生まれ出づる意味
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全ての人の
全ての存在には 意味がある
この世に生まれ
人と出逢い
意味を 見出す
そこに見える絆は
偶然だとか 必然だとか
考える必要はない
ただ そこにあるのは
確かな 結果としての
“未来”だから
《生まれ出づる意味》
夢から覚めたら、暫く瞳を閉じておく。「自分」を確認してから、目を開け、身体を覚醒させる。
そして一つ伸びをして、手を眺め、握る。
これが私の朝の日課。
布団を畳んで、真新しい着物に着替えたら、髪を櫛で梳いて、時には沖田さんから貰った髪紐で髪を結い上げる。例の木鈴は、御守り代わりに帯紐に結び付ける。
これは此処最近できた習慣。
朝の空気を満喫しつつ廊下を歩いていると、桃色の物体が視界に入ってきた。
「あ、サイゾー」
そこに居たのは、相変わらずの表情を浮かべているサイゾーだった。
まるで待ちかまえていたかのように、私の事を睨んでいる。最近はもうその悪い目つきに慣れてしまったから、逆に可愛らしく見えてしまうけど。
「ブキ、ブキキ」
まるで顎で人を扱うかのように、サイゾーは近くの部屋を示した。
「何かあるの?」
少しだけ開いた襖から、中の様子を伺えた。
その先に居たのは、沖田さん。
「沖田さん?」
「ブキキ」
催促するかのように中へと促すサイゾーにつられて、私は中に入った。
襖が開いた事によって差し込んだ光で、中がよく見えるようになった。
その時初めて、沖田さんが袴をきちんと纏っている事を知った。
「あ、お早うございます、春華さん」
「お早うございます。‥今日はどうかされたんですか?」
最近は暑いという事もあって、袴じゃなくて 浴衣が主だったのに。
しかも、隊務の時に着ている物ともどこか違って、何というか、正装に近い。
「今日はお参りに行こうと思いまして」
「お参り?」
「えぇ」
そう言うと、沖田さんは上等な袴に気を使いつつ立ち上がり、私が背にしている襖を完全に開けた。
「うん、良い天気」
沖田さんは満足そうに伸びをした。
「何で急に"お参り"なんです?」
沖田さんは伸びをするのを止めて、私の方に振り返った。
「あぁ、明日は私の生誕日なので。御礼参りみたいなのを含めて行こうかと思ったんです」
「へぇー、生誕日」
生誕日?
「!!!? 聞いてないですよ!!!?」
「え? あぁ、言ってませんでしたね」
「酷い!」
えー?とおちゃらけて言う沖田さんが小憎らしい。
「そんな 私が生まれた日なんて大した事じゃないじゃないですかー」
「十分大した事ですよ!」
もうっ、と頬を膨らますと、沖田さんは アハハと笑った。
「まぁ、原田さん達が宴会を開いて下さるそうですし、ね」
「‥つまり、私だけ知らなかったんですね?」
「あはは」
「あはは、じゃないです!!」
事前に知れたからまだ良いけど、今からじゃ何も準備出来ない。
今日は朝から夕方まで往診だし‥、街に出てる暇はないし‥。
「あ、何も気を遣う必要無いですよ? ただ宴会で隣に居てお酒飲んでいてくれれば十分幸せです」
あの、私未成年なんですけど。
日本にはまだ法が出来てないんだっけ。
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