☆お化粧遊戯☆



「なぁ~にぃ♡張宿」

お化粧中の柳宿の顔を、じっと見つめる張宿。

「あたし、キレイ?」

「は、はい」

「正直で、イイコねェ~♡」

満足そうに頷く柳宿。

「あ、ヤダ、もぉ、口紅、はみだしちゃったじゃないッ!
お化粧中に話しかけないでっ」

(話しかけてきたのは柳宿さん…)

粉をはたき、仕上げに、金木犀の練り香水を、
ちょんちょんと、うなじに付ける。

「よし☆カンペキッ♡

あ~ん♡アタシってば、世界四大美女のひとりじゃない!?

これじゃあ、あのお方も、アタシにイチコロねッ♡」

コンパクトの鏡で上下左右、
自分の顔を、うっとりと見つめる柳宿。

「柳宿さんは、星宿様のことが、好きなんですよね?」

「ん?そーよぉ」

ぱちん、と、コンパクトを、閉じる。

「なのよぉ、今更?」

「なぜ、そんな、不毛なコト、するんですか!?」

「は?」

「だって、柳宿さんと星宿様は男の人同士ですよね!?」

「………」

「どんなに美しくなっても、
決して、ホンモノの女の人にはなれないのにっ!?」

「………」

「愚の骨頂ではないでしょーか!?」

「アナタ、いままで、アタシのコト、そんな風な目で見てたのッ!?」

「なぜ、そんな、無意味なこと、するのでしょーかっ?!」

(頭のイーコはこれだからチョットやっかいねェ、
大人しく、お菓子でも食べて、
ポケGOでもしてりゃいーのよッ)※古代中国設定

張宿のセリフに、大人の余裕でにっこりと笑って、化粧筆を取る柳宿。

「百聞は一見に如かず、よ。
アタシが、理屈じゃなくて、
実戦で、美と愛のなんたるかを教えてア・ゲ・ル♡」

「わっ!?」

「ええいっ!じっとしてなさいなっ!」

「や、やめてくださいっ!?」

「イタくないからっ!」


数分後。


「カンッペキ☆」

そこには、紅を引き、粉をはたき、頬紅を乗せた、
キラッキラの女の子になった張宿がいた。

「張宿、とーってもカワイイわよッ♡
アタシのほーがカワイーけど」

「こ、これが、僕………?」

柳宿に手渡された手鏡を覗き込む。

「そー。人はね、色々な顔があるものなのっ。
装うことで、本当の自分になれる生き物なのっ」

「柳宿さん、僕、なんかわかったような気がします!」

「わかれば、よろしい♡」

そこへやってきた、翼宿と井宿。

「ん?誰や、そのめんこいガキは?」

「柳宿の親戚なのだ?」

「ん?」

「ん?」

「た、翼宿さん、ど、どーですか?僕の顔………」

「どわーーーーー!!?張宿」

「うわーーーーー!!?なにがあったのだっ!!?」

「ンフフフフ♡アタシが、メイクアップしてあげたのッ!
カワイーでしょ♡(アタシのほーがカワイ~けど)」

「柳宿さんっ!僕、間違ってました!」

「張宿!お前はなんも、間違うてへん!
この、オカマにそそのかされたんやろっ!!?」

「そーなのだっ!間違ってるのは、その変態の方なのだ!!」

「なっ!?変態って、許せないッ!その差別!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ、
翼宿と井宿と柳宿の三人の後ろで、
手鏡に映った、今まで見たことのない自分の顔を、
いつまでも、じっと、見つめる張宿でした☆

おわり
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