ふしゆとお馬☆彡


康「おねがーい、お母様」

父(末娘がなにかねだっている…)

父「なにを欲しがってるんだい?」

康「愛瑪仕エルメスのバッグ!!」

父「……」





康「お馬さんのね、チャームを付けて持つのよっ!とーーっても可愛いのっ♡それのね、白っ♡」

父(白の柏金包バーキン…)

康「乗馬倶楽部用のお稽古バッグにするわ。障害馬術技能認定の教科書テキストを入れるのよ!」
 
母「いけません。子供が持っていいものではありません。お稽古バッグにエルメスなんて必要ありません。なんも入りません」

父「そんなことないだろ。アレは女優のジェーン・バーキンが台本でも哺乳瓶なんでも入る仕切りポケット付きのバッグが欲しいと願ったのを、エルメスが叶えたモノなんだから。乗馬用のテキストの三冊や五冊入らないはずないだろ」

キッ、と、菫色の瞳が、夫を睨む。

(そんなこと知ってるわっ!あたしをドコに嫁いだ誰だと思ってるのよっ!エラソーに織物街ファッション業界の常識を語らないで頂戴っ!!)

と、その瞳が語る。





父「うーん、エルメスはまだ早いかな。オトナになったら買ってあげるからね」

康「お馬さんの5歳は、掛ける2足す3で、人間の23歳。あたし、間もなく6歳よ?お馬さんの5歳から6歳は人間の25歳から28歳。競走馬サラブレッドなら成熟期で、引退も視野に入れる歳。後宮なら、解雇リストラか出家を視野に入れる妃として潮時の歳─────って、お馬さんの本に書いてあったわ!」

母「康琳ちゃんは人間でしょ?康琳ちゃんがお馬さんの仔って言うなら、もう康琳ちゃんにはニンジン料理しか作ってあげません」

康「ンもォ!お母様のイジワルッ!」

母「月曜日は、ニンジンとセロリの包子パオズ
火曜日は、ニンジンとほうれん草の二色飲茶、
水曜日は、ニンジンと牛テールのスープとニンジン蛋糕ケーキ
木曜日は、ニンジンしりしりのオリーブサラダ、
金曜日は、細かく刻んだニンジン入りハンバーグ、ニンジンの蜜煮グラッセとリンゴ煮を添えて、
土曜日は、ニンジンと卵のXO醤炒め、

それから日曜日は……、土曜日卵炒めだと、木曜日のメニューとかぶるわね」

康「美味しそうっ♡」

父「君は、子供がお馬になっても、食事を飽きさせないようにして、優しいね」

おわり(つづく)
16/26ページ
スキ