☆別冊雛菊≪マーガレット≫遊戯☆

空いている翼宿の隣に横に、少し間を空けて横になった柳宿。
の、体を、翼宿は力強く自分の体の方へ引き寄せた。


「…きゃっ」


体が近づき、熱が近づく。

そのまま、翼宿の手は優しく柳宿の頭の上に置かれ、
手櫛で髪がとかれる。


「…髪、とくのは変なこととちゃうやろ?」

「そうね」


柳宿の絡まりのない髪が、
翼宿の指の間をすり抜けては、
白いシーツの上に落ちる。

その度、椿のような、桔梗のような、
花の香りが翼宿の心の内をくすぐり、
そのくすぐりは、翼宿の体の下をくすぐった。


「ええ匂いやな。椿か」

「…桔梗よ」


翼宿は、柳宿の頬に触れた。
少し赤みをさした頬をした柳宿。

触れた指先から、とくん、とくん、と、
心と体の高鳴りが伝わってしまう気がしたが、
それは柳宿も同じだった。
少し赤みをさした頬をした柳宿。



(これは変なことスル流れだわ)

(ホンマになんもせーへんかったら怒るやつやな、これは)



少し赤みをさした翼宿の顔が近づき、
唇と唇が触れ合う─────







か、触れ合わないかのその時─────。



ばんっ!!!


「柳宿ーーーーーっ♡」


勢いよく、ノックもなく、部屋の扉が開き、
柳宿と翼宿は、勢いよく、
近づいていた体をはなすと、
寝台の端と端に、はなれて腰をかけた。


「み、み、み、美朱っ!!!?な、な、な、なんか用っ!?」


「柳宿に貸してもらった少女漫画の付録のスゴロク、一緒にやろー♡
あ、翼宿も一緒だったんだ。翼宿もしよ♡人数多い方が楽しいし」


「え、え、え、ええっ、いーわよっ!?
ちょーどシたいと思ってたのよぉ!?スゴロクをっ」

(10大付録なんか付けてンじゃないわよッ)


「お、お、お、おー、ええなぁ!?
ちょーど死ぬほど暇やったんやっ」

(これやから、オンナ子供向けの読みモンは嫌いやっ)



翼宿と柳宿と美朱の3人は、
意外と望んだ出目の出ない少女漫画の付録に本気になり、
結局、6回戦しましたとさ。スゴロクを。


おわり
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