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*二人遊び

どちらともなく唇を重ねていた。
触れて。離れて。
それを繰り返す。

結んでいた唇が小さな隙間を作った。
舌を入れたのはどちらが先だったか。

トクトクと鼓動が早くなる。
身体の奥から込み上げてくる、甘い蜜。


「かぐら……」
吐息に似た声が漏れる。

返事の代わりに、かぐらは再びボルトにキスをする。

右手の指を絡める。
舌を絡める。
左手の指を絡める。

キスだけでこんなに夢中になれるなんて、思ってもみなかった。

絡めた指のまま、二人はじゃれ合うようにベッドに埋もれた。

ふと、かぐらの指がボルトの膨らみに触れた。

自分の身体の異変に気付かれたと、ボルトは顔を赤らめる。

「ボルト、感じてるんだ」
「仕方ねーだろ。気持ちいいんだから」
「いや、嬉しいよ」

そう言ってボルトの手を握り、自分の中心にあてがう。

「あはっ、かぐらもガチガチじゃん」
「こら、やめろって」

布越しに強く握ってきたボルトに、かぐらは笑いながら抗議した。

もう一度唇に触れる。
ボルトの指は、かぐらの熱に触れたまま。

「なあ、かぐら。し合いっこしよっか。オレがおまえに、おまえはオレに。な、一緒にしよ?」

耳元で囁いたボルトの提案に、かぐらは一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに笑みを浮かべ頷いた。

寝そべったまま、お互いのズボンのファスナーを下ろす。

かぐらは前の歯で黒いグローブの指先を噛んで、スルリと外した。
ボルトは口を開けて、その仕草に見惚れる。

「……どうした?」
じっと見つめられ、かぐらは不思議そうに尋ねた。

「かぐら、色っぽいな。オレも、手袋外してやるってばさ」
ボルトはかぐらのもう片方の手を取り、先程のかぐらを真似てグローブの先を噛んだ。
目を悪戯っぽく細めたボルトは、かぐらを見つめたままクイッと顎を引く。

「かわいい、ボルト」
咥えられた自分のグローブを外し、かぐらはボルトにまたキスをする。



自分の意思ではない、予測できない指の動き。
熱っぽい空色と薄紅梅色の潤んだ瞳が、すぐそばで交わる。
いつもより早い高鳴りを覚えた。

「やべ、マジで気持ちいい」
「ボ、ルト……先、っぽ」
上擦る哀願の声を聞き、親指を使ってかぐらの先端を弄ってやる。
「ここ?」
きゅっと目をつぶったかぐらは、こくこくと頷いた。
イキそうなのか、ボルトを擦るかぐらの手に力が入る。

「待って、かぐら」

ボルトはかぐらの手を止めた。
苦し気に眉を寄せ、かぐらは閉じていた瞼を半分開く。
二本の熱をボルトは合わせた。
触れ合った部分が更なる甘美の熱を呼ぶ。

「一緒にイクってばさ」
「うん」

ボルトの指にかぐらは自分の指を重ねた。
交互に合わさる指で、互いに甘い蜜の放出を促した。

「かぐら、好き」
「オレも。ボルト」




二人で仰向けになって寝転がっていた。
暫く天井を見ていたが、二人同時に目を合わす。

互いにくすくすと笑いだした。
繋いだ手を離さないまま、向かい合う。

「今度会った時に、またしよう」
「かぐら、そんなに良かったのか?」
「うん、凄く良かった」

ボルトは二ッと嬉しそうに笑い、唇を突き出した。

プッと吹き出し、かぐらは応えるようにキスをした。




終わり
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