Chris Redfield
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無防備
夕方のトレーニングルームはまだ熱気が残っていた。数人の隊員が器具を片付け雑談しながら退出していく中、ナマエは黙々とストレッチを続けていた。今日も自主トレで身体を追い込んだあと、汗を流すためにシャワーを浴びてきたばかりだ。
湿った黒髪を後ろでまとめ、軽くタオルで押さえながらうろつくナマエ。タンクトップにショートパンツという、本人にとっては普段通りの格好だ。しかし、シャワー上がりの火照りのせいもあり、緩い胸元が思った以上に視線を集めてしまっていた。
「……なあ見たか?」
「おいおい、声がでかい」
「もうちょっとで見えそうだったぜ」
「普段は真面目なのにな」
数人の隊員が小声で囁き合う。半ば冗談めいた声色でも、そこに込められた意味と視線は生々しい。
だが、当の本人であるナマエは気付いていなかった。無防備にも前屈みで机に肘をつきながら近くの女性職員と会話を続け、朗らかな笑みを浮かべている。
ちょうどそのとき、クリスがそこを通りかかった。重いブーツの足音が響くたび、自然と場の空気が引き締まる。
向こうで談笑している自分の恋人――ナマエを見つけ、その後手前に固まっているニヤニヤとした顔の男たちを一瞥する。
隊員たちはそれとなく姿勢を正すが、彼の鋭い眼差しはすでに全てを察していた。
(何を見ている)
クリスは苛立ちを覚えた。
無言で歩を進めると、ナマエのそばで立ち止まる。彼女の会話を遮らぬよう自然に位置取りし、その背丈と体格で壁のように覆い隠した。後ろからでは、もう彼女の胸元など見えるはずもない。
そして、視線の先の隊員たちを、クリスは容赦なく睨みつけた。その威圧感は空気を支配し、下世話な話をしていた彼らは一瞬で口を閉ざす。
「……!!」
「行こうぜ……」
数秒の沈黙ののち気まずそうに席を立ち、足早に去っていく隊員たち。その背中を見送りながらクリスは一言も発さない。ただ、ナマエを陰に隠すように立ち続けた。
「あれ、クリス?どうしたの?」
気づいたナマエが小首を傾げる。彼女には今のやり取りがまるで見えていない。いつも通りの、のほほんとした柔らかい声。
「早く制服に着替えるんだな。あまりラフな格好で彷徨くな」
クリスはそう短く答えてその場を離れた。ナマエは一瞬きょとんとして「わかった」と答えたあと、すぐに元の会話に戻っていった。
***
夜の基地は静まり返っていた。廊下の蛍光灯が淡く光り、足音がやけに響く。人気のない一角を歩いていたナマエの背後から、低く鋭い声が飛んできた。
「ナマエ」
振り返るとクリスが立っていた。どういうわけかその表情は険しい。
「あ、クリス。お疲れさま」
「少し話がある。来い」
「!」
有無を言わせぬ声にナマエはコクコクと頷き、2人で無人の会議室へ入る。パチッと部屋の明かりをつけ、彼は壁にもたれながら腕を組んだまましばらく黙っていた。何かを思いあぐねているようだったので、ナマエはじっと見つめながら続く言葉を待った。
「今日の格好……自覚なかったのか」
「えっ?」
「シャワー後の格好だ」
「あ〜クリスが早く着替えろって言ってたやつ?」
「おまえは……。隊員たちがどんな目で見てたか気付いていなかったのか」
不機嫌そうなクリスの視線に射抜かれ、ナマエは息をのむ。
「……ごめん全然気付いてなかった。汗が引くまで涼しい格好をしていたくて。ちょっとだらしなかったかも…?」
けれどその返答に、クリスは眉間の皺を深めるばかりだ。
「俺は……ナマエがいやらしい目で見られるのに耐えられない。あの場であいつらをぶん殴りたくなるくらい苛立った」
「…ああ、そういう……」
その言葉にナマエはようやく気付く。彼の怒りはただの規律の話じゃない。嫉妬に揺れる、恋人としての素直な心情だった。
ナマエは一歩近づき、彼の大きな手をそっと取る。
「本当にごめんなさい。軽率だったね私」
クリスの瞳がわずかに揺れ、拳に力がこもっていたのがゆっくりと解けていった。
「クリスを不安にさせたくないから。これから気をつけるよ」
クリスはナマエの手を握り返し、愛おしそうにその指へと口付けた。
「……クソっ」
「うん?」
「警戒心の薄い恋人がいると苦労させられるな…」
大真面目な声色に、ナマエは思わず笑ってしまった。
「ふふっ……気をつけるってば、本当に」
彼の首に両腕を回し、背伸びをして唇を重ねる。最初は驚いたように硬直したクリスだが、すぐに抱き寄せ、深く応える。彼の温もりに包まれ、ナマエは胸の奥まで満たされていった。
唇を離したあと、頬を寄せたまま囁いた。
「これで少しは機嫌直った?」
「……ああ。むしろ、もっと欲しくなる」
ナマエの頬が赤く染まる。
「もう……職場だよここ」
「お前が悪いんだ。俺をこんなふうにするのは」
互いに微笑み合い、再び抱き合う。静けさの中で交わすキスは、もう何度目かわからなかった。
fin.
夕方のトレーニングルームはまだ熱気が残っていた。数人の隊員が器具を片付け雑談しながら退出していく中、ナマエは黙々とストレッチを続けていた。今日も自主トレで身体を追い込んだあと、汗を流すためにシャワーを浴びてきたばかりだ。
湿った黒髪を後ろでまとめ、軽くタオルで押さえながらうろつくナマエ。タンクトップにショートパンツという、本人にとっては普段通りの格好だ。しかし、シャワー上がりの火照りのせいもあり、緩い胸元が思った以上に視線を集めてしまっていた。
「……なあ見たか?」
「おいおい、声がでかい」
「もうちょっとで見えそうだったぜ」
「普段は真面目なのにな」
数人の隊員が小声で囁き合う。半ば冗談めいた声色でも、そこに込められた意味と視線は生々しい。
だが、当の本人であるナマエは気付いていなかった。無防備にも前屈みで机に肘をつきながら近くの女性職員と会話を続け、朗らかな笑みを浮かべている。
ちょうどそのとき、クリスがそこを通りかかった。重いブーツの足音が響くたび、自然と場の空気が引き締まる。
向こうで談笑している自分の恋人――ナマエを見つけ、その後手前に固まっているニヤニヤとした顔の男たちを一瞥する。
隊員たちはそれとなく姿勢を正すが、彼の鋭い眼差しはすでに全てを察していた。
(何を見ている)
クリスは苛立ちを覚えた。
無言で歩を進めると、ナマエのそばで立ち止まる。彼女の会話を遮らぬよう自然に位置取りし、その背丈と体格で壁のように覆い隠した。後ろからでは、もう彼女の胸元など見えるはずもない。
そして、視線の先の隊員たちを、クリスは容赦なく睨みつけた。その威圧感は空気を支配し、下世話な話をしていた彼らは一瞬で口を閉ざす。
「……!!」
「行こうぜ……」
数秒の沈黙ののち気まずそうに席を立ち、足早に去っていく隊員たち。その背中を見送りながらクリスは一言も発さない。ただ、ナマエを陰に隠すように立ち続けた。
「あれ、クリス?どうしたの?」
気づいたナマエが小首を傾げる。彼女には今のやり取りがまるで見えていない。いつも通りの、のほほんとした柔らかい声。
「早く制服に着替えるんだな。あまりラフな格好で彷徨くな」
クリスはそう短く答えてその場を離れた。ナマエは一瞬きょとんとして「わかった」と答えたあと、すぐに元の会話に戻っていった。
***
夜の基地は静まり返っていた。廊下の蛍光灯が淡く光り、足音がやけに響く。人気のない一角を歩いていたナマエの背後から、低く鋭い声が飛んできた。
「ナマエ」
振り返るとクリスが立っていた。どういうわけかその表情は険しい。
「あ、クリス。お疲れさま」
「少し話がある。来い」
「!」
有無を言わせぬ声にナマエはコクコクと頷き、2人で無人の会議室へ入る。パチッと部屋の明かりをつけ、彼は壁にもたれながら腕を組んだまましばらく黙っていた。何かを思いあぐねているようだったので、ナマエはじっと見つめながら続く言葉を待った。
「今日の格好……自覚なかったのか」
「えっ?」
「シャワー後の格好だ」
「あ〜クリスが早く着替えろって言ってたやつ?」
「おまえは……。隊員たちがどんな目で見てたか気付いていなかったのか」
不機嫌そうなクリスの視線に射抜かれ、ナマエは息をのむ。
「……ごめん全然気付いてなかった。汗が引くまで涼しい格好をしていたくて。ちょっとだらしなかったかも…?」
けれどその返答に、クリスは眉間の皺を深めるばかりだ。
「俺は……ナマエがいやらしい目で見られるのに耐えられない。あの場であいつらをぶん殴りたくなるくらい苛立った」
「…ああ、そういう……」
その言葉にナマエはようやく気付く。彼の怒りはただの規律の話じゃない。嫉妬に揺れる、恋人としての素直な心情だった。
ナマエは一歩近づき、彼の大きな手をそっと取る。
「本当にごめんなさい。軽率だったね私」
クリスの瞳がわずかに揺れ、拳に力がこもっていたのがゆっくりと解けていった。
「クリスを不安にさせたくないから。これから気をつけるよ」
クリスはナマエの手を握り返し、愛おしそうにその指へと口付けた。
「……クソっ」
「うん?」
「警戒心の薄い恋人がいると苦労させられるな…」
大真面目な声色に、ナマエは思わず笑ってしまった。
「ふふっ……気をつけるってば、本当に」
彼の首に両腕を回し、背伸びをして唇を重ねる。最初は驚いたように硬直したクリスだが、すぐに抱き寄せ、深く応える。彼の温もりに包まれ、ナマエは胸の奥まで満たされていった。
唇を離したあと、頬を寄せたまま囁いた。
「これで少しは機嫌直った?」
「……ああ。むしろ、もっと欲しくなる」
ナマエの頬が赤く染まる。
「もう……職場だよここ」
「お前が悪いんだ。俺をこんなふうにするのは」
互いに微笑み合い、再び抱き合う。静けさの中で交わすキスは、もう何度目かわからなかった。
fin.
