Chris Redfield
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
Don’t Let Me Go|前編
任務のすれ違いが続いた。
最近はクリスとゆっくり顔を合わせる時間をほとんど持てていない。しかもクリスはまめにメッセージを返してくれる人ではないから、余計に寂しさがつのる。1ヶ月ほど前までのように、ほぼ毎日会えるような状態ならばそれでも問題はなかった。
互いにBSAAの隊員である以上、忙しさは覚悟していた。けれどたまには一緒にご飯を食べたいだとか、そんなささやかな願いさえこの頃はなかなか叶わなかった。
今の私たちをクリスはどう思っているんだろう。
夜になるとそんな考えも浮かんでしまうほど、心は弱っていた。
そんな中で私の胸を不意に刺したのは、支部の廊下で目にした光景だった。
――クリスが、女性職員と親しげに話していたのだ。
彼女は最近ここ北米支部へ配属された子で、誰もが(…特段男性が、だが)すぐに彼女のことを好きになってしまいそうな、そんな美貌と愛嬌の持ち主だ。笑顔で何かを語り、クリスも嬉しそうに相槌を打っていた。
それだけのこと。
けれど、最近会えない日々が続いているからこそ私の胸は小さくざわついた。
時間ができたのなら、ちょっとでも私に会いたいとか思わないの?
そんな自分勝手な考えが浮かぶ。
……今は2人を見たくないかも。
視線を逸らし、気づかれぬようにその場を離れた。
そのざわめきは数日後、確信めいた苦しさに変わる。
休憩スペースで偶然耳に入った会話だった。
"あの子"が同僚たちと楽しげに話している。
「ねぇ。最近クリスと私、いい感じなの」
笑い混じりの声に、手が小さく震える。
だめだ。早くここを離れないと……そう思っても、なぜだか私の足は動かなかった。
「彼のあの逞しい腕で抱かれたいわ」
「彼女がいるらしいんだけど…。飽きてきたんだって」
驚いて視線を上げれば、その子はちらりとこちらを見て、勝ち誇ったように目を細めた。
胸の奥が冷たく締めつけられるような感覚に襲われ、私はフラフラとその場を立ち去った。
クリスを疑いたくない。
けれど先ほどの彼女の言葉が頭に焼き付いて、心がどうしても揺れてしまう。
それからの私はクリスにどう接していいか分からず、避けるようになった。2人でいるあの子とクリスを見かけるたびに疲弊していった。彼からのメールにも嘘をつき、そっけなく返信してしまう。
『ナマエ、おはよう。今日の昼、オフィスにいるなら一旦顔を見に戻ろうと思う』
『今日はその時間は居ないよ。また今度だね』
ある時はオフィスで。
「……ナマエ!おつかれ。さっき――」
「あ……ごめん!ちょっとこれから会議があって。またメールするね」
クリスの言葉を遮り、足早にその場を去る。
こんなことをしても逆効果だというのに、今は必要最低限の会話しかしたくない。クリスが心配そうな目でこちらを時折見てくるが、それもまともに受け止められなかった。
(……私、何してるんだろう)
大切な恋人にこんな態度を取るなんて。
………私と別れたら、あの子とくっつくのかな。
想像するだけで、私の胸は嫉妬と不安で押しつぶされそうになるばかりだった。
***
数日後の午後。
帰宅のために廊下を歩いていると、クリスが壁に背を預けて立っているのが見えた。私と目が合いこちらへ近づいてくる。愛想笑いで「お疲れさま」とだけ声をかけるが、クリスの表情は険しい。その瞳は真っ直ぐに私を射抜いており、少しだけ足がすくんだ。
「……ナマエ。話がしたい」
ドキリと胸が跳ね上がる。
「話って……なに?」
「2人の時間を作ろう。いつが空いてる?」
「どうして?今ここで言えないことなの?」
「いや……ちゃんと話したいんだ」
クリスから面と向かって「話をしよう」と言われたのは初めてだった。
別れ話だと直感で分かってしまう。
フラれて傷つくのが怖くて、私は先手を打った。
「……もしかして別れたいって話?」
しばらくの沈黙のあと、クリスが口を開いた。
「……ああ。その通りだ」
周りの音が奪われたような感覚。
…違うって、言ってくれると思った。
寂しい思いをさせて悪かった、とか言いながら、抱きしめてくれると思った。
でも現実はちがう。
「……わかった。
じゃあ話し合いの時間はもう必要ないね。……これで終わりだから私たち」
クリスの横を通り過ぎようとしたそのとき、不意に腕を掴まれた。彼の力は強く、振り解こうにもびくともしない。
「待て!…ナマエ、…………」
クリスが何かを言おうとしていたけど、それ以上言葉は続かなかった。
クリスは無言のまま私を見つめる。
どうしてそんなに辛そうな顔をしているの?
フラれたのは私なのに。
私の腕を掴む彼の力がゆるみ、解放された私は涙がこぼれないうちに自宅へと急いだ。
任務のすれ違いが続いた。
最近はクリスとゆっくり顔を合わせる時間をほとんど持てていない。しかもクリスはまめにメッセージを返してくれる人ではないから、余計に寂しさがつのる。1ヶ月ほど前までのように、ほぼ毎日会えるような状態ならばそれでも問題はなかった。
互いにBSAAの隊員である以上、忙しさは覚悟していた。けれどたまには一緒にご飯を食べたいだとか、そんなささやかな願いさえこの頃はなかなか叶わなかった。
今の私たちをクリスはどう思っているんだろう。
夜になるとそんな考えも浮かんでしまうほど、心は弱っていた。
そんな中で私の胸を不意に刺したのは、支部の廊下で目にした光景だった。
――クリスが、女性職員と親しげに話していたのだ。
彼女は最近ここ北米支部へ配属された子で、誰もが(…特段男性が、だが)すぐに彼女のことを好きになってしまいそうな、そんな美貌と愛嬌の持ち主だ。笑顔で何かを語り、クリスも嬉しそうに相槌を打っていた。
それだけのこと。
けれど、最近会えない日々が続いているからこそ私の胸は小さくざわついた。
時間ができたのなら、ちょっとでも私に会いたいとか思わないの?
そんな自分勝手な考えが浮かぶ。
……今は2人を見たくないかも。
視線を逸らし、気づかれぬようにその場を離れた。
そのざわめきは数日後、確信めいた苦しさに変わる。
休憩スペースで偶然耳に入った会話だった。
"あの子"が同僚たちと楽しげに話している。
「ねぇ。最近クリスと私、いい感じなの」
笑い混じりの声に、手が小さく震える。
だめだ。早くここを離れないと……そう思っても、なぜだか私の足は動かなかった。
「彼のあの逞しい腕で抱かれたいわ」
「彼女がいるらしいんだけど…。飽きてきたんだって」
驚いて視線を上げれば、その子はちらりとこちらを見て、勝ち誇ったように目を細めた。
胸の奥が冷たく締めつけられるような感覚に襲われ、私はフラフラとその場を立ち去った。
クリスを疑いたくない。
けれど先ほどの彼女の言葉が頭に焼き付いて、心がどうしても揺れてしまう。
それからの私はクリスにどう接していいか分からず、避けるようになった。2人でいるあの子とクリスを見かけるたびに疲弊していった。彼からのメールにも嘘をつき、そっけなく返信してしまう。
『ナマエ、おはよう。今日の昼、オフィスにいるなら一旦顔を見に戻ろうと思う』
『今日はその時間は居ないよ。また今度だね』
ある時はオフィスで。
「……ナマエ!おつかれ。さっき――」
「あ……ごめん!ちょっとこれから会議があって。またメールするね」
クリスの言葉を遮り、足早にその場を去る。
こんなことをしても逆効果だというのに、今は必要最低限の会話しかしたくない。クリスが心配そうな目でこちらを時折見てくるが、それもまともに受け止められなかった。
(……私、何してるんだろう)
大切な恋人にこんな態度を取るなんて。
………私と別れたら、あの子とくっつくのかな。
想像するだけで、私の胸は嫉妬と不安で押しつぶされそうになるばかりだった。
***
数日後の午後。
帰宅のために廊下を歩いていると、クリスが壁に背を預けて立っているのが見えた。私と目が合いこちらへ近づいてくる。愛想笑いで「お疲れさま」とだけ声をかけるが、クリスの表情は険しい。その瞳は真っ直ぐに私を射抜いており、少しだけ足がすくんだ。
「……ナマエ。話がしたい」
ドキリと胸が跳ね上がる。
「話って……なに?」
「2人の時間を作ろう。いつが空いてる?」
「どうして?今ここで言えないことなの?」
「いや……ちゃんと話したいんだ」
クリスから面と向かって「話をしよう」と言われたのは初めてだった。
別れ話だと直感で分かってしまう。
フラれて傷つくのが怖くて、私は先手を打った。
「……もしかして別れたいって話?」
しばらくの沈黙のあと、クリスが口を開いた。
「……ああ。その通りだ」
周りの音が奪われたような感覚。
…違うって、言ってくれると思った。
寂しい思いをさせて悪かった、とか言いながら、抱きしめてくれると思った。
でも現実はちがう。
「……わかった。
じゃあ話し合いの時間はもう必要ないね。……これで終わりだから私たち」
クリスの横を通り過ぎようとしたそのとき、不意に腕を掴まれた。彼の力は強く、振り解こうにもびくともしない。
「待て!…ナマエ、…………」
クリスが何かを言おうとしていたけど、それ以上言葉は続かなかった。
クリスは無言のまま私を見つめる。
どうしてそんなに辛そうな顔をしているの?
フラれたのは私なのに。
私の腕を掴む彼の力がゆるみ、解放された私は涙がこぼれないうちに自宅へと急いだ。
