死に急ぎの代償と…

愚かなオレは、この行為を今でも呪うことだろう。


数年もこの身体で生活していると、認識としては何も感じていなくても、心は先に摩耗する。
戦い続ける日々にオレは、無意識に死に場所を探していた。


ある日、相方の天使の触媒が死んだ。
天使の触媒はどうやら死ねるらしい。
だから、オレも早く死にたかった。
触媒が死んだらどこに行くんだろう?
早く死んで、楽になりたい。
楽になったら、どうなるんだろう?
嬉しい?悲しい?むかつく?楽しい?
どれが当てはまるのか、もう分かんないや。


それから、オレは死に急ぐようになった。
パートナーに強く負荷をかけて、殺してしまうこともあった。
死にたい、死にたい…そう願っていると、パートナー志願だという男が現れた。
名前を多部 暁(タベ アキラ)という。
彼はオレを見るやいなや「兄さん!」と叫んだ。


兄さん、にいさん、お兄さん?
オレは、兄であった記憶はない。
それは生前の記憶?人間の頃の記憶?
オレの目の前にいる、取り押さえられている彼は、オレの血縁者…?


その場は、なかったことになった。
でも、"兄さん"、その言葉が不思議と離れなくって、思わず彼の素性を調べてみた。


多部 暁…。
多部 翔太(タベ ショウタ)の弟…。
オレの、弟…!


一気に彼への愛しさが溢れだす。
こんな感情、いつから忘れてたんだろう?
オレは彼に会わせてほしいとお願いした。
そしたらすぐに彼に会わせてくれた。
驚く君に、オレは笑いかける。


ショウタ「君のことは思い出せない。それはごめんね。
 でも、君がオレの弟であることはハッキリ分かったよ」

アキラ「兄さん…?」


ショウタ「調べたんだ、君のこと。
 で、もしかして君がここに来たのはオレの為?ありがとう。
 でも、こんな地獄のようなところ来たらだめだって。
 オレは兵器で君はこれからその兵器を扱う兵士にさせられる。
 死ぬまで戦わされるんだ、だから…」


するとふと、影が降りる。
見上げればアキラがいて、優しく抱きしめてくれる。
暖かい温もりと心音が聞こえる。


アキラ「…兄さんのそばにいられるなら、俺はどうなろうと構わない。
 兄さんの言ったとおり、俺は兄さんに会うためだけにここに来た。
 オレがここにいられるなら、兵士にだってなんだってなってやる。
 兄さん、また一緒に暮らそう?
 兄さんのいるところに、俺は居たいんだ」


馬鹿な弟だ。そして愛おしい弟だ。
でも、事はそう簡単にはいかない。
天使の触媒・サリエルとのパートナー適性はそんなに良くなかった。
アキラには、オレを武器にする力はなかったようだ。
でも、もう一つの天使の触媒・カマエルとなら適性が高かったから、そちらとパートナーになることになるだろう。
でも、アキラはそれでもここで戦うことを喜ぶだろう。
オレと一緒にいれるのは確かなのだから。


やがて、オレにも新しいパートナーが来た。
どうやら、新たな…アキラの天使の触媒・カマエルの恋人らしい。
ややこしいことになってきたなぁ。なんて独りごちながら、パチリとくらむ視界を無視しながら…。
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