スコティ・ホールドなる鑑識官
・スコティ・ホールドなる鑑識官
「スコー、どこに居るんだー?」
鑑識課の執務室にて、セスが幼馴染で同期であるスコティ鑑識官を探しに来ていた。
セス「アイツ、この書類の中に埋もれてるんじゃないだろな…
今日こそ、官舎で寝るように連れ戻してやらねーと…」
「むむ…その声は…セスきゅん!」
ガバッと書類の山から顔を出すは、猫耳が折れ曲がった丸顔の男の子。
眠そうなアーモンドのような丸目が、嬉しそうに見開き、尻尾がピンっと立ち上がる。
セス「まーたこんな辛気臭いところで寝てたのか!
そんなんじゃ、休まる身体も休まらないぞ」
スコティ「ここは神聖なる鑑識課のお膝元だぞ。
ここで寝食を共にできるのであれば、本望極まりないんだぞ」
セス「このワーカーホリックめ…
たしかに、お前の鑑識としての分析能力は目を見張るものはあるが、それ以外があまりにも怠惰すぎる!!
なんでこんなところに枕があるんだ!」
スコティ「スコが持ち込んだ快眠枕だよ〜。
この枕すごくってさ〜、肩こりも治っちゃうすぐれものなの。
セスもいる?寮にもう一セットあったはず〜」
セス「オレは肩こりになったことはない!」
スコティ「え…すご…まぁ、セスきゅん現場仕事だし、身体動かすから必要ないか〜」
セス「セスきゅんやめろ。
つか、寮に置いてるということは、最近寮に帰ったのか?」
スコティ「ん〜?2週間前に?」
セス「毎日帰れよ!!」
スコティ「んぇ〜…でもさぁ…まだ処理終わってない案件多くてさぁ…
あ、セスが手柄上げた事件の鑑識資料できてるよ〜」
セス「は?あれ今朝の話だろ…もう出来てるのか?」
スコティ「他のことやってる間に、ちょちょいとできたからね〜。
このあとは朱鳶班長からもらった案件を…」
セス「スコ、それはあとでも構わないと班長が言っていただろ?」
スコティ「…青衣さんにもお願いされててぇ〜」
セス「スコティ・ホールド鑑識官?
官舎に戻って休むのも、仕事のうちだぞ?」
スコティ「…にゃぅ〜…」
セス「まったく…最近、頑なに官舎に戻りたがらないのは何故なんだ?」
スコティ「…歩くの…面倒くちゃい…」
セス「歩け運動不足!!」
スコティ「にゃぅ〜〜!!」
スコティ・ホールド。
ネコのシリオンで、特務捜査班の中では、今一番可愛がられている鑑識官。
鑑識課のホープであり、精密な分析能力と鋭い直感、そしてちょっと不思議な能力を併せ持つ科学捜査の申し子。
しかし、鑑識の仕事が好きすぎるのか、はたまた鑑識の仕事以外のことをしたくないのか…私生活があまりにも怠惰なのがキズである。
同僚も心配になるほどのナメクジ系男子で、鑑識課の執務室の一角で生活し、執務室から動かない。
同期のセスが引きずり出して、やっとのこと動く程度の男だ。
朱鳶「…セスくん、ごくろうだね」
セス「班長。お疲れ様です!」
スコティ「あ、班長お疲れ様です〜。
もうすぐ解析終わりますよ〜」
朱鳶「相変わらず仕事が早いわね。
それで、そろそろ休めそうかしら?」
スコティ「…青衣さんの案件、やりたいなぁ…」
セス「お前なぁ…」
青衣「我の案件?はて、なんじゃったかな…?」
朱鳶の後ろにピョコっと現れる青衣。
それを聞いて、セスは毛を逆立てて怒り始める。
セス「おいスコティ。どういうことだそれはぁ?」
スコティ「えぇ〜?青衣さんひどいですよぉ〜。
ほら、青衣さんがこの前ボンプを大量に連れて帰ってきた時、あったじゃないですかぁ〜」
青衣「おお、あれか!
あれは急ぎの様ではない。仕事の無い時にやってくれたら良いものだぞ。
お前さんにとっては、スナック菓子のような仕事であろう?」
セス「…だとよ。
で?まだ何か、言い訳はあるか?」
スコティ「……アリマセン…」
セス「帰るぞスコ」
スコティ「アイ…」
まるで補導でもされるかのように、セスとスコティは退勤していく。
その様子を、朱鳶はため息を吐きながら見送る。
朱鳶「…はぁ、スコティの勤務態度には困ったものね…」
青衣「なんじゃ?確かにぐうたらしておるが、提出物はなかなかのもんじゃと見受けるぞ」
朱鳶「ええ、本当に、解析能力に関しては十分にある、とても優秀な鑑識官です。
ですが、勤務態度は本当に問題しかない…
私物の持ち込み、身なりの乱れ、姿勢その他諸々…
それらすべてを、あの解析能力でカバーしているだけに過ぎません…」
青衣「天は二物を与えぬ、とはよく言うが…
あやつは、そのマイナス面があまりにも大きいと朱鳶は感じておるのか?」
朱鳶「先輩はそうではないと?」
青衣「あやつの仕事ぶりは完璧極まりないからのぉ…
あやつが、このルミナス分署鑑識課に配属されてから、明らかに鑑識課の解析能力が上がり、時間も短縮された。
一重にあのスコ坊が希望の星として、君臨しているからであろうな。
そしてもう一つ、あやつの特異なる力には我々も度々助けられておる…」
朱鳶「…そうですね」
スコティ「あ゙ー…だるぅー…」
治安局から出て、猫背でポテポテ歩くスコティ。
その背中を叩いてみせるセス。
セス「しゃきっと歩け。官舎まではそう遠くないはずだろ」
スコティ「うっ…100m歩くのもしんどい…」
セス「治安局の敷地内からも出てない距離だろそれ…」
スコティ「うぅ…ぁ…」
すると、ピョコっと折れていた耳がまっすぐ立つ。
メガネ越しの眼前には、横断歩道を渡る親子連れが見える。
セス「え。スコ、お前…」
スコティ「セス。目の前の横断歩道、車が走り込んでくる。
あの親子轢かれる」
セス「は!?マジかよ!!」
それを聞いたセスが走り込み、親子連れを即座に横断歩道の外に押し出す。
そこを、猛スピードで走り込んできたトラックが過ぎ去る。
それをぼーっと見ていた、信号機の下にいた治安ボンプが、驚いて飛び跳ねる。
「ンナ!?」
セス「治安局に通報!車両ナンバーを控えてくれ!
皆さん、無事でしたか?」
「は、はい…なんとか…」
「ありがとう!治安官さん!」
スコティ「…ほっ…セスが近くにいてよかった…」
とことこと、スコティがこちらにやってくる。
スコティの耳は、もうぺたんと折れている。
セス「やったなスコ。
お前のおかげで人命救助ができたぜ」
スコティ「セスが走り出して、二人を助けただけだよ。
ぼくは何もしてない」
セス「でも、お前の未来予知のおかげでどうにかなったんだから、誇れよ」
…そう、彼のもう一つの能力はこの未来予知である。
彼の耳が立てれば、数秒から数日の未来を予知することができる。
しかし、スコティはこの能力を捜査の一環としてはほとんど使わない。
一つは、スコティは予知するだけで、狙って発動させることができない。
もう一つは、あまりにも荒唐無稽な話だから。
セスが信じて飛び込んでくれたのも、彼がスコティの能力を信じ、理解していたからにほかならない。
スコティ「セスはよくも、ぼくの予知に耳を傾けてくれるよね…」
セス「今までお前に言われたことで間違ってたことは一度もないし、その耳が何よりの証拠だ。
どんなに合理的なオレでも、流石にお前のその力は信じるよ」
スコティ「う、うん…ありがと…
セス、動いたからお腹空いたよね?何か食べに行こう?おごるからさ」
セス「マジで?サンキュー。
でも、こんなのお前に比べたら、動いたうちには入らねーよ」
スコティ「それはそう。
でも、スコは信じてくれるのが嬉しいから…」
「スコー、どこに居るんだー?」
鑑識課の執務室にて、セスが幼馴染で同期であるスコティ鑑識官を探しに来ていた。
セス「アイツ、この書類の中に埋もれてるんじゃないだろな…
今日こそ、官舎で寝るように連れ戻してやらねーと…」
「むむ…その声は…セスきゅん!」
ガバッと書類の山から顔を出すは、猫耳が折れ曲がった丸顔の男の子。
眠そうなアーモンドのような丸目が、嬉しそうに見開き、尻尾がピンっと立ち上がる。
セス「まーたこんな辛気臭いところで寝てたのか!
そんなんじゃ、休まる身体も休まらないぞ」
スコティ「ここは神聖なる鑑識課のお膝元だぞ。
ここで寝食を共にできるのであれば、本望極まりないんだぞ」
セス「このワーカーホリックめ…
たしかに、お前の鑑識としての分析能力は目を見張るものはあるが、それ以外があまりにも怠惰すぎる!!
なんでこんなところに枕があるんだ!」
スコティ「スコが持ち込んだ快眠枕だよ〜。
この枕すごくってさ〜、肩こりも治っちゃうすぐれものなの。
セスもいる?寮にもう一セットあったはず〜」
セス「オレは肩こりになったことはない!」
スコティ「え…すご…まぁ、セスきゅん現場仕事だし、身体動かすから必要ないか〜」
セス「セスきゅんやめろ。
つか、寮に置いてるということは、最近寮に帰ったのか?」
スコティ「ん〜?2週間前に?」
セス「毎日帰れよ!!」
スコティ「んぇ〜…でもさぁ…まだ処理終わってない案件多くてさぁ…
あ、セスが手柄上げた事件の鑑識資料できてるよ〜」
セス「は?あれ今朝の話だろ…もう出来てるのか?」
スコティ「他のことやってる間に、ちょちょいとできたからね〜。
このあとは朱鳶班長からもらった案件を…」
セス「スコ、それはあとでも構わないと班長が言っていただろ?」
スコティ「…青衣さんにもお願いされててぇ〜」
セス「スコティ・ホールド鑑識官?
官舎に戻って休むのも、仕事のうちだぞ?」
スコティ「…にゃぅ〜…」
セス「まったく…最近、頑なに官舎に戻りたがらないのは何故なんだ?」
スコティ「…歩くの…面倒くちゃい…」
セス「歩け運動不足!!」
スコティ「にゃぅ〜〜!!」
スコティ・ホールド。
ネコのシリオンで、特務捜査班の中では、今一番可愛がられている鑑識官。
鑑識課のホープであり、精密な分析能力と鋭い直感、そしてちょっと不思議な能力を併せ持つ科学捜査の申し子。
しかし、鑑識の仕事が好きすぎるのか、はたまた鑑識の仕事以外のことをしたくないのか…私生活があまりにも怠惰なのがキズである。
同僚も心配になるほどのナメクジ系男子で、鑑識課の執務室の一角で生活し、執務室から動かない。
同期のセスが引きずり出して、やっとのこと動く程度の男だ。
朱鳶「…セスくん、ごくろうだね」
セス「班長。お疲れ様です!」
スコティ「あ、班長お疲れ様です〜。
もうすぐ解析終わりますよ〜」
朱鳶「相変わらず仕事が早いわね。
それで、そろそろ休めそうかしら?」
スコティ「…青衣さんの案件、やりたいなぁ…」
セス「お前なぁ…」
青衣「我の案件?はて、なんじゃったかな…?」
朱鳶の後ろにピョコっと現れる青衣。
それを聞いて、セスは毛を逆立てて怒り始める。
セス「おいスコティ。どういうことだそれはぁ?」
スコティ「えぇ〜?青衣さんひどいですよぉ〜。
ほら、青衣さんがこの前ボンプを大量に連れて帰ってきた時、あったじゃないですかぁ〜」
青衣「おお、あれか!
あれは急ぎの様ではない。仕事の無い時にやってくれたら良いものだぞ。
お前さんにとっては、スナック菓子のような仕事であろう?」
セス「…だとよ。
で?まだ何か、言い訳はあるか?」
スコティ「……アリマセン…」
セス「帰るぞスコ」
スコティ「アイ…」
まるで補導でもされるかのように、セスとスコティは退勤していく。
その様子を、朱鳶はため息を吐きながら見送る。
朱鳶「…はぁ、スコティの勤務態度には困ったものね…」
青衣「なんじゃ?確かにぐうたらしておるが、提出物はなかなかのもんじゃと見受けるぞ」
朱鳶「ええ、本当に、解析能力に関しては十分にある、とても優秀な鑑識官です。
ですが、勤務態度は本当に問題しかない…
私物の持ち込み、身なりの乱れ、姿勢その他諸々…
それらすべてを、あの解析能力でカバーしているだけに過ぎません…」
青衣「天は二物を与えぬ、とはよく言うが…
あやつは、そのマイナス面があまりにも大きいと朱鳶は感じておるのか?」
朱鳶「先輩はそうではないと?」
青衣「あやつの仕事ぶりは完璧極まりないからのぉ…
あやつが、このルミナス分署鑑識課に配属されてから、明らかに鑑識課の解析能力が上がり、時間も短縮された。
一重にあのスコ坊が希望の星として、君臨しているからであろうな。
そしてもう一つ、あやつの特異なる力には我々も度々助けられておる…」
朱鳶「…そうですね」
スコティ「あ゙ー…だるぅー…」
治安局から出て、猫背でポテポテ歩くスコティ。
その背中を叩いてみせるセス。
セス「しゃきっと歩け。官舎まではそう遠くないはずだろ」
スコティ「うっ…100m歩くのもしんどい…」
セス「治安局の敷地内からも出てない距離だろそれ…」
スコティ「うぅ…ぁ…」
すると、ピョコっと折れていた耳がまっすぐ立つ。
メガネ越しの眼前には、横断歩道を渡る親子連れが見える。
セス「え。スコ、お前…」
スコティ「セス。目の前の横断歩道、車が走り込んでくる。
あの親子轢かれる」
セス「は!?マジかよ!!」
それを聞いたセスが走り込み、親子連れを即座に横断歩道の外に押し出す。
そこを、猛スピードで走り込んできたトラックが過ぎ去る。
それをぼーっと見ていた、信号機の下にいた治安ボンプが、驚いて飛び跳ねる。
「ンナ!?」
セス「治安局に通報!車両ナンバーを控えてくれ!
皆さん、無事でしたか?」
「は、はい…なんとか…」
「ありがとう!治安官さん!」
スコティ「…ほっ…セスが近くにいてよかった…」
とことこと、スコティがこちらにやってくる。
スコティの耳は、もうぺたんと折れている。
セス「やったなスコ。
お前のおかげで人命救助ができたぜ」
スコティ「セスが走り出して、二人を助けただけだよ。
ぼくは何もしてない」
セス「でも、お前の未来予知のおかげでどうにかなったんだから、誇れよ」
…そう、彼のもう一つの能力はこの未来予知である。
彼の耳が立てれば、数秒から数日の未来を予知することができる。
しかし、スコティはこの能力を捜査の一環としてはほとんど使わない。
一つは、スコティは予知するだけで、狙って発動させることができない。
もう一つは、あまりにも荒唐無稽な話だから。
セスが信じて飛び込んでくれたのも、彼がスコティの能力を信じ、理解していたからにほかならない。
スコティ「セスはよくも、ぼくの予知に耳を傾けてくれるよね…」
セス「今までお前に言われたことで間違ってたことは一度もないし、その耳が何よりの証拠だ。
どんなに合理的なオレでも、流石にお前のその力は信じるよ」
スコティ「う、うん…ありがと…
セス、動いたからお腹空いたよね?何か食べに行こう?おごるからさ」
セス「マジで?サンキュー。
でも、こんなのお前に比べたら、動いたうちには入らねーよ」
スコティ「それはそう。
でも、スコは信じてくれるのが嬉しいから…」
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