腐向け
貴方のお名前は?
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暗い部屋に響くキーボード音。月1のペースで新しい公演があることと文学部のレポート量のせいかPC画面に向かう回数が多くなった。昔はPCなんて高級なものが家にあるわけもなく、手書きで書いたものだが労力と時間を考えるとデジタル打ちが圧倒的に早いのは確かだ。
首を回すと小気味のいい音が鳴る。ちらりと窓を見れば既に朝焼けの光がカーテンから差し込んでいた。
そろそろ寝ようかと立ち上がったところで103号室側の壁から密かにゲーム音楽が聞こえてくる。ぼんやりとした頭で部屋から出れば、薄っすらと部屋の電気がついていることがわかった。
「至さん、起きてるんすか?」
ノックもそこそこに上がりこめば、やはり干物姿の背中が見える。ヘッドフォンをかけ俺とは違う特徴的なキーボード音だけが鳴り響く部屋は、お世辞にも綺麗な部屋とは言えない。無造作にソファに置かれた服をハンガーにかけ、自分用のスペースを作ってそこに腰を落ち着けた。
そのまま背中をジッと見つめれば、不意にこちらを振り返る彼。その顔にはいつもは見当たらない眼鏡が装着されている。
「あれ、綴?」
「至さん……眼鏡?」
「ああ、これ、ブルーライトカット用眼鏡。そんなことよりこんな時間にどうした?」
「台本キリいいとこで終わらせたら、明かりが点いてたので」
「ちゃんと寝ないと体壊すよ?」
「至さんに言われたくないっす」
ジトリと半目で見てやれば、そうだよねーなんてカラカラと笑われる。そしてスッと真剣みを帯びた表情になると、白くしなやかな指で目を指される。
「目、真っ赤」
「パソコン作業多くなっちゃったんで」
自嘲するように笑えば、呆れたようにため息を吐かれた。いつもとは違うインテリらしい姿と、昼間とは逆の立場に少しだけ戸惑う。
ゲームは終わったのかパソコンの電源を落とし、そのまま何を思ったのか隣に腰を下ろした彼に頭を撫でられれば緩やかに重くなる目蓋。泥の中に沈むようにソファに倒れ込めば、至さんが狼狽したように瞬いた。
「ちょ、綴?」
「至さん……最近喋ってないから……ちょっと……」
自分でもよくわかる舌足らずな話し方に彼は数回瞬きをしたのち、心配げに俺の目元をに手を寄せる。人より少し体温が低いその指先で蓋を閉めるように目蓋を降ろされるともう抵抗はできなかった。
「真っ赤な目……寂しかった?」
意識が落ちる直前に呟かれたのは、PCの見過ぎだと誤魔化した俺の心の代弁。
首を回すと小気味のいい音が鳴る。ちらりと窓を見れば既に朝焼けの光がカーテンから差し込んでいた。
そろそろ寝ようかと立ち上がったところで103号室側の壁から密かにゲーム音楽が聞こえてくる。ぼんやりとした頭で部屋から出れば、薄っすらと部屋の電気がついていることがわかった。
「至さん、起きてるんすか?」
ノックもそこそこに上がりこめば、やはり干物姿の背中が見える。ヘッドフォンをかけ俺とは違う特徴的なキーボード音だけが鳴り響く部屋は、お世辞にも綺麗な部屋とは言えない。無造作にソファに置かれた服をハンガーにかけ、自分用のスペースを作ってそこに腰を落ち着けた。
そのまま背中をジッと見つめれば、不意にこちらを振り返る彼。その顔にはいつもは見当たらない眼鏡が装着されている。
「あれ、綴?」
「至さん……眼鏡?」
「ああ、これ、ブルーライトカット用眼鏡。そんなことよりこんな時間にどうした?」
「台本キリいいとこで終わらせたら、明かりが点いてたので」
「ちゃんと寝ないと体壊すよ?」
「至さんに言われたくないっす」
ジトリと半目で見てやれば、そうだよねーなんてカラカラと笑われる。そしてスッと真剣みを帯びた表情になると、白くしなやかな指で目を指される。
「目、真っ赤」
「パソコン作業多くなっちゃったんで」
自嘲するように笑えば、呆れたようにため息を吐かれた。いつもとは違うインテリらしい姿と、昼間とは逆の立場に少しだけ戸惑う。
ゲームは終わったのかパソコンの電源を落とし、そのまま何を思ったのか隣に腰を下ろした彼に頭を撫でられれば緩やかに重くなる目蓋。泥の中に沈むようにソファに倒れ込めば、至さんが狼狽したように瞬いた。
「ちょ、綴?」
「至さん……最近喋ってないから……ちょっと……」
自分でもよくわかる舌足らずな話し方に彼は数回瞬きをしたのち、心配げに俺の目元をに手を寄せる。人より少し体温が低いその指先で蓋を閉めるように目蓋を降ろされるともう抵抗はできなかった。
「真っ赤な目……寂しかった?」
意識が落ちる直前に呟かれたのは、PCの見過ぎだと誤魔化した俺の心の代弁。