初めての空
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新しく吹き始めた 風。
微かに見える一筋の 光。
その元を辿っていけば、
ほら、貴方が居る
これから描く
未来への懸け橋は
あの空へ続いていると
信じてる
《初めての空》
失礼します、という声がして、静かに襖が開けられた。入って来たのは 短髪の青年。少し切れ長の目が印象的だった。
「おお、山崎君」
近藤さんと土方さんに会釈してから、“山崎さん”は私の方を向いた。
(少し無表情、なのかな)
二つ目の印象はそれだった。目が合ったので取り敢えず会釈。
「茶をお持ちしました」
そう言って淡々と湯呑みを置いていく山崎さんを見て、土方さんが口を開いた。
「茶ぁなんて市村に出させりゃいいだろうに」
「‥いえ。市村に客人の茶を淹れさせるのは失礼でしょう」
確かに、と言って笑う土方さんを見つつ、ふと 二人が言った“市村”という名前が気になった。
何処かで聞いたことがあるような、無いような‥
「ああ、そうだ。紹介がまだだったな。春華、こちらは今医療を勉強中の山崎烝君だ」
今度は深くお辞儀をしてきた“山崎さん”につられて私も頭を下げた。
「あ、初めまして!私は 相内‥‥」
ん? 山崎‥烝‥?
烝‥すすむ‥ススム‥
「ススム!!!!?」
ダンッと、思わず立ち上がってしまった。
三人の驚いた視線が向けられるのを感じた。
「えーっと‥、春華‥? ‥どうかしたのか?」
思い切り驚いている様子の近藤さんを見て、はっと我に帰った。
「あっ、ご、ごめんなさい‥!」
急いで座って、着物を正した。
恥ずかしい‥!
「えっと‥山崎君に何かあったのか?」
「あ、はい‥」
ちらっと烝の方を見ると、さっき迄の無表情が微かに破られていた。
「えっと、山崎‥さんの生家は大阪の医家、ですよね?」
「?はい」
「それで、山崎さんのお父様と私の父が知り合いで、たまに私もお宅までついて行ったんですけど‥覚えてませんか‥?」
そこまで聞くと、烝は少し視線を落として記憶を探っているようだった。
すると、静かに何かを呟いた。
「‥‥あぁ‥」
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またクナイいじってるの?
‥あぁ
もうっ そんなんじゃ頭にカビ生えちゃうよ!
‥かっ‥び って‥
“外”を見なくちゃいけないんだってお父さんが言ってた!
‥面倒‥
ほら、そんな事言わないで
‥行こう、ススム!
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十年近く前の記憶だった。
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