強い、ということ
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立ち上がって街並みを見ていた烝の目が屯所の手前に向けられた。
「‥なんや屯所前が騒がしい」
「騒がしい?」
体の芯を貫くような寒気がした。この身を支配する、ざわめき。
「‥っ‥‥」
「ちょっ‥春華!」
無我夢中で屋根から飛び降りた。
「誰か――を呼んで来――」
「早く――何か――」
門に近付くにつれ、そのざわめきは鮮明になっていった。
「――沖田先生が――血――」
心臓が、脈を打つ。
「あ!! 相内! 調度良かった、今沖田先生が‥」
「‥っ‥」
私は隊士の話を聞き終わる前に、走り出した。
いち早く、行き着く為に。
門前の角を曲がった瞬間
心臓が止まった気がした。
目に映ったのは
浅葱の羽織と
沖田さんの全身に纏わりつく
朱
「―――っ沖田さ‥!!!!」
沖田さんは佐之さんに担がれて、ぐったりとうなだれていた。
「やだ‥っ! 沖田さん‥どうっ‥」
只、怖いんだ
もしもの時に私が間に合わなかったら と
「‥あ‥‥春華‥さ‥」
「怪我は!? 止血を‥!!」
只、怖いんだ
大切な人を失うのが
「‥だ‥い丈夫、です。春華さん‥。殆ど返り血‥っつ」
佐之さんの肩から体を起こそうとした沖田さんは、一瞬顔を歪めた。
「ただ、足を少し斬られまして‥原田さんにこうして此処まで」
「足‥だけ‥?」
ええ、と沖田さんは力強く笑んだ。
「よ‥かった‥」
「‥ご免なさい、心配かけて」
私は思い切り首を横に振ってみせた。
「無事で‥本当に良かった‥」
無事で、本当に‥
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