☆英雄遊戯☆ feat. ☆1LDK遊戯☆
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1
芸能事務所に所属する、人間と天使のハーフたちが、
神様のいる天界よりは低く、下界よりは高いとこにあるカフェから、
青信号に、世界屈指の交通量を誇る交差点を人々が行き交うのを、見ていた。
外側には水滴一つ、内側には指紋一つない、
よく磨かれた全面ガラス張りの4人掛けのソファー席からは、
誰かが思っている以上に、人の顔がよく見えた。
目の悪いエライザは、コンタクトレンズを着用していたが。
普段、知らないところで知らない誰かに見られる宿命の星の下に生まれた者に、
まさか、知らないところで見られている運命の悪戯を、知る者があるとすれば、
それは、もっともっともーっと、高いところから、下を見ている者だけだろう。
その者が、よっぽど目が良いか、コンタクトレンズを着用していればの話だが。
レーシックでも可。
ソファーの色は白で、
ソファーの高さに合わせた足の低いテーブルの上には、各々のスマホと、
雲ででき、花で色付けされ、夢で味付けされたギモーヴと、
下から、黒、ベージュ、白と、層になったカフェグラッセが置かれ、
白いテーブルの上で、それは映えた。
─────それと、白いガーゼのような袋に入った、バレンシアガの新作のバッグが、
そのテーブルの中心に置かれている。
だからか、地上を見下ろす、人間と天使のハーフたちの目は、
皆一様に、瞬きを忘れるほどに、真剣だった。
─────箱は、ない。雑誌の撮影で使われた物だ。それを貰ったのだ。誰ともなく。
瞬きの少ないその姿は、まだ、神様が魂を入れる前の人形のようであり、
ドラマか映画のワンシーンのようであり、写真集の1ページのようだった。
─────今は秋だが、来年の春夏の新作だ。
だから、地上を見下ろす、人間と天使のハーフたちは、
皆一様に、この勝負<ゲーム>に、真剣だった。遊びじゃない。
「あ」
と、初めて声を発した人形のように、
エライザは言って、地上を、指さした。
「あ、あの男のコ、カッコいい」
表情のある、少し倍音がかった声だった。
他の、人間とハーフの天使たちが、その指の先を追う。
「え、どれ?」
「え、あの人?」
「え、コワそう」
探す同期と、訊ねる同期と、ため口の後輩。
「え、なんで、カッコいーじゃん」
エライザは、一度瞬きをし、
改めて、自分の指の先にいる、男のコのことを見た。
少し年下だろうか、同世代だろか、それとも少し年上だろうか。
炎のように明るい髪色と、白い牙の覗く口元と、三白眼の目。
怖そうと言われれば、怖そうだが、
コンプライアンス違反で、誰かに怒られることと比べれば、コワくない。
むしろ、ルールを守って、赤信号で止まり、信号が青に変わるのを、
大人しく待っているその姿は、当たり前のことなのに、
エライザの目には、どこか、可愛らしく映った。
「わたし、あの男のコに、きーめたっ♡」
エライザは、サングラスを取り出すと、それをかけた。
小さな顔の半分を、大きなサングラスが、隠す。
CMやドラマや映画に合わせて伸ばしていた前髪から、
象徴的とも言える、ぱつん、と、眉毛の上で切り揃えた前髪に戻り、
無意識に、前髪が乱れていないか整えながら、
無意識に、ルールを心の中で復唱する。役を作るみたいに。
─────可愛いと言われたら、1点。
─────お茶に誘われるなど、ナンパをされたら、5点。
─────キスされたら、10点。
自己申告制で、一番点数の高かった者が、
この遊戯<ゲーム>勝者で、このバッグ<限定色>の所有者だ。
タイムリミットは、約5分。
信号が、青から赤に変わり、もう一度、青になるまでの間。
つまり、交差点を、一往復できるだけの、時間。
─────それ以上は、リスキー過ぎた。
いくら、素顔<素性>は、隠した上で、とは言え─────。
信号は、青から赤に変わったばかり。
次、信号が青に変わるまで、約2分半。
エレベーターに乗り、
羊のような信号待ちをしている人の群れに辿り着くのは、瞬間移動のよう。
一つ瞬きしている間に過ぎる一瞬のように思えた。
その後、見失うか、巡り会えるかは、神様の言う通り。
エレベーターを降り、地上に降り立った、エライザ。
細く華奢な体で人混みを、すり抜けた先に、
炎のように明るい髪色の、その男のコの後ろ姿を、見つけた。
(あ、いた)
その人混みに、まるで弾き押し出された羊かのようにエライザは、
翼宿の胸に、真横からぶつかった。
「…あ、すみませんっ」
「あ、すまんっ」
(あ、関西弁)
両手に持っていた飲み物が、かかったかと思い、翼宿はとっさに、あやまった。
(あっぶなーーーー!!フタ、ついとってよかったーーーーー!!)
芸能事務所に所属する、人間と天使のハーフたちが、
神様のいる天界よりは低く、下界よりは高いとこにあるカフェから、
青信号に、世界屈指の交通量を誇る交差点を人々が行き交うのを、見ていた。
外側には水滴一つ、内側には指紋一つない、
よく磨かれた全面ガラス張りの4人掛けのソファー席からは、
誰かが思っている以上に、人の顔がよく見えた。
目の悪いエライザは、コンタクトレンズを着用していたが。
普段、知らないところで知らない誰かに見られる宿命の星の下に生まれた者に、
まさか、知らないところで見られている運命の悪戯を、知る者があるとすれば、
それは、もっともっともーっと、高いところから、下を見ている者だけだろう。
その者が、よっぽど目が良いか、コンタクトレンズを着用していればの話だが。
レーシックでも可。
ソファーの色は白で、
ソファーの高さに合わせた足の低いテーブルの上には、各々のスマホと、
雲ででき、花で色付けされ、夢で味付けされたギモーヴと、
下から、黒、ベージュ、白と、層になったカフェグラッセが置かれ、
白いテーブルの上で、それは映えた。
─────それと、白いガーゼのような袋に入った、バレンシアガの新作のバッグが、
そのテーブルの中心に置かれている。
だからか、地上を見下ろす、人間と天使のハーフたちの目は、
皆一様に、瞬きを忘れるほどに、真剣だった。
─────箱は、ない。雑誌の撮影で使われた物だ。それを貰ったのだ。誰ともなく。
瞬きの少ないその姿は、まだ、神様が魂を入れる前の人形のようであり、
ドラマか映画のワンシーンのようであり、写真集の1ページのようだった。
─────今は秋だが、来年の春夏の新作だ。
だから、地上を見下ろす、人間と天使のハーフたちは、
皆一様に、この勝負<ゲーム>に、真剣だった。遊びじゃない。
「あ」
と、初めて声を発した人形のように、
エライザは言って、地上を、指さした。
「あ、あの男のコ、カッコいい」
表情のある、少し倍音がかった声だった。
他の、人間とハーフの天使たちが、その指の先を追う。
「え、どれ?」
「え、あの人?」
「え、コワそう」
探す同期と、訊ねる同期と、ため口の後輩。
「え、なんで、カッコいーじゃん」
エライザは、一度瞬きをし、
改めて、自分の指の先にいる、男のコのことを見た。
少し年下だろうか、同世代だろか、それとも少し年上だろうか。
炎のように明るい髪色と、白い牙の覗く口元と、三白眼の目。
怖そうと言われれば、怖そうだが、
コンプライアンス違反で、誰かに怒られることと比べれば、コワくない。
むしろ、ルールを守って、赤信号で止まり、信号が青に変わるのを、
大人しく待っているその姿は、当たり前のことなのに、
エライザの目には、どこか、可愛らしく映った。
「わたし、あの男のコに、きーめたっ♡」
エライザは、サングラスを取り出すと、それをかけた。
小さな顔の半分を、大きなサングラスが、隠す。
CMやドラマや映画に合わせて伸ばしていた前髪から、
象徴的とも言える、ぱつん、と、眉毛の上で切り揃えた前髪に戻り、
無意識に、前髪が乱れていないか整えながら、
無意識に、ルールを心の中で復唱する。役を作るみたいに。
─────可愛いと言われたら、1点。
─────お茶に誘われるなど、ナンパをされたら、5点。
─────キスされたら、10点。
自己申告制で、一番点数の高かった者が、
この遊戯<ゲーム>勝者で、このバッグ<限定色>の所有者だ。
タイムリミットは、約5分。
信号が、青から赤に変わり、もう一度、青になるまでの間。
つまり、交差点を、一往復できるだけの、時間。
─────それ以上は、リスキー過ぎた。
いくら、素顔<素性>は、隠した上で、とは言え─────。
信号は、青から赤に変わったばかり。
次、信号が青に変わるまで、約2分半。
エレベーターに乗り、
羊のような信号待ちをしている人の群れに辿り着くのは、瞬間移動のよう。
一つ瞬きしている間に過ぎる一瞬のように思えた。
その後、見失うか、巡り会えるかは、神様の言う通り。
エレベーターを降り、地上に降り立った、エライザ。
細く華奢な体で人混みを、すり抜けた先に、
炎のように明るい髪色の、その男のコの後ろ姿を、見つけた。
(あ、いた)
その人混みに、まるで弾き押し出された羊かのようにエライザは、
翼宿の胸に、真横からぶつかった。
「…あ、すみませんっ」
「あ、すまんっ」
(あ、関西弁)
両手に持っていた飲み物が、かかったかと思い、翼宿はとっさに、あやまった。
(あっぶなーーーー!!フタ、ついとってよかったーーーーー!!)
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