☆美少女戦士海月遊戯☆

#1


「あ~~~♡馬垃糕ッ(マーラーカオ)♡」

そうそうお目にかかれない、
円(ホール)の中華風カステラに、
不作法に、ぱくりっ、と、食いついた愛瞳<アイドウ>の頭を、
ペシッ、と、はたいた、五女一男の母。

「あいたっ!?」

「コレッ!これはアンタの弟の誕生日ケーキやろっ」

「なに~~~~!?生意気なっ!?
アイツに誕生日なんかあったんか!?
アイツ、橋の下の捨てられとった、貰われっ子とちゃうの!?
あたし、今日まで、アイツにそう教え込んで接してきたで!?」

はたかれた頭をさすりながら弁明をする愛瞳に、
母は、五文を差し出した。

「はい、コレ」

「なにコレ?くれるん?おおきに♡
母さん、今日も、若くて、ベッピンで、
ボンッ、キュッ、ボンッやな~♡
乃〇坂4〇メンバーのOBの遠縁の親戚の
知り合いかと思ったわぁ♡」

「おべっかはよろしい!」

「おべっかなんかとちゃうわ~♡
え?じゃあ、ウチ、乃〇坂4〇メンバーのOBの
遠縁の親戚の知り合いの娘??
どないしよう、その自覚が、芽生えてもうたわっ!」

「芽生えんでよろしっ!弟とそっくりな顔して!

それはアンタのとちゃう」

弟より、だいぶ愛想のいい、
愛嬌のある顔をコロコロと変え、
アイドルよろしく、愛らしい瞳を、
『??』と、させた愛瞳。

「それで、弟になんか買うたりぃ」

「はぁ!!??」

五文を我が物と握りしめ、
アイドルらしからぬ声を上げた愛瞳。

「なんで、ウチが弟にっ、なんか買うたらなアカンのッ!?
なんの日やっ!?」

「誕生日やろ」

もう、十文を取り出した母。

「あんなモン、そこらへんに落ちとる棒、
放ったっても、シッポ振って、ひらぁてくるで!?
なんでっ、ウチがっ、モトデかけてまでっ、
アイツになんか買うてこなきゃ、アカンねんッ!?」

「弟の喜ぶモン、買うてくるんやで。
自分の欲しいモン、買うたらアカンで。
誕生日会までに帰ってきい。
知らん人についてったらアカンからなっ!
あと、帰りに、大根、買うてきてな。はい、大根代」

五文と、大根代、十文を、愛瞳は受け取った。


つづく
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