衝突と兆し

ユウキ「…ねぇ、ツカサくん」

ツカサ「なぁに?ユウちゃん」

ユウキ「なんで、ツカサくんはアキラさんの事を毛嫌いしてるの?」

ツカサ「え…」

ユウキ「アキラさんは普通にいい人だと思うよ?
 私のこと、ちゃんと大事にしてくれてるし、困ったら相談乗ってくれるし…
 仕事のパートナーとしては申し分ないと思うんだけど…」

ツカサ「あー…うん、そうだね…そうなんだけど…
 …僕は、本当に卑しい奴だなぁ…」

ユウキ「ツカサくん?」

ツカサ「君の純粋さが本当に眩しいよ。
 …これは本当に醜い感情だ。
 強い嫉妬の憎悪に、僕の心が止められなくなっている…
 本当に、なんで君と共に戦えなかったのか、悔しくてしょうがない…」

ユウキ「…私は、隣にいるよ?」

ツカサ「もっとだよ。
 もうこの際、こんな形になったことは受け入れてしまったほうが気が楽だ。
 でもね、君の傍で、君を守りながら、君を振るうことが、僕にできないという現実を憂いているのさ…」

ユウキ「…ツカサくんは、私─カマエル─を使いたかったの?」

ツカサ「うん、恋人だからね。
 もっと君のそばにいたいと願うのは違うと思う?」

ユウキ「そんなことないよ。
 私もツカサくんのそばにはずっといたい。
 でも、限度はあるとは思うな」

ツカサ「僕はそれすらも超えたいんだ。
 だって、僕は君の…」

ユウキ「私は…ちょっとした時間でも、君と一緒にいる時間がとても楽しいよ。
 ツカサくんは、その時間を増やすことで頭がいっぱいみたいだね」

ツカサ「え…そ、そんなこと…!?」

ユウキ「やっぱりそういうのって、量より質じゃない?
 それに、アキラさんにあぁ言っても、私達の時間が増えるわけじゃないと思うし…」

ツカサ「う…それは…」 

ユウキ「私はツカサくんとお話したいな。
 悩んでるツカサくんのそばにいるのも私は楽しいけど、私はツカサくんともっと遊びたいよ」

ツカサ「っ…ご、ごめん…
 そんな、寂しい思いをさせてしまっていたなんて…
 そうだよね、少しの時間でも君と向き合うべきだった。
 あんな男にかまけてるくらいなら、君と話をするほうがよっぽど有意義だ!」

ユウキ「うんうん、そうだよ。
 じゃ、あとでショウくんとアキラさんに謝ろう?
 二人を困らせたんだし」

ツカサ「…謝る…そう、だね…
 …分かった、ユウちゃんがそう言うなら…」


すると、待機室の扉がウィーンと開き、ショウタが顔を出す。


ショウタ「ツカサくーん、そろそろ現地着くよー」

ツカサ「分かった。
 …謝るの、この任務が終わったらでいい?」

ユウキ「うん、いいよ。
 いってらっしゃい」


ユウキは手を振って、ツカサとショウタを見送った。
出撃口の前で、パラシュートの準備をしながらオレはツカサに話しかける。


ショウタ「…謝るって何を?」

ツカサ「アキラとお前に謝ろうねって、ユウちゃんが…」

ショウタ「…なるほどね…」

ツカサ「…ねぇショウタ。お前、今の僕に謝られて納得行くと思う?」


…そう言うってことは、少なからず自覚があるんだな?


ショウタ「…君、自覚あるならその態度やめたら?」

ツカサ「こういう時に噛み付いちゃうのは誰相手だあろうと同じだし、僕はユウちゃんに忠誠を誓ってるんだ。
 ユウちゃんがそう望むのならそうするってだけさ」

ショウタ「それ聞かされてるオレの気持ちよー。
 このあとアキラも下手すりゃ聞かされんだろ?
 きっとアキラが、ユウキちゃんにどうすればいいか聞くだろうし」

ツカサ「…なるほどね。
 そもそも、僕らが仲良くなろうなんて無意味なんだよ。
 僕らは誰かが死ぬまで戦い続けるんだろうけど、戦ったってその先に待ち受けるのは死なんだ。
 僕は決めたよ。死と隣り合わせの戦場にいるんだから、君たちに関わるよりユウちゃんと話してるほうがマシだって」

ショウタ「んんん…そういうことになる?
 君は本当に、ユウキちゃん以外にはドライすぎる奴だよ…」
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