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朝起きたら頭がいつもの三倍ぐらい重くて、しょうがないから診察室で何とかしてもらおうと思った。
それで、その道中 これまた気分の沈んでいるような沖田さんと会って、一緒に向かう事に。
診察室に着くなり 春華は、二日酔いで訪れたのは俺達が初めてじゃないのか、用意していた様子の異様な『ブツ』を飲めと強要してきた。
俺が『ソレ』とにらめっこをしていると、二人は夫婦漫才みたいなのを始めて、春華が愛の大告白を捨て台詞に逃げていった。
オレの顔は一気に熱くなった。なんて言葉を言い捨ててんだ春華は!!
(「異人の言葉なんか使ったって、分かるのは俺と辰兄ぐらい‥な‥のに‥ ‥‥」)
オレは段々嫌な予感がしてきた。
(「オレと、辰兄‥だけ」)
やっと自分の置かれている状況を理解した。
「‥‥えっと‥」
「‥‥」
「‥‥」
「‥鉄クン」
「‥‥」
「‥‥知ってますよね?」
「‥‥」
沖田さんはこの上ない笑顔を向けてきた。普段なら女達がきゃーきゃー言う笑顔なんだろうけど、今はそれどころじゃない。
「‥さっきの春華さんの言葉の意味、何だったんですか」
「‥いやぁ、あはは‥」
そんな事恥ずかしくて言える訳がない!!
それを伝えることすらできず、オレは背後に目を遣った。
しめた、退路がある。
オレは自分の中で三秒数え、思い切り部屋から滑り出した。
「逃がしませんよ!!」
走り抜ける背後で刀を抜く音が聞こえた気がするけど、絶対に気のせいだ。
‥気のせい‥‥だ!!
ダダダダダダダダバタバタッ
「待ちなさい鉄クン!!」
「無理ですーー!!!」
「意味を教えるだけで済むんですから!さぁ!」
「無理!まじ無理ですって!!」
生まれてこのかた 此処まで必死に走ったことが無い。
そして 此処まで誰かに助けて貰いたいと思った事も無いかもしれない。
「誰か助けてーーー!!!!」
ドンッ
「うわぁ!?」
「うお!?」
突然部屋から目の前に誰かが出てきて、思い切りぶつかってしまった。
辺りに散らばったのは‥紙?
「ったく‥いっつもいっつも慌ただしいな、お前は」
「!!! 辰兄!!!」
「今回は何なんだ? また原田さん達にでも‥ ‥!!?」
どうやら辰兄も背後から追いかけてくる沖田さんに気付いたらしい。
「お、沖田さん!? かかか刀なんて持ってどうしたんです!!?」
もう残り十数間の所まで来た。こうなったら助かる道は‥!!
「辰兄ごめん!!」
「へ?」
俺は迫り来る沖田さんに向かって言いながら、再び走り出した。
「沖田さん!! オレより辰兄の方が異人の言葉よく知ってますから 辰兄に訊いた方が良いですよ!」
「!!?何の話だ鉄!!?」
さらば兄よ。
その勇姿は忘れない。
‥と、内心では思い切り安堵して、オレは鬼副長に茶でも入れるか、と少し軽い足取りで歩いて行った。
でも辰兄、本当にごめん。
なんて。
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