強い、ということ
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「縫合‥‥しますね」
「はい」
血を全て洗い流したら、本当に殆どが返り血で 残ったのは四寸程の長さに渡る太刀傷。
「麻酔みたいなのがあればいいのに‥」
「大丈夫ですよ」
「‥‥‥じゃあ、‥行きます」
針が一刺し、二刺し‥
沖田さんは遂に『痛い』と口に出さなかった。
「‥ずっと前に 私、無理して笑わないで、って言いましたよね」
「あはは」
「あはは じゃなくて!」
まったくもう、この人は。
「無理してないですよ。ただ、私は責任を負いきれなかったから、その分」
「‥‥無事だったんだから、良いじゃないですか」
「んー‥そういう訳にも、ね」
ぶつぶつ言いながら私が傷口に包帯を巻いていると、沖田さんは何かを思い出したように呟いた。
「そうだ」
「はい?」
「ただいま、春華さん」
大好きな笑顔が、ちゃんとそこに在る。
それだけで、十分だ。
「ねぇ、沖田さん」
「はい?」
「一つ、分かりました」
『行ってきます』を言った人に 『ただいま』を必ず言うという責任があるのなら
「『行ってらっしゃい』を言った人にも、『お帰り』を必ず言う‥責任があります」
これが私の責任。
「だから‥沖田さん、『お帰りなさい』」
笑って言ってみせると、沖田さんは私なんかよりずっと優しい笑顔で、『ありがとうございます』と言った。
強いという事
“刀”は“力”の一つの手段でしかなく
人に出来ることは限られていて
それでも、無限大だ
人は 責任と 信念とで
真に強くなれる
それが 強い、という事
《強い、という事》-終