弐 天才と才人と凡人
「…と、こんな感じかな。だいたいの構造は把握できたっしょ?」
上から社長室、来客室、私室、食堂、スタジオと順に見ていき、一通りの説明を受けたところで零はそう言った。途中、何度か社員に声をかけられたが、それは社長と部下というより友人またはリスナーの距離感に近しい。黄色い悲鳴をあげられれば笑顔で手を振り、褒められれば感謝をし、挨拶されれば挨拶を返す。そこには敬語の者もタメ語の者もおり、会社という構造においてそれは異質なことに思えた。
「あとはー…そうだねえ、仮眠室とシャワー室でも見ておくかい?」
「そんなものがあるんですか?」
「そーそー。で、パスさえあれば君たちも使えるし私もたまに使わせてもらうから見ておいて損はないかなーって。どう?」
「勿論行くとも。会社内に合法的に眠れる場所があるというのは興味がある」
太宰治のその言葉に、零は一つ頷いて廊下を進む。その後ろから素直についていく探偵社員2人…ではなかった。
「ふむ…ん?」
「? 太宰さん、どうかしましたか?」
「うわっ。うわっ、最悪っ」
太宰が見ているのは窓の外。漫画であれば縦三本線引いてそうな顔で彼が見ていたのは、黒いスーツを着た大勢の人々と……その先頭に立つ、黒い帽子であった。
「あれって……もしかして、ポートマフィアですか?」
「間違いないね」
「なんでここに……」
「さあ。おそらく森さん辺りだと思うけど」
上から社長室、来客室、私室、食堂、スタジオと順に見ていき、一通りの説明を受けたところで零はそう言った。途中、何度か社員に声をかけられたが、それは社長と部下というより友人またはリスナーの距離感に近しい。黄色い悲鳴をあげられれば笑顔で手を振り、褒められれば感謝をし、挨拶されれば挨拶を返す。そこには敬語の者もタメ語の者もおり、会社という構造においてそれは異質なことに思えた。
「あとはー…そうだねえ、仮眠室とシャワー室でも見ておくかい?」
「そんなものがあるんですか?」
「そーそー。で、パスさえあれば君たちも使えるし私もたまに使わせてもらうから見ておいて損はないかなーって。どう?」
「勿論行くとも。会社内に合法的に眠れる場所があるというのは興味がある」
太宰治のその言葉に、零は一つ頷いて廊下を進む。その後ろから素直についていく探偵社員2人…ではなかった。
「ふむ…ん?」
「? 太宰さん、どうかしましたか?」
「うわっ。うわっ、最悪っ」
太宰が見ているのは窓の外。漫画であれば縦三本線引いてそうな顔で彼が見ていたのは、黒いスーツを着た大勢の人々と……その先頭に立つ、黒い帽子であった。
「あれって……もしかして、ポートマフィアですか?」
「間違いないね」
「なんでここに……」
「さあ。おそらく森さん辺りだと思うけど」
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