☆お裁縫遊戯☆

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「ついでにみんなのも繕(つくろ)っちゃお~♡
気になってたのよね~♡
仕事はちゃっちゃと、終わらせちゃいましょ~♪」


(こいつ、こー見えて、意外とシンデレラ気質やな)


気になってたのか、頼まれたのか、勝手に持ってきたのか、
小さな裁縫箱の横に、服の山ができる。

柳宿は、また、ぴんっ、と、糸をはじいた。


「やっぱりっ!みーちゃんたら、こんな破き方してっ!
変な作りの服なんだから、直すの大変なんだからっ。
今度、こんな破き方したらご飯抜きよっ!」

茶系の糸を通した針で、
チクチクと、美朱の服を縫う。

「もう、たまちゃんったら!
ほつれたとこ、繕ってくれって、
ここまで着込んだなら、もう買い替えなさいよね!
今度、お金の使いどころ、教えなきゃダメねっ!」

青い糸を通した針で、
たまちゃんの服を、チクチクと縫う。

「さ・て・と~♡つ・ぎ・は~、星宿様のお召し物~♡
剣をさばく時、お邪魔にならないよーにッ、
ちょっとだけ、お袖をつまんで差し上げたいとっ、
思ってたのよね~♡な・ん・て、気の利くア・タ・シ~♡



─────って、

すでにしてあるじゃないッ!!袖下の袖上げっ!
それにっ、動きやすいようにっ、伊勢込み処理まで施されてるっ!

誰っ!?皇帝陛下のお召し物に、
こんなっ、見え見えの気の利くアピールした女はっ!??

ちょっとお裁縫が出来るからって、エラソーにぃ!
しかもっ、見えないところに、
仏蘭西刺繍(フレンチステッチ)なんかしちゃってさ~~~っ!

今度、どこの誰だかわかったらっ、
いじめ抜いてやるんだからぁ~~~~~!!!」

チクチクチクチク─────。(←見えないところに、自分の名前、刺繍してる)


「やっぱ、継母気質やな」


取れそうにない胸元の釦(ボタン)をいじりながら、
そう思う翼宿であった。


The END
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