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歯医者×虫歯菌

「あ、黒羽さんおはようございます」
黒羽、というのは歯医者の少し北の方にある歯医者の院長の名前だ。黒羽晋くろはねすすむ

「ああ、おはよう……君のことは聞いてる。同業者どうし頑張ろうな」

「あ、ありがとうございます」

「良かったら、これ 」
黒羽は紙に包まれたキャンディを五つほど渡す

「歯医者が菓子渡すのもどうかとも思うが、最近できた美味しい店のところだ。良かったら友人にも布教してみてくれ」

「あ、いえ……」

──

「ということがあったんだ。」
仕事が終わり、帰ってきた歯医者は貰った飴を口に入れてソファに座って虫歯菌に話しかける

「あ、それうちのボス」

「はぁ……はあ!?」

「あ、やべ」
虫歯菌は目をそらす

「じゃあこのお菓子は……もう舐め終わったんだが」

「早くね?まあ……ボスがあげたってことはしっかり口内侵略のためのもんだろうなァ!」
虫歯菌は急に口角を釣りあげてニヤニヤ笑い始める。

「というか、虫歯菌のボスが歯医者やってるのか……」

「それが一番虫歯を広めやすいんだって。ずっといるとバレるから見た目を変え名前を変えずっとこの街にいるぜ」

「ほ、本当か……そんな前からこの街は虫歯菌の毒牙に……いやそれ自体は前聞いたが」

「この飴も……今すぐうがいしてくる」

「ボスのやつはうがい位で落ちるようなもんじゃねえよ」

「……黒羽歯科医院以外でクリーニングしてもらう!」

「チッ。残念」
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