SかМ
「カーカーシー、聞いてくれよー。リンに怒られたー」
情けない事を言っている割には、この男の顔は全然嫌がっていない。
「お前Mなの? 怒られて何で喜んでいるのよ」
「え? オレ喜んでいるように見える?」
そう言って少女の様に両頬に手を添えて、満更でもない顔をするオビト。
任務完了後に解散し、リンの後を追ったオビトだったが、僅か十分弱でオレの元に戻ってきてこのセリフだ。
「好きな子に怒られて嬉しいなんておかしいでしょ」
「違うんだなー。好きな子だからこそ嬉しいんだろ? そもそも世の男は、ほとんどがMなんだぞ」
「何ソレ。どんな定義なんだよ」
「そーんな風に気取っているカカシはツンデレじゃん。だからお前はMだ。いや、ドMだ!」
「は? ホント意味分かんない。だいたいツンデレの意味知ってて言ってんの?」
くだらない内容でぎゃーぎゃー騒ぎながら歩いていると、
「あれ、二人ともまだこんな所にいたんだ。随分楽しそうだね」
背後から声をかけられる。振り向くと、報告書を提出し終えたミナト先生が立っていた。
「ねえ、ミナト先生はどっち? やっぱりM?」
オビトはクルッと向きを変え、いきなり先生に話を振った。
「おい、先生に変なこと聞くなよ」
オレはオビトの袖を引っ張り制止した。
先生は、ん? と目線を空に向け一瞬考えるそぶりをする。
それから満面の笑みを浮かべて答えた。
「そうだね、オレはMだね」
オレは固まった。
言い切った。里、屈指の忍びがMって認めたよ。
そんなオレを見てオビトは勝ち誇ったようにオレの肩を抱き、先生には聞こえないように小声で言う。
「ほーら言った通りだろ。けど先生ンとこはさ、クシナさんが“アレ”だから当然か」
「あっ、まあ、うん」
黄色い閃光がM……。
女王様とM男?
やめろ。
オレは頭をぶるぶると横に振った。
先生を見上げると、金色の髪をなびかせ爽やかな表情でオレ達に微笑んでいる。
先生……。
オレはちょっと切なくなった。
「これで分かったろ? 男はMが多いんだよ。当然カカシだってMに決まってる」
「勝手に決めつけるな!」
そんなオレ達のやり取りを見ていた先生が、不思議そうに口を挟んできた。
「カカシはMじゃないよね?」
「ええ??」
オビトは不満気に大声を出す。
「だってMではないよね?」
大事なことなのか先生は二回言う……。
「何で? じゃあS?」
ああもう、勝手に人の事をSだのMだのと言うのをやめて欲しい。
そこへ先生の強烈な一言。
「カカシは、Kでしょ?」
K……?
今度はオビトも固まった。
暫く沈黙の後、ようやくオビトがボソリと呟いた。
「それってイニシャルじゃん」
だからミナト先生は、M、ね。
「どうしたの二人とも?」
「流石は黄色い天然だよなー」
「オビトッ」
とりあえず、先生のM自覚疑惑が払拭されたので、オレは心底ホッとした。
終わり
情けない事を言っている割には、この男の顔は全然嫌がっていない。
「お前Mなの? 怒られて何で喜んでいるのよ」
「え? オレ喜んでいるように見える?」
そう言って少女の様に両頬に手を添えて、満更でもない顔をするオビト。
任務完了後に解散し、リンの後を追ったオビトだったが、僅か十分弱でオレの元に戻ってきてこのセリフだ。
「好きな子に怒られて嬉しいなんておかしいでしょ」
「違うんだなー。好きな子だからこそ嬉しいんだろ? そもそも世の男は、ほとんどがMなんだぞ」
「何ソレ。どんな定義なんだよ」
「そーんな風に気取っているカカシはツンデレじゃん。だからお前はMだ。いや、ドMだ!」
「は? ホント意味分かんない。だいたいツンデレの意味知ってて言ってんの?」
くだらない内容でぎゃーぎゃー騒ぎながら歩いていると、
「あれ、二人ともまだこんな所にいたんだ。随分楽しそうだね」
背後から声をかけられる。振り向くと、報告書を提出し終えたミナト先生が立っていた。
「ねえ、ミナト先生はどっち? やっぱりM?」
オビトはクルッと向きを変え、いきなり先生に話を振った。
「おい、先生に変なこと聞くなよ」
オレはオビトの袖を引っ張り制止した。
先生は、ん? と目線を空に向け一瞬考えるそぶりをする。
それから満面の笑みを浮かべて答えた。
「そうだね、オレはMだね」
オレは固まった。
言い切った。里、屈指の忍びがMって認めたよ。
そんなオレを見てオビトは勝ち誇ったようにオレの肩を抱き、先生には聞こえないように小声で言う。
「ほーら言った通りだろ。けど先生ンとこはさ、クシナさんが“アレ”だから当然か」
「あっ、まあ、うん」
黄色い閃光がM……。
女王様とM男?
やめろ。
オレは頭をぶるぶると横に振った。
先生を見上げると、金色の髪をなびかせ爽やかな表情でオレ達に微笑んでいる。
先生……。
オレはちょっと切なくなった。
「これで分かったろ? 男はMが多いんだよ。当然カカシだってMに決まってる」
「勝手に決めつけるな!」
そんなオレ達のやり取りを見ていた先生が、不思議そうに口を挟んできた。
「カカシはMじゃないよね?」
「ええ??」
オビトは不満気に大声を出す。
「だってMではないよね?」
大事なことなのか先生は二回言う……。
「何で? じゃあS?」
ああもう、勝手に人の事をSだのMだのと言うのをやめて欲しい。
そこへ先生の強烈な一言。
「カカシは、Kでしょ?」
K……?
今度はオビトも固まった。
暫く沈黙の後、ようやくオビトがボソリと呟いた。
「それってイニシャルじゃん」
だからミナト先生は、M、ね。
「どうしたの二人とも?」
「流石は黄色い天然だよなー」
「オビトッ」
とりあえず、先生のM自覚疑惑が払拭されたので、オレは心底ホッとした。
終わり
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