Chris Redfield
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いつものこと
正午を迎えたBSAA北米支部。ランチに向かう職員たちの楽しげな笑い声が遠ざかっていくと、SOUのオフィスはそれまでの喧騒が嘘のように、一気に静まり返った。
隊員たちが昼休憩で出払う中、クリスは一人残り、山積みの書類仕事と格闘していた。ペンを走らせ、キーボードを叩く音だけが響く部屋。そこに小気味いい足音が近づいてくる。クリスがオフィスの入り口に目を向けたその時、入ってきたのはナマエだった。
「クリス!ちょっとほら!はい!早く!」
彼女はクリスのデスクの前に立つと、何故か両手を大きく広げて何かを急かしてくる。
「何だ」
「ほら!高い高いして!」
「どうしたんだいきなり」
あまりにも突拍子もない要求に、クリスは思わず手を止めて眉を寄せた。しかし、ナマエは「早く〜!」とさらに催促してくる。
「……よく分からんが」
彼女の楽しげな様子に抗えず、クリスはフッと笑いながらデスクから立ち上がると、その華奢な体を大きな両手でふわりと持ち上げた。視線が高くなり、ナマエの顔に満足げな笑みが浮かぶ。
優しく床に着地したナマエは、嬉しそうに声を弾ませて入り口のほうを振り向いた。
「……見た!?」
「クソ、俺の負けか」
オフィスのドアの影から、苦笑いを浮かべたピアーズが姿を現した。クリスは「お前たち、一体何をやっているんだ」と呆れた視線を二人に向ける。
「クリスにいきなり無茶なお願いをしても、恋人の私のお願いなら聞いてくれるもんね〜って、賭けをしてたの」
「流石の隊長も、職場で恋人とイチャつかないだろって思ったんですけど……」
ピアーズが肩をすくめると、クリスはバツが悪そうに頭をかきながら視線を逸らした。
「……誰も居ないと思ったからな…」
「私の勝ちね!ピアーズに何奢ってもらおうかな。クリスも昼ごはん行こうよ」
「俺はあとで行く。先に二人で行ってこい」
「わかった」
「ピアーズ。ナマエを頼む」
ナマエは弾む足取りでドアへと向かう。ピアーズも財布の心配をしながらその後ろに続こうとした、その時。ドアの手前でナマエがピタリと足を止め、悪戯っぽく振り返った。
「ちなみにね、ピアーズ。誰も居ない二人きりの時はキスとかするよ。職場でも」
「──こら、ナマエ!」
クリスが慌てて声を張り上げるが、もう遅い。
「へえ。聞きたくなかったかも」
ニヤリと笑みを浮かべるピアーズに、クリスは耳まで真っ赤にしてそっぽを向いた。
ナマエはそんな二人の反応に大満足しながら、今度こそ楽しそうにオフィスを後にした。残された部屋で、クリスは先ほどまでより、深く深く書類に顔を埋めた。
fin.
※Xのお題募集で書かせていただきました。
いただいたお題「よく分からんが高い高いするぞ」
正午を迎えたBSAA北米支部。ランチに向かう職員たちの楽しげな笑い声が遠ざかっていくと、SOUのオフィスはそれまでの喧騒が嘘のように、一気に静まり返った。
隊員たちが昼休憩で出払う中、クリスは一人残り、山積みの書類仕事と格闘していた。ペンを走らせ、キーボードを叩く音だけが響く部屋。そこに小気味いい足音が近づいてくる。クリスがオフィスの入り口に目を向けたその時、入ってきたのはナマエだった。
「クリス!ちょっとほら!はい!早く!」
彼女はクリスのデスクの前に立つと、何故か両手を大きく広げて何かを急かしてくる。
「何だ」
「ほら!高い高いして!」
「どうしたんだいきなり」
あまりにも突拍子もない要求に、クリスは思わず手を止めて眉を寄せた。しかし、ナマエは「早く〜!」とさらに催促してくる。
「……よく分からんが」
彼女の楽しげな様子に抗えず、クリスはフッと笑いながらデスクから立ち上がると、その華奢な体を大きな両手でふわりと持ち上げた。視線が高くなり、ナマエの顔に満足げな笑みが浮かぶ。
優しく床に着地したナマエは、嬉しそうに声を弾ませて入り口のほうを振り向いた。
「……見た!?」
「クソ、俺の負けか」
オフィスのドアの影から、苦笑いを浮かべたピアーズが姿を現した。クリスは「お前たち、一体何をやっているんだ」と呆れた視線を二人に向ける。
「クリスにいきなり無茶なお願いをしても、恋人の私のお願いなら聞いてくれるもんね〜って、賭けをしてたの」
「流石の隊長も、職場で恋人とイチャつかないだろって思ったんですけど……」
ピアーズが肩をすくめると、クリスはバツが悪そうに頭をかきながら視線を逸らした。
「……誰も居ないと思ったからな…」
「私の勝ちね!ピアーズに何奢ってもらおうかな。クリスも昼ごはん行こうよ」
「俺はあとで行く。先に二人で行ってこい」
「わかった」
「ピアーズ。ナマエを頼む」
ナマエは弾む足取りでドアへと向かう。ピアーズも財布の心配をしながらその後ろに続こうとした、その時。ドアの手前でナマエがピタリと足を止め、悪戯っぽく振り返った。
「ちなみにね、ピアーズ。誰も居ない二人きりの時はキスとかするよ。職場でも」
「──こら、ナマエ!」
クリスが慌てて声を張り上げるが、もう遅い。
「へえ。聞きたくなかったかも」
ニヤリと笑みを浮かべるピアーズに、クリスは耳まで真っ赤にしてそっぽを向いた。
ナマエはそんな二人の反応に大満足しながら、今度こそ楽しそうにオフィスを後にした。残された部屋で、クリスは先ほどまでより、深く深く書類に顔を埋めた。
fin.
※Xのお題募集で書かせていただきました。
いただいたお題「よく分からんが高い高いするぞ」
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