☆美少女戦士海月遊戯☆

#2


「え~と。帰りに大根買うて、
知らん人についてったらアカンくて、
誕生会までに帰らなアカンくて……。
他にもなんか、言うとったな。
忘れてもうたわ。まあ、たいしたこと、ちゃうやろ。
母さんも、注文多いわぁ」

五文と、大根代、十文を手に、市街地をゆく愛瞳。

「愛瞳チャ~ン♡」

名前を呼ばれ、振り返ると、近所の遊び友達が、
右手を振りながら、こちらに駆け寄ってくる。

「音音<ルンルン>チャ~ン♪」

名前を呼び返し、右手を大きく振り返すが、
すぐに、視線は、その左手に、惹き付けられた。

「あ~~~♡」

「えへへっ♪い~でしょ~♪」

左手にしたそれを、右手もそえると、
扇のように、広げて見せた。

一番上には、愛瞳の視線を引き寄せた、
キラキラの札<カード>が、キラキラの表を見せている。

「ええな~♡」

愛瞳は、瞳をキラキラさせ、言った。

「えへへ♪え~やろ~~♪」

音音も、目をキラキラさせ、言った。

「それっ、貴重札<レアカード>やんっ!」

「さすが、愛瞳チャン。わかるか~?この札<カード>の価値がっ♪」

「わかるわっ!キラッキラやんッ!月と同じ輝きやんっ!」

「まあ、隠しても隠しきれんやろな、この輝きはっ♪」

「まあ、隠してないけどなっ!」

月と同じ輝きの、美少女戦士海月の『海月姫』の、
貴重札<レアカード>を見つめる。

「ええな~♡」

もう一回、言った愛瞳。

「えへへ♪え~やろ~~♪」

もう一度、言った音音。

「でも、なかなかお目当てのカードが出ぇへんくて、
十回も引いてもうたわ!
ほら、こんなに通常札<ノーマルカード>がかぶってもうた」

隠さずに、友達に、正直に回数を打ち明ける。


(十回……。一回、二文)


頭の中で、算計をする愛瞳。


「愛瞳チャン、またね~♪」
「音音チャン、まったね~♡」


手を振り合い、近所の遊び友達と別れた愛瞳は、
駄菓子屋へ向かった。


つづく
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