☆美少女戦士海月遊戯☆

#4


艶やかな、蝶の汕頭<スワトウ>刺繍の入った衣装に、
華やかな顔立ち、明るい声の先客に、
愛瞳は、店先で待った。

「う~ん。今日のお夕飯、なににしようかしらぁ~?」

「お!織物問屋の若奥サン。毎度!
今日も、若くて、ベッピンで、ボッ、キュン、ボンで、
昨日より、若返ってるとちゃいますの?
このままいくと、半年後には、母体に戻って、
また赤ん坊からやり直しとるんと、ちゃいまっか~?」

「も~♡だ・れ・がっ♡楊貴妃の生まれ変わりよ~~ッ♡」

「今日は、い~い芥藍菜<カイラン>が入ってますけど、ど~しましょ?」

「じゃ、それ、頂くわ」

「毎度!」

「あと、ターサイと子持ち高菜と空心菜、頂戴な。

それと、クコの実と棗<ナツメ>と、
乾燥青葡萄<ドライグリーンレーズン> を、詰め合わせて」

「毎度!」

特に色と形のいい葉物野菜を選ぶと、それを先に奥サンに渡す。
奥サンは、それを、先に籐の買い物籠にしまった。

それから、二枚の笹の葉を十字に敷いた上に、
十列十段の引き出しから取り出した木の実や乾燥果物を、
ざっ、ざっ、ざっ、と、目分量で乗せ、四方を畳んで包むと、
それがばらけないように、龍の髭で括(くく)った。
結んでできてふたつの輪が、ちょうど、小さな持ち手のように。


(ほ~!贈り物みたいやな!)


心の中で、感心した声を上げた愛瞳。


「おおきに~♡」

小さな持ち手を持って渡されたそれを、
揃えた手の平で受け取ると、
奥サンはそれも籐の買い物籠にしまい、
慣れない関西弁で礼をいい、
ヒラヒラと、手を振ると、
蝶々のように、身を翻し、去って行った。

「毎度!おおきにっ!またどうぞご贔屓にっ!」

八百屋の店主は、礼と見送りを終えると、
ツケの帳簿の記入を後回しに、
小さなお客の方に向き直った。

「嬢ちゃん、待たせてすまんなっ!
お使いかいな!?エライなーっ!末は、女官か西太后かっ!?
毎度!今日は、なににしましょ?」

「大根、一本、頂戴な」

「毎度!」

特に大きく身の詰まったものを手渡す。

「はい、大根一本、百万円っ」

十文を差し出した、愛瞳。

「なあなあ、オ〇ギリジョー似の男前の八百屋のおっちゃん♡
そのリュウのヒゲみたいなの、一本、ウチにくれへん?」


つづく
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