☆同室遊戯☆
☆同室遊戯2☆
ー1ー
なにか、夢を見ていた。
なにか、物音に、ふっと、意識が夢からはなれ、
現実の世界に、揺り戻される。
このまま気にせず、
寝てしまおうかと、と思ったが、
翼宿は、ぱちり、と目を開けた。
「あ、起こしちゃった?」
「………眠れないんか?」
眠い目をこすりながら、上半身を起こし、
翼宿がいう。
「なーんか、目が冴えちゃって。
お酒でもって、思ってね」
柳宿が、月明りに照らされて顔で、
ぺろり、と、舌を出していう。
「ふーん」
その手には、どこから持ってきたのか、
お酒の瓶が握られていた。
翼宿は、あくびをしながら寝台から起き出すと、
窓際に置かれた椅子に、どかっと、腰を下ろした。
「なーに?付き合ってくれるのぉ?」
柳宿から手から酒の瓶を受け取ると、
前に腰かけた、柳宿のグラスに酒を注ぎ、
自分は手酌でグラスにその酒を注いだ。
「ありがとー♡ カンパーイ♡」
と、なぜか飲む前からすでに上機嫌な柳宿は、
一方的に、翼宿のグラスに自身のグラスの縁をぶつける。
(こんな真夜中に、なにに乾杯やねん)
と、心の中で思いながら、酒を口に含む。
「ん、おいしーい♡ ね♡?」
柳宿の同調を求めるような語尾に、
(酒は、酒や)
と、思いながらも、
まだ半分夢の中にいるような頭をフル回転させ、
柳宿が用意した酒の味に、
「ホンマやなぁ!」
と、相槌を打つ。
「アンタに、お酒の味の違いなんてわかるの?」
と、返される。
「どないやねん」
完全に目が覚める。
「ね♡ ね♡ ほらッ、満月♡」
柳宿が、開いた窓の外を指さす。
もうだいぶ遠く高い位置に、丸い月が昇っていた。
「ほ~!」
翼宿が、感嘆の声を上げる。
「ね♡?」
「それで、窓全開で、月見酒か」
「そ~ゆ~ことッ♡」
柳宿が、少し減った翼宿のグラスにお酒を注ぎ足す。
「だからネ♡ カンパーイ♡」
柳宿が、自身のグラスを差し出す。
翼宿が、そのグラスの縁に、自分のグラスを、カチン、と当てる。
雲一つない、満月の夜。
時の流れなどないかのような宇宙の中で、
瞬きを止めない星の輝きだけが、
確かな時の流れを告げていた。
「キレ~ね~♡」
柳宿は、そうつぶやくと、
右手で持ったグラスの底に左手を添えて傾け、
お上品にその縁に唇を付けた。
その洗練されつつも色気を持つ仕草に、
つい、目がいってしまう。
柳宿の腰まである豊かな髪が、
月の光を浴びて、まるで命のそれのように、
眩しく、尊く、光り輝いている。
(なんや、アレやな………)
丈の短い寝巻からのぞく白い足が、
月光のせいで、より青い白さを増して映る。
(かぐや姫みたいやな)
細く、引き締まった足首は、
健康的、かつ、なまめかしさを、はらんでいて、
翼宿は、本当はどっちなのか、
わからなくなる時があった。
(はっ、コイツ、かぐや姫なんかっ!?)
しかし、その絶妙な均整で、コイツは、できてる。
バカな翼宿にも、それはなんとなく理解できた。
(まー、わるうないな)
柳宿が、遠くにある月を眺めながら、
美味しそうに、お酒を嗜む。
翼宿も、月見酒を愉しむ。
続く
ー1ー
なにか、夢を見ていた。
なにか、物音に、ふっと、意識が夢からはなれ、
現実の世界に、揺り戻される。
このまま気にせず、
寝てしまおうかと、と思ったが、
翼宿は、ぱちり、と目を開けた。
「あ、起こしちゃった?」
「………眠れないんか?」
眠い目をこすりながら、上半身を起こし、
翼宿がいう。
「なーんか、目が冴えちゃって。
お酒でもって、思ってね」
柳宿が、月明りに照らされて顔で、
ぺろり、と、舌を出していう。
「ふーん」
その手には、どこから持ってきたのか、
お酒の瓶が握られていた。
翼宿は、あくびをしながら寝台から起き出すと、
窓際に置かれた椅子に、どかっと、腰を下ろした。
「なーに?付き合ってくれるのぉ?」
柳宿から手から酒の瓶を受け取ると、
前に腰かけた、柳宿のグラスに酒を注ぎ、
自分は手酌でグラスにその酒を注いだ。
「ありがとー♡ カンパーイ♡」
と、なぜか飲む前からすでに上機嫌な柳宿は、
一方的に、翼宿のグラスに自身のグラスの縁をぶつける。
(こんな真夜中に、なにに乾杯やねん)
と、心の中で思いながら、酒を口に含む。
「ん、おいしーい♡ ね♡?」
柳宿の同調を求めるような語尾に、
(酒は、酒や)
と、思いながらも、
まだ半分夢の中にいるような頭をフル回転させ、
柳宿が用意した酒の味に、
「ホンマやなぁ!」
と、相槌を打つ。
「アンタに、お酒の味の違いなんてわかるの?」
と、返される。
「どないやねん」
完全に目が覚める。
「ね♡ ね♡ ほらッ、満月♡」
柳宿が、開いた窓の外を指さす。
もうだいぶ遠く高い位置に、丸い月が昇っていた。
「ほ~!」
翼宿が、感嘆の声を上げる。
「ね♡?」
「それで、窓全開で、月見酒か」
「そ~ゆ~ことッ♡」
柳宿が、少し減った翼宿のグラスにお酒を注ぎ足す。
「だからネ♡ カンパーイ♡」
柳宿が、自身のグラスを差し出す。
翼宿が、そのグラスの縁に、自分のグラスを、カチン、と当てる。
雲一つない、満月の夜。
時の流れなどないかのような宇宙の中で、
瞬きを止めない星の輝きだけが、
確かな時の流れを告げていた。
「キレ~ね~♡」
柳宿は、そうつぶやくと、
右手で持ったグラスの底に左手を添えて傾け、
お上品にその縁に唇を付けた。
その洗練されつつも色気を持つ仕草に、
つい、目がいってしまう。
柳宿の腰まである豊かな髪が、
月の光を浴びて、まるで命のそれのように、
眩しく、尊く、光り輝いている。
(なんや、アレやな………)
丈の短い寝巻からのぞく白い足が、
月光のせいで、より青い白さを増して映る。
(かぐや姫みたいやな)
細く、引き締まった足首は、
健康的、かつ、なまめかしさを、はらんでいて、
翼宿は、本当はどっちなのか、
わからなくなる時があった。
(はっ、コイツ、かぐや姫なんかっ!?)
しかし、その絶妙な均整で、コイツは、できてる。
バカな翼宿にも、それはなんとなく理解できた。
(まー、わるうないな)
柳宿が、遠くにある月を眺めながら、
美味しそうに、お酒を嗜む。
翼宿も、月見酒を愉しむ。
続く