腐向け
貴方のお名前は?
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日本では節分という日があるらしい。カルデアにも数名鬼がいるが、そいつらの持つ厄を祓うために豆を投げるそうだ。本日は二月二日、その前日である。
時に我らがマスターは、日本人であるが故に宗教観が薄い。そもそも津々浦々からやってくるサーヴァントの国籍を見ていれば、特定の宗教を持たないのはプラスに働いているといえよう。とすると、問題はマスターではなく俺の恋人ということになる。
フランスの処刑人、シャルル=アンリ・サンソン。奴は時折食堂に立っては創作料理を作っていたり、二日酔いの自分に分け与える。故に奴が食堂に立っていること自体はさして問題ではないのだ。
先ほども言った通り、マスター基準で言えば本日は節分の前日。食堂では赤いのあたりが恵方巻と呼ばれる巻き寿司の仕込みをしている。そして問題の坊ちゃんは、その横でせっせとクレープを焼いていた。食堂には坊ちゃんが焼いた多くのクレープのおかげで甘い匂いが充満している。
「あー、坊ちゃん? 今日は随分と熱心ですね」
「ああ、ロビン。そうなんだ、夕食用なんだが少し作りすぎてしまった」
夕食用。その言葉に少し首を傾げた。普段から栄養がどうだとか、日本食の一汁三菜がどうとか煩いお医者サマにしては随分と偏った栄養バランスだろう。思ったことをそのまま口に出せば、彼は一瞬黙考した後に「だって今日はLa Chandeleureだろう?」と返してきた。
「はあ、何の日だって?」
「だからLa Chandeleure、聖燭祭もといクレープの日だ」
「いやねえ、聖燭祭はキリスト教のアレだってのはわかるんですがね。何? クレープ?」
聖燭祭——キリスト教の祝日で、聖母マリアの清めの日だとか何とか。特に宗教の持たない自分には縁遠い話であって、何故それがクレープに繋がるのかも至極どうでもいい話である。
問題はこんなくだらない話をしている間にも、処刑人の持つフライパンからクレープが次々と生み出されているという事実。作りすぎたと言いながら何故作り続けるのかは甚だ疑問ではあるが、そこは彼の持つ律儀さから、傍に置いてある材料を使い切る気であることはなんとなく想像がつく。そんなもの、近くで恵方巻を作っている赤いのか狐耳の猫にでも与えてしまえばいいというのに、変なところで抜けている貴族サマである。
暫く黙々とクレープを作る彼の様子を見ていれば、やはりというか材料を使い切ったところでその作業は終了した。傍の棚には何十層と積まれたクレープの山。それから大量のカラフルな生クリームである。それらを塗って重ねを繰り返し、クレープが一つずつのケーキに仕上がっていった。
「君も一緒に食べないかい?」
そう言って皿に乗せられた何十層のクレープを、彼は慣れた手つきで切っていく。フランス出身のサーヴァントに分け与えるにしても、例え子どもの姿を模したサーヴァントに分けたとしてもこの量は食べきれないだろう。
「仕方ないですね、ご一緒しますよ」
小さく溜息を吐きながらの返事でも、シャルルは綺麗に笑って返してくる。それを見ただけで、大量に作りすぎたクレープのことを咎める気にも慣れやしないのだ。全く勝てないな、と口角を上げた。
時に我らがマスターは、日本人であるが故に宗教観が薄い。そもそも津々浦々からやってくるサーヴァントの国籍を見ていれば、特定の宗教を持たないのはプラスに働いているといえよう。とすると、問題はマスターではなく俺の恋人ということになる。
フランスの処刑人、シャルル=アンリ・サンソン。奴は時折食堂に立っては創作料理を作っていたり、二日酔いの自分に分け与える。故に奴が食堂に立っていること自体はさして問題ではないのだ。
先ほども言った通り、マスター基準で言えば本日は節分の前日。食堂では赤いのあたりが恵方巻と呼ばれる巻き寿司の仕込みをしている。そして問題の坊ちゃんは、その横でせっせとクレープを焼いていた。食堂には坊ちゃんが焼いた多くのクレープのおかげで甘い匂いが充満している。
「あー、坊ちゃん? 今日は随分と熱心ですね」
「ああ、ロビン。そうなんだ、夕食用なんだが少し作りすぎてしまった」
夕食用。その言葉に少し首を傾げた。普段から栄養がどうだとか、日本食の一汁三菜がどうとか煩いお医者サマにしては随分と偏った栄養バランスだろう。思ったことをそのまま口に出せば、彼は一瞬黙考した後に「だって今日はLa Chandeleureだろう?」と返してきた。
「はあ、何の日だって?」
「だからLa Chandeleure、聖燭祭もといクレープの日だ」
「いやねえ、聖燭祭はキリスト教のアレだってのはわかるんですがね。何? クレープ?」
聖燭祭——キリスト教の祝日で、聖母マリアの清めの日だとか何とか。特に宗教の持たない自分には縁遠い話であって、何故それがクレープに繋がるのかも至極どうでもいい話である。
問題はこんなくだらない話をしている間にも、処刑人の持つフライパンからクレープが次々と生み出されているという事実。作りすぎたと言いながら何故作り続けるのかは甚だ疑問ではあるが、そこは彼の持つ律儀さから、傍に置いてある材料を使い切る気であることはなんとなく想像がつく。そんなもの、近くで恵方巻を作っている赤いのか狐耳の猫にでも与えてしまえばいいというのに、変なところで抜けている貴族サマである。
暫く黙々とクレープを作る彼の様子を見ていれば、やはりというか材料を使い切ったところでその作業は終了した。傍の棚には何十層と積まれたクレープの山。それから大量のカラフルな生クリームである。それらを塗って重ねを繰り返し、クレープが一つずつのケーキに仕上がっていった。
「君も一緒に食べないかい?」
そう言って皿に乗せられた何十層のクレープを、彼は慣れた手つきで切っていく。フランス出身のサーヴァントに分け与えるにしても、例え子どもの姿を模したサーヴァントに分けたとしてもこの量は食べきれないだろう。
「仕方ないですね、ご一緒しますよ」
小さく溜息を吐きながらの返事でも、シャルルは綺麗に笑って返してくる。それを見ただけで、大量に作りすぎたクレープのことを咎める気にも慣れやしないのだ。全く勝てないな、と口角を上げた。
