I love you
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言わなきゃ伝わらないし
伝えなくちゃ始まらない
いつの世でも
繰り返し使われてきた この言葉
今まで
幾度も何千億回も使われてきた この言葉
全ての気持ちを込められる この言葉
始まらないから伝えなくちゃ
伝えられないなら言わなくちゃ
大きな勇気を溜めて
少しの笑顔を添えて
《I love you》
いつもは薬独特の匂いが立ちこめている診察室が、今日は酒臭い。
「‥貴方もですか、佐之さん‥」
その巨体を何とかして診察室まで持ってきた佐之さんは、着くなり簡易ベッドの上に倒れ込んだ。
「やばい、これはやばい。俺という男が酒に呑まれるなんて‥」
巡回までに何とかしないと副長に切腹させられる、と言って佐之さんは私に手を合わせた。
昨日思った通り、さっきからそういう理由で診察室に来る人が絶えないのだ。
私なら何でも出来るとでも思っているのだろうか。そう思い、一つ苦笑。
「何かないのか? こう、すーっと治っちまうようなヤツはよ」
「あると言えばありますよ?」
「本当か!?」
佐之さんの表情がぱぁっと明るくなった。
そう、あると言えばあるのだ。
私は、今日何度開けたか分からない戸棚に手を掛けて、中の『ブツ』を取り出した。
「はい、『コレ』飲んだら治る筈ですよ」
「‥ひっ‥!」
佐之さんの目の前に置いたのは、透明な容器に入れられた 有り得ない色の『液体』。
「さぁさぁ、飲めば楽になりますよ」
「いや、お前、これは‥、ちょっと‥」
「大丈夫大丈夫、体に良いものしか(基本)入ってませんから。えっと‥、ドクダミと桂皮末とウイキョウ末と丁子末と甘草末と‥」
私が指折り薬草名を挙げていくと、佐之さんは耳を塞いだ。
「あ゙ーーー!!っもう良い! わかったから!」
「あとは鳥兜かな」
「鳥兜‥っ!?」
「冗談です」
あはは、と笑ってみせると、佐之さんは器に手を掛けた。
「‥本当に毒は入ってないんだな」
「よく効く『薬』しか入ってません」
「飲めば治るんだな!?」
「早朝から今まで かれこれ七人程は実証されてますね」
よし、と佐之さんは意気込んで、器を持ち上げた。
「介錯はお前に頼んだ」
「"メス"で宜しければ」
ぐいっ
『それ』は、みるみるうちに飲み干された。
ごくっ‥
「‥っぷはぁー!」
佐之さんはまるで酒を飲んだ後のように盛大に息を吐いた。
私は次に続いた佐之さんの言葉に驚愕した。
「旨い!」
「はい!?」
「なんだ、見掛け倒しで旨いじゃねえか」
飲んだ人は皆気を失う寸前だったのに、まさか『旨い』なんて‥。
佐之さんには感服だ。
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