろう!!」
やられる。
そう思った私は、子供達を庇って 目を強く瞑った。
――ドガッ‥
鈍い音がして、そっと目を開けた。
私に痛みは無い。
目を開けた先には、男が尻餅をついていた。
私とその男の間に立っているのは、沖田さん。
「‥‥‥――」
沖田さんは黙って男の方を向いている。
その表情は、私には見えない。
「っ‥ひいぃっ」
何に怯えたのか、男は情けない声を上げて 一目散に走り出した。
他の男達も同様に、尾っぽを巻いてそそくさと逃げていった。
「‥?」
男達の豹変ぶりは謎だけれど‥、
取り敢えず事が上手く済んだので良しとしよう。
「大丈夫でしたか?春華さん」
振り返った沖田さんの顔はいつも通りで、少し安心。
「ええ。子供達も‥ってあれ?」
後ろに居る筈の子供達が居ない。
「え、何処に‥」
辺りを一見すると、裏路地に通じる建物の隙間に、子供達が集まっていた。
「‥?」
「どうしたんでしょう?」
私達はこの後見た光景に息を飲んだ。
+