☆英雄遊戯☆ feat. ☆1LDK遊戯☆
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3
スクランブルの交差点を、渡りそびれた翼宿。
対角線上の向こう側からこちら側へ渡ってきた、
4人組の女子のひとりが足を止めた。
それにならって、他の女子も足を止めた。
全員が、今、流行りの前髪をし、
全員が、片手に、流行りの飲み物を持っている。
「……ねぇ、あれ」
「あ、ホントだー。かわいー♡細ーい♡顔、ちっさ!」
「……男と、いる??」
「映画の撮影かな」
ざわざわとしか聞こえないその他大勢の人の声に、
与えられた台詞のような声が交じる。
そこへ、男、二人組の、チャラそうな、
通行人Eと通行人Fが現れて、それを見つけると、
そこへ、スマホを向けた。
「あ、ちょっと……」
エライザは、小さな顔を隠すように、大きなサングラスをかけ直した。
それでも、スマホを向けるのをやめない、通行人Eと通行人F。
「……やめーや」
翼宿は、ギロリ、と、通行人の顔を睨むと、押さえた声で言った。
「あ?お前のこと、撮ったんじゃねーし」
「それとも、お前も撮ってやろうか?(笑)
それで、その悪人顔を、パッチリお目目に加工してやろうか
アプリを駆使して(笑)」
「ああん?じゃかあしいんじゃ、ボケ。
こざかしい細工して恥ずかしいないんか、コラ。
んな写真が好きやったら、素手で勝負して、
お前らの魂、抜けたとこカメラにおさめて、
無修正の心霊写真にしたろか!?ワレ」
ギロリ、と、通行人の顔を睨み、押さえた声で言った翼宿。
((こんえーーーーーーーーーーーーー!!!))
スマホの電源をOFFにした通行人EとF。
(カッコいーーーーーーーーーー♡)
サングラス越しに、コンタクトレンズをした目を輝かせたエライザ。
(やっぱ、あたしの目に狂いはなかった♡)
それを見ていた、通行人A、B、C、D。
「……やっぱ、映画の撮影かな?」
「アウトレイジじゃない?」
「新作やんのかな?」
「アウトレイジでもないわよ、あんな怖いセリフ……」
女子4人組は、片手に持っていた、
各々、自分のアイデンティティのケースをしたスマホを、
後ろ手に隠した。
「守ってくれてありがとー♡ 近所のコンビニのネェちゃんのこと」
(なんや、急に機嫌ようなって。コロコロ、表情の変わるやっちゃなー)
ざわざわとしか聞こえなかったその他大勢の中に、
通行人G、通行人H、通行人I、J、K、L……と、
与えられた台詞を持つ者が増えてゆく。
『……ねぇ、あれ』
『あ、ほんとだ』
『ドラマの撮影かな?』
『……ねぇ、あれ』
『あ、ほんとだ』
『なんかの撮影かな』
鈍感でデリカシーがなくて記憶力のない翼宿でも、それを、
感じるより、聞こえた。
「お前、ひとりなん?」
「ううん。友達と一緒。仲良しなんだ」
「ふーん」
「あそこから、見てるよ♡」
エライザは、全面ガラス張りのビルを指さした。
しかし、その指の先は高すぎて、天を指しているように、翼宿には見えた。
「……ふーん」
翼宿は、目線を下げ、信号を見た。まだ、信号は赤だった。
「あたしも、並んで買うよ。タピオカミルクティー。ラーメン屋にも並ぶし」
「当たり前やん。横入りしたらアカンで」
「うん」
小さな顔の半分は、大きなサングラスで隠れていたが、
普通の女の子ではないことが、隠し切れていないことは、
鈍感でデリカシーがなくて記憶力のない翼宿でも、考えるより、思った。
(まあ、こんだけぎょうさん人に見られとったら、
流行りの飲みモン一杯買うのも大変やろな……)
「コレ、いるか?」
「うん」
翼宿が差し出したタピオカ入りミルクティーを遠慮なく受け取ると、
ちゅーー、と、ストローを吸ったところで、信号が、青に変わった。
「じゃ」
と、今度こそ、交差点をこちら側から向こう側へ、
渡ろうとした翼宿の顔にエライザは、
(これが、情熱の国スペイン系のお礼の挨拶よ♡)
と、近づけたその顔から遠のくように、一歩、下がった翼宿。
片手に持っている飲み物が、たぷん……と、軽く、揺れた。
「……オレ、付きおうとるヤツ、おんねん。
ちゅーか、一緒に住んどるヤツ、おんねん」
翼宿は、言った。
「じゃ」
「うん。じゃ。タピオカミルクティー、ありがとう♡」
信号はまだ、青だった。
(タイムアップ)
エライザは、心の中で言った。
羊のように交差点を渡ろうとする人の群れをかき分け、
エレベーターに乗り、全面ガラス張りのカフェまで戻ってきた、エライザ。
「どうだった?」
「─────可愛いって」
「じゃ、エライザ、1点ね」
たぷん、と、専用の少し太めの黒いストローが刺さった、
サンセリフ体の黒いロゴが入った、
透明なプラスチックの容器の中を揺らす。
(ちょっと、本気になっちゃった)
(全然、言う通りに、台詞、言ってくれないんだもん。あの男のコ)
(バレンシアガの新作が、タピオカミルクティーになっちゃった)
その仕草は、普通の女の子のようで、やはり、特別な女の子のようで、
ドラマか映画のワンシーンのようであり、写真集の1ページのようだった。
スクランブル交差点を渡り切った翼宿。
(アレが逆ナンっちゅーやつか、知らんかったー)
それが逆ナンであることを知った翼宿は、
タピオカミルクティーを片手に、待ち合わせ場所へと向かった。
スクランブルの交差点を、渡りそびれた翼宿。
対角線上の向こう側からこちら側へ渡ってきた、
4人組の女子のひとりが足を止めた。
それにならって、他の女子も足を止めた。
全員が、今、流行りの前髪をし、
全員が、片手に、流行りの飲み物を持っている。
「……ねぇ、あれ」
「あ、ホントだー。かわいー♡細ーい♡顔、ちっさ!」
「……男と、いる??」
「映画の撮影かな」
ざわざわとしか聞こえないその他大勢の人の声に、
与えられた台詞のような声が交じる。
そこへ、男、二人組の、チャラそうな、
通行人Eと通行人Fが現れて、それを見つけると、
そこへ、スマホを向けた。
「あ、ちょっと……」
エライザは、小さな顔を隠すように、大きなサングラスをかけ直した。
それでも、スマホを向けるのをやめない、通行人Eと通行人F。
「……やめーや」
翼宿は、ギロリ、と、通行人の顔を睨むと、押さえた声で言った。
「あ?お前のこと、撮ったんじゃねーし」
「それとも、お前も撮ってやろうか?(笑)
それで、その悪人顔を、パッチリお目目に加工してやろうか
アプリを駆使して(笑)」
「ああん?じゃかあしいんじゃ、ボケ。
こざかしい細工して恥ずかしいないんか、コラ。
んな写真が好きやったら、素手で勝負して、
お前らの魂、抜けたとこカメラにおさめて、
無修正の心霊写真にしたろか!?ワレ」
ギロリ、と、通行人の顔を睨み、押さえた声で言った翼宿。
((こんえーーーーーーーーーーーーー!!!))
スマホの電源をOFFにした通行人EとF。
(カッコいーーーーーーーーーー♡)
サングラス越しに、コンタクトレンズをした目を輝かせたエライザ。
(やっぱ、あたしの目に狂いはなかった♡)
それを見ていた、通行人A、B、C、D。
「……やっぱ、映画の撮影かな?」
「アウトレイジじゃない?」
「新作やんのかな?」
「アウトレイジでもないわよ、あんな怖いセリフ……」
女子4人組は、片手に持っていた、
各々、自分のアイデンティティのケースをしたスマホを、
後ろ手に隠した。
「守ってくれてありがとー♡ 近所のコンビニのネェちゃんのこと」
(なんや、急に機嫌ようなって。コロコロ、表情の変わるやっちゃなー)
ざわざわとしか聞こえなかったその他大勢の中に、
通行人G、通行人H、通行人I、J、K、L……と、
与えられた台詞を持つ者が増えてゆく。
『……ねぇ、あれ』
『あ、ほんとだ』
『ドラマの撮影かな?』
『……ねぇ、あれ』
『あ、ほんとだ』
『なんかの撮影かな』
鈍感でデリカシーがなくて記憶力のない翼宿でも、それを、
感じるより、聞こえた。
「お前、ひとりなん?」
「ううん。友達と一緒。仲良しなんだ」
「ふーん」
「あそこから、見てるよ♡」
エライザは、全面ガラス張りのビルを指さした。
しかし、その指の先は高すぎて、天を指しているように、翼宿には見えた。
「……ふーん」
翼宿は、目線を下げ、信号を見た。まだ、信号は赤だった。
「あたしも、並んで買うよ。タピオカミルクティー。ラーメン屋にも並ぶし」
「当たり前やん。横入りしたらアカンで」
「うん」
小さな顔の半分は、大きなサングラスで隠れていたが、
普通の女の子ではないことが、隠し切れていないことは、
鈍感でデリカシーがなくて記憶力のない翼宿でも、考えるより、思った。
(まあ、こんだけぎょうさん人に見られとったら、
流行りの飲みモン一杯買うのも大変やろな……)
「コレ、いるか?」
「うん」
翼宿が差し出したタピオカ入りミルクティーを遠慮なく受け取ると、
ちゅーー、と、ストローを吸ったところで、信号が、青に変わった。
「じゃ」
と、今度こそ、交差点をこちら側から向こう側へ、
渡ろうとした翼宿の顔にエライザは、
(これが、情熱の国スペイン系のお礼の挨拶よ♡)
と、近づけたその顔から遠のくように、一歩、下がった翼宿。
片手に持っている飲み物が、たぷん……と、軽く、揺れた。
「……オレ、付きおうとるヤツ、おんねん。
ちゅーか、一緒に住んどるヤツ、おんねん」
翼宿は、言った。
「じゃ」
「うん。じゃ。タピオカミルクティー、ありがとう♡」
信号はまだ、青だった。
(タイムアップ)
エライザは、心の中で言った。
羊のように交差点を渡ろうとする人の群れをかき分け、
エレベーターに乗り、全面ガラス張りのカフェまで戻ってきた、エライザ。
「どうだった?」
「─────可愛いって」
「じゃ、エライザ、1点ね」
たぷん、と、専用の少し太めの黒いストローが刺さった、
サンセリフ体の黒いロゴが入った、
透明なプラスチックの容器の中を揺らす。
(ちょっと、本気になっちゃった)
(全然、言う通りに、台詞、言ってくれないんだもん。あの男のコ)
(バレンシアガの新作が、タピオカミルクティーになっちゃった)
その仕草は、普通の女の子のようで、やはり、特別な女の子のようで、
ドラマか映画のワンシーンのようであり、写真集の1ページのようだった。
スクランブル交差点を渡り切った翼宿。
(アレが逆ナンっちゅーやつか、知らんかったー)
それが逆ナンであることを知った翼宿は、
タピオカミルクティーを片手に、待ち合わせ場所へと向かった。