招かざる来訪者
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お花さんが賄いをやろうとすると 永倉さんや佐之さんが止め、屯所内を掃除しようとすると 埃っぽい事はしなくていいですよと沖田さんが止める。
私は本当に嫌な人間なのかもしれない。
皆のそんな優遇をバネにして、お花さんの態度が、最近ふてぶてしいような気がするのだ。
‥いや、気のせいじゃない。
「春華さん、肩凝っちゃったみたいなんだけど、揉んで?」
医者でしょう?とでも言いたげに見てくるお花さんに、どうしても我慢がならない。
「お湯を絞った手拭いで宛てて下さい。あとで診察室来たら湿布渡しますから」
「‥‥」
トゲトゲした言い方。本当に自分が嫌だ。
お花さんは、他の隊士のようには思い通りにならない私が気に食わないようだった。
「‥ねぇ」
「はい?」
「沖田さんって、凄く上の方の幹部なんでしょう?」
何の話をしたいのだろう
「‥ええ、まぁ そうですけど‥」
ふーん、とお花さんは何かを思いついたように笑った。
怖い美しさを携えた妖美な笑顔で。
「沖田さんだけが振り向いてくれないのよね。今まで私に酔ってくれない人なんて居なかったのに」
大した自信で。
多分いつまで経っても沖田さんは振り向いてくれないと思うけど。
「だから――――ない?」
「‥え?」
途中が聞こえなかった。
いや、聞こうとしなかったのかもしれない。
「だから、沖田さんを私に譲ってくれない?って言ってるの」
‥‥は?
「だって初めてなんだもの、そういう人。お近付きになりたいわ」
「何言って‥」
譲るだとか、何だとか。普通の話じゃないだろう。
「私、記憶が無くて心細いの。何も無いの。一つぐらいくれたっていいじゃない」
頭の中が沸騰するようだった。
何をあげたって構わない。着物だろうが簪だろうが、持っていけば良い。
でも、この“場所”と沖田さんの隣だけは‥誰にも侵すのを許せる訳がない―――――
「いい加減に‥っ!!」
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