ふしゆとお馬☆彡


「それにしても、ホントに、どこでエルメスなんて覚えてくるのかしら」

「有名ブランドは馬を紋章ロゴにしたものが多いからね。

愛瑪仕エルメス巴宝莉バーバリー教練コーチ竜山ロンシャン賽琳セリーヌ拉尓夫・勞倫ラルフ・ローレン…。他に、高級チョコレートの歌帝梵ゴディバなんかも。

それくらい、馬は、伝統と格式、権力と財力の象徴であると同時に、多くのファッションデザイナーや芸術家アーティスト霊力インスピレーションを受けてきた、美の対象なんだろうね。昔もこれからも。

迢衣服問屋うちも、織物テキスタイルで取り引きあるし、顧客には、一流ブランドを身につけて来店される方も多いから、顧客のスカーフの柄やバッグの色・形なんかを見て、覚えたのかもね。

子供は大人が思ってるよりも、ずっと、オトナの持ち物や持ち方を、よく見てるものだから」

「あのコ、エルメスのバーキンやコーチのシグネチャーやロンシャンの馬柄トートだけじゃなくて、すぐに、香奈儿シャネル迪奥ディオールも欲しがるようになるわよ」

「まだまだこれから、ねだられるのか、困ったな」

「なんでちょっとうれしそうなのよっ」

と、妻。

「まったく、エルメスもバーバリーもコーチもロンシャンもグッチも、シャネルのマトラッセもディオールのブックトートのボルドーネイビー白和黒ホワイト&ゴールドもプラダも、あたしの步入式衣柜ウォークインクローゼットにあるモノは、全部、いずれ、あのコのモノなのに。

オトナがブランド品を持つのは、若いコが、何を持っても可愛くてサマになるようには、持てなくなるからなのに。ねェ?

若いうちから、オトナが持つ物を持ちたがらなくったって。あのコ、ちょっと、生き急いでるのかしら?」

「…薄々勘付いてたんだけど、君が持ってたのを見たんじゃないかな?それか、步入式衣柜ウォークインクローゼットを覗いたか。かくれんぼの最中に。

あと、ちょっと待って。この家にディオールのブックトートが色違いであること、僕、知らないんだけど」

おわり
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