特務捜査班の日常

・ブチギレ鑑識官
セス「…店長…面白そうなアニメ、借りたいです…」

アキラ「…随分しおらしいじゃないか。
 どうしたんだい?」

セス「…スコを、怒らせてしまって…」

アキラ「へー…あのスコティを?」

セス「仕事の邪魔してしまったみたいで…
 思いっきりブチギレられた…」

アキラ「あらら…それはそれは…」

セス「だから、機嫌取りの為に…お願いだ!店長さん!」

アキラ「お安い御用だ。
 彼の今まで借りていたビデオを推察するに…
 うん、これがいいんじゃないかな?」

セス「そうか!ありがとう!
 じゃ!また来るな!」

アキラ「…もしかして、休憩時間に飛び出してまで借りに来たのかな…?」



スコティ「…はぁ…終わった終わった、と…
 ん?スマホにセスからの着信?
 もしもーし」

セス『スコ?…もう、怒ってないか?』

スコティ「あ?……ぼく、君に怒ったっけ?」

セス『えぇ!?オレが鑑識課に来た時、すごい剣幕で怒鳴り散らしてきたぞ!?』

スコティ「……覚えがない…」

セス『まじかよ!?』

スコティ「あー…一旦切る、ちょっとまってて。
 …Heyマリー、業務中にセスが来たらしい箇所の発言を文章化して」


──了解しました。以下、スコティ様の発言です。
──「てんめぇ!なに尻尾フサフサさせて部屋入ってきとんじゃ殺すぞ!!!」
──以上です。


スコティ「スゥー……
 はい、一旦掛け直したスコティです」

セス『…怒って、ないか?』

スコティ「えー…理不尽な怒り方をして誠に申し訳ございません。
 ですが、鑑識作業中に恐らくあなた様はいつもの調子で部屋に入って来たことでしょう」

セス『はい』

スコティ「今回の業務は容疑者であるシリオンの毛の分析作業でして、危うくあなた様は容疑者にされるところでした。ここまででお分かりで?」

セス『…ごめんなさい…』

スコティ「分かればよろしい」

セス『…あのな、ビデオ借りてきたんだ。
 機嫌取りというか、謝るための償いというか…』

スコティ「…もう怒ってないよ。
 仕事終わったら、官舎で見ようね」

セス『…おう!』

スコティ「晩飯はスコが買ってくるからね〜」

セス『え、いいよ、そこまでしなくても…』

スコティ「スコが怒鳴ったのは普通に悪いから、ぼくからも償わせて、ね?」

セス『…分かった。これでお愛顧な』



数日後、ビデオ屋にて…。


スコティ「店長〜!このアニメある〜?」

アキラ「見せてくれる?…あぁ、あるよ。今持ってくるよ」

スコティ「ふんふふ〜ん♪」

アキラ「そういえば、セスにブチギレたって聞いたけど、その後大丈夫かい?」

スコティ「え?は?……あの、その話、いつ聞いた?」

アキラ「えーっと、確かこの日かな…」

スコティ「…あー…それ、キレた後すぐだな…そういえば、ビデオ屋で借りてきたとか言ってたし…
 大丈夫だよ、むしろ理不尽に怒ってごめんを返したくらいだし」

アキラ「そうなのか」

スコティ「うん。スコって鑑識のお仕事してるからさ、繊細な作業が必要でさ。
 あの子、ドアをバーンって開けて入りがちだから、作業に集中してたぼくが無意識にブチギレちゃったみたいなの」

アキラ「無意識に…?」

スコティ「スコは集中しすぎると、時折何言ってるか覚えていないのさ。
 だから、これで録音してるんだ」

アキラ「え…ずっと録音してるのかい…?」

スコティ「そだよー!あ、安心して。
 プライバシーの観点から、自分の発言しか入らないようにしてあるから、店長が何言っても大丈夫!」

アキラ「…でも、復唱したら残るってことだよね?」

スコティ「それは…そうね。
 でも、君はもう、ぼくが残そうとしてることに気づけるはずだよ?
 まぁ本来は、それが目的ではないんだけれど…」

アキラ「そうなのか…」

スコティ「それにしても彼、そんなに焦ってたんだね…
 もースコはそんなことじゃセスのこと嫌わないってのにさ〜」

アキラ「はは…はい、お目当てのビデオだよ」

スコティ「ありがと〜!また来るね!」

アキラ「はい、またのお越しを」
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