1.Trigger on.
貴方のお名前は?
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説明のあったトリオン体というものは、まるで漫画のような動きが可能らしい。脳内に描いていた「こう動けたらかっこいいだろうな」という奇天烈な動きも、ある程度はやることができた。
可能ではあるが、それが行き過ぎて大振りな動きになるのはいただけない。もっと上手に、確実に急所を狙わねければ。
私があの甲殻類と対峙するのはこれで二度目。急所はあの目玉のような部分。相手の動きも大振りで、わざわざ急所を隠すようなマネはしないらしい。日本刀なんて扱ったことはないが、刺す程度ならいけるだろう。
「…………よし」
まずは相手の刃が届かない場所まで、壁を伝って間合いを取る。この身体の脚力で一気に詰められる距離を探し、あとは身体をぶった切られる覚悟で懐に突っ込む。鞘から抜いた刀は余程斬れ味が良かったらしい、真っ二つとはいかないまでも、急所は傷をつけることができた。
すぐさま襲いかかってきた腕も一本ずつ切り落としていき、もう一度間合いを取っていく。そして武器の無いまま突っ込んでくる巨体の急所を、そのまま剔り出した。
『――三号室終了、記録――一分十七秒』
無感情な機械の音が、私の成績を報告してくれる。これが初模擬戦としてどのような結果なのかはわからないが、周りを見る限り一分を切るとそれなりらしい。
運動オンチの私からすれば、この結果はかなり良い方だろう。というより、最初相手の攻撃を見るのと、自分がどれだけ動けるのか確認するためにに逃げ回っていたのだから、その分の秒数もある。それでも銃火器でも傷一つつかなかったネイバーをこれだけ簡単に削れるというのは、トリガーというのは恐ろしいものだ。
その後も街を模したフィールドなどでの訓練が着々と進み、これで味をしめた人間は皆誰かしらに師事しようとしている。これから訓練と戦闘を重ね、正隊員を目指すことになるのだと実感できた。
正隊員になれば、今度は仮装なんかではない、本物のバケモノと対峙することになるだろう。その時が、あいつらを葬り去るチャンスだ。
トリオン体での痛覚は感じるようにした。いくら正隊員になれば緊急脱出機能が付けられるとはいえ、それに加えて痛覚まで切ってしまえばゲームと同じ。緊張感はバーチャルの中では薄れてしまう。そうなれば本気であいつらを殲滅する邪魔になる。堕落する。私はそういう人間だ。それをあの時に嫌という程思い知らされた。
今度こそ腕が遁れようとも、足を切り落とされようとも、例えば胴が離れたとして、あの時のような後悔は二度としないと誓おう。
手のひらを開いて、グッと硬く握りしめる。あの時に無かった力を、今度は周りのために使おう。正しくあろう。
可能ではあるが、それが行き過ぎて大振りな動きになるのはいただけない。もっと上手に、確実に急所を狙わねければ。
私があの甲殻類と対峙するのはこれで二度目。急所はあの目玉のような部分。相手の動きも大振りで、わざわざ急所を隠すようなマネはしないらしい。日本刀なんて扱ったことはないが、刺す程度ならいけるだろう。
「…………よし」
まずは相手の刃が届かない場所まで、壁を伝って間合いを取る。この身体の脚力で一気に詰められる距離を探し、あとは身体をぶった切られる覚悟で懐に突っ込む。鞘から抜いた刀は余程斬れ味が良かったらしい、真っ二つとはいかないまでも、急所は傷をつけることができた。
すぐさま襲いかかってきた腕も一本ずつ切り落としていき、もう一度間合いを取っていく。そして武器の無いまま突っ込んでくる巨体の急所を、そのまま剔り出した。
『――三号室終了、記録――一分十七秒』
無感情な機械の音が、私の成績を報告してくれる。これが初模擬戦としてどのような結果なのかはわからないが、周りを見る限り一分を切るとそれなりらしい。
運動オンチの私からすれば、この結果はかなり良い方だろう。というより、最初相手の攻撃を見るのと、自分がどれだけ動けるのか確認するためにに逃げ回っていたのだから、その分の秒数もある。それでも銃火器でも傷一つつかなかったネイバーをこれだけ簡単に削れるというのは、トリガーというのは恐ろしいものだ。
その後も街を模したフィールドなどでの訓練が着々と進み、これで味をしめた人間は皆誰かしらに師事しようとしている。これから訓練と戦闘を重ね、正隊員を目指すことになるのだと実感できた。
正隊員になれば、今度は仮装なんかではない、本物のバケモノと対峙することになるだろう。その時が、あいつらを葬り去るチャンスだ。
トリオン体での痛覚は感じるようにした。いくら正隊員になれば緊急脱出機能が付けられるとはいえ、それに加えて痛覚まで切ってしまえばゲームと同じ。緊張感はバーチャルの中では薄れてしまう。そうなれば本気であいつらを殲滅する邪魔になる。堕落する。私はそういう人間だ。それをあの時に嫌という程思い知らされた。
今度こそ腕が遁れようとも、足を切り落とされようとも、例えば胴が離れたとして、あの時のような後悔は二度としないと誓おう。
手のひらを開いて、グッと硬く握りしめる。あの時に無かった力を、今度は周りのために使おう。正しくあろう。
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