シン・干支論
翼「なァ」
柳「なによ?」
鬼「なんだよ」
翼「干支ってあるやん。子、丑、寅…、言うヤツ」
柳「続きは?」
翼「…子、丑、寅、[[rb:卯 > ウー]]、辰、ミー、午、未、申、酉、戌、[[rb:亥 > イー]]」
柳「よく言えたわねーっ」
翼「バカにしとんのか」
柳「褒めたのよ」
翼「中国人やで?」
鬼「その反論、合ってンのかよ」
鬼「で、干支がなんだよ、翼宿」
翼「たま、干支の順番がどーやって決まったか、知っとるか?」
鬼「アレだろ、たしか。神様が、動物たちを競わせて、新年の挨拶にきた順に、1位から12位までを、一年交代でその年の大将にするって言う、中国の民話からきてるんだろ?」
翼「アレな、神様が、動物たちを競わせて、新年の挨拶にきた順に、1位から12位までを、一年交代でその年の大将にするっちゅー、中国の民話からきとんねん」
柳「今、たまちゃん、そー言ったわよ」
翼「馬って、脚、速いやん。競走馬っちゅーくらい。競って走るコトに強い動物の着順が、なんで、下から数えた方が早いねん」
鬼「言われてみれば、そうだよなーっ」
柳「うーん、言われてみれば、そぉねェ」
鬼「掲示板には載りそうだよな。5着以内」
柳「馬券には絡んできそうよね。複勝(2着以内)、ワイド(3着以内)、[[rb:龍 > ・]]を軸の1頭流し(軸を1頭選び、3着以内に入りそうな相手を複数選ぶ、組み合わせ)」
翼「せやろっ」
柳「あんたにしては鋭いわねーっ」
翼「バカにしとんのか」
柳「褒めたのよ」
柳「道草してて、って言うのは聞いたことあるけど」
翼「道草食うたくらいで、下位になるかァ~?」
鬼「だよなーっ」
翼「ヘビにも負けとるんやで?」
柳「ヘビに驚いて後ずさって降着したって言うのも、聞いたことある」
翼「羊に勝ったからて、脚、速いことにはならんやろ」
柳「羊がすごい、馬と競って、ってなるわよね、逆に」
柳「ねェ!?こうは考えられない!?」
翼「却下やな」
柳「まだなんも言ってないわよっ!!─────神様が『馬』と『鹿』を間違えたの」
鬼「『馬』と…」
翼「『鹿』をかーーーーーっ!?」
鬼・翼「「ンな馬鹿なっ!!」」
柳「それよっ!『馬鹿』の由来知ってる?アレは、時の帝が、『馬』と『鹿』を間違えて、それを指摘した者が処刑され、それに目を瞑った者が生き残ったことが語源なの。つまり、神様が、馬と鹿を見間違えて、ホントに走ってたのは、見せ場のない鹿毛の馬じゃなくて、鹿だった」
鬼「でもよー、鹿だったとして」
翼「馬、どこ行ってん?」
鬼「足の速さを競わせて、馬が入らないってことはねーだろ」
柳「知らなーいっ![[rb:有馬 > ・・]](※)から直行で、疲れが残ってて、自慢の末脚が発揮できなかったンじゃないのォ?暮れの大一番っ!!」※有馬記念。ファン投票によって選ばれた人気馬を中心に毎年年末に開催される一年最後のG1。
なんだ、それ、と、鬼宿。
なんや、それ、と、翼宿。
きゃははは、と、笑う柳宿。
鬼「でもよーっ!神様が、馬と鹿、間違うかぁ!?」
柳「時の帝も神様も、時に、人間みたいな[[rb:間違い > ミス]]、犯すのよ」
鬼「お前、それ…」
翼「暗に、馬鹿にしとらんか?皇帝はんのコト」
鬼「不敬罪だぞ?」
翼「不敬罪やで?」
柳「ンもーーーっ♡星宿様は特別ぅ♡お顔もお声もなにもかもがっ、完っ璧なんだからっ♡アタシっ、皇帝陛下が馬を鹿、[[rb:烏 > カラス]]を白、烏龍茶を杜仲茶とおっしゃるなら、アタシもっ、馬を鹿、烏を純白、烏龍茶を杜仲茶と言い張るわっ♡アタシの心は皇帝陛下のモノですものっ♡陛下に意見する者、盾突く者、歯向かう者は、片っ端から処すわっ♡正妃権限でっ♡」
鬼「おめー、正妃じゃないだろっ!!」
翼「お前みたいなモンが、いずれ国を傾けて、『朝粥がないなら茶粥を食べればいいじゃないっ♡』とか言い出して、真っ先に、処刑台に送られんのがオチや~。けけけ」
柳「星宿様がっ、桃饅頭を肉饅頭とおっしゃるならっ、アタシもっ、桃饅頭を肉饅頭と言い張るわっ♡」
翼「ただの味覚音痴やん」
柳「じゃ、たまちゃん、なんで馬が下位だと思う?」
鬼「かーーっ!わっかんねェな!─────こうなったら、張宿に聞いて…」
柳「あ、それは、ダメ」
鬼「あ、そうだな、悪ィ」
翼「なんでや?張宿に聞いたったら間違いないやろ」
鬼「翼宿、お前なぁ…」
柳「…この前、張宿に『競馬の必勝法(※)』を聞きに行ったのが井宿にバレて、アタシとたまちゃんとアンタの三人で、大目玉食らったじゃない。『紅南国の叡智をなんだと思ってるのだ』って」(※ふしぎとお馬が好きになるseries☆彡『ふしゆとお馬 vol.5 -宝塚記念2023-』参照♡)
鬼「杖にあんな使い方があったなんてなっ」※錫杖(しゃくじょう)
柳「たわんでたわよねっ!!」
鬼「ああ、杖を、こうっ、つまんで、上下にゆらしただけなのに、だろっ!?」
柳「そーーっ!!─────『第一、殺生。第二、窃盗。第三、浮気に不倫。第四、邪淫。第五、飲酒。第六、嘘に妄言。第七、邪見。第八、親殺し。──の八大地獄の階層で、<賭け事>は≪罪≫ではない。しかし、堕ちる地獄のない底に、落ちる砂をさらう波に、かたちを保たず、故に、定めぬ、[[rb:振る舞い > ゆらぎ]]の[[rb:業 > ごう]]に、≪絶対のない≫、時と[[rb:間 > ま]]の[[rb:空 > くう]]に[[rb:解 > げ]]を求め、<天上>と<天下>を同時に 見る とはどう言うことか、[[rb:魂 > 精神]]の[[rb:聡 > さと]]さで知れぬなら、滝行や火渡りや断食のように、肉体の苦を持って思い知るといいのだ。この杖を、よーーくっ、見るのだ』─────って」
鬼「杖が歪んでんだか、時空が歪んでんだか、床が下がってってンだか天井が上がってってンだか、部屋が伸びてンだか、分からなかったぜっ!!」
柳「アレ、『[[rb:橡胶筆錯視 > ラバー・ペンシル・イリュージョン]]』って言うらしーわよっ![[rb:仏陀 > ブッダ]]が起こした後光の奇跡がブロッケン現象だったみたいに、アレも、脳の勘違いを利用した目の錯覚なんですって!」
翼「あったか?そんなこと」
柳「アンタ、時空の歪みに気持ち悪くなってたじゃない」
翼「おーっ!あったなっ!!吐いたモンに、なんや葡萄酒か、赤いモンがまじっとって、血ィ吐いたか思たわ」
柳「固形物に赤いモンがかかってて、仔羊料理の[[rb:加上蔓越苺醤 > クランベリーソースがけ]]みたいだったわよね」
鬼「汚ねェな」
柳「とにかく、今は、馬の話題は避けた方が無難よっ。例え干支でもォ」
鬼「ああ、そうだな。分かったか、翼宿」
翼「オレ、もともと、乗り気じゃなかってん。そこにおるオカマに言いくるめられてん」
柳「吐いたモン片付けてやったんだから、文句言うんじゃないわよ」
翼「じゃ、こう言うのは、どや!?」
柳「なに?」
翼「走っとったんが、馬やなぁて、山羊やった」
柳「……」
鬼「……」
翼「馬とまぎらわしー、似た茶色モン走らせとるからこないなことになんねん。馬と見間[[rb:違 > ご]]うないモン走らせたったらエエねん」
柳「それじゃあ、羊とまぎらわしーでしょ」
鬼「なんだよ、子、丑、寅、卯、辰、巳、山羊、羊、…って」
柳「それじゃあ、神様どころか、国民も見分けがつかないわよっ。少しは考えてから物を言いなさいよね」
鬼「なんで、二年連続、似た白いモンが走ってンだよ。ちょっとは考えてから物言えよなー」
翼「なんでやねっ!?山羊と羊が並んどっても、だーれもっ着順に文句ナイやろっ!?子、丑、寅、卯、辰、ミー、馬…、ん?…辰、ミー、馬…、ちゃう、辰、ミー、鹿…、ちゃうわ、…辰、ミー、…ミー、ミ~…、馬ァ、羊ィ…、ん?…辰、…ミー、山羊ィ…、白山羊ィ~…」
鬼「お前がすでに、分かってねェじゃねーか」
柳「ミーミー、うるさいわよ」
翼「せやけど、下位の猿と犬は、『犬猿の仲』言うて、[[rb:外伝 > スピンオフ]]まで作られとるんやでっ!?」
柳「[[rb:外伝 > スピンオフ]]って言うか、[[rb:諺 > ことわざ]]ね」
翼「ニワトリはその仲裁に入ったから、10位っちゅーのも、まあ、エエわ」
鬼「まあなー」
翼「最下位は最下位で、オイシイやん?」
柳「まあ、そぉねェ」
翼「[[rb:干支 > コレ]]、考えたヤツ、絶対、馬、興味ないやろ」
柳「そりゃ12頭もいれば、キャラ格差もあるわよ」
鬼「だよなー」
翼「せやなー」
柳「…7人でもあるんだから」
鬼「…だよなー」
翼「…せやなー」
軫「おい、なんで、俺のこと見てんだ」
新干支論 -完ー
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