プロローグ
三剣 結城(ミツルギ ユウキ)が目を覚ますと、そこは見知らぬ場所…。
でも、目の前には幼なじみで恋人な轟木 司(トドロキ ツカサ)はいる。
不思議な少年、ショウタと怖そうな男の人アキラと共に、ユウキはよく分からない何かに巻き込まれていく。
…そもそも、ユウキ自身が”人間”ではないことも知らずに…。
──それはプロローグ、始まりの話
・目を覚ました少女は記憶喪失…?
目の前にはフードを被った人。
顔はよく見えない。
その人は悲しそうに声をかける。
「いいんだね、もう…」
「…うん、約束でしたし。
むしろ、こんなワガママ聞いてくださり、ありがとうございます」
「…こちらこそ。
でも、逃げてくれても良かったんだよ?」
「ふふ、何を言ってるんですか。
ここから逃げる場所なんて、どこにもないのに…」
「…そう、だね…
そうしたのは、私だ…」
フードを被った人は、私の手を取る。
「…ごめんね、ありがとう…
おやすみ、三剣 結城くん」
─────────────────────
目を覚ます。
いつもの寝室、いつものリビング。
食卓には暖かな朝食が並べられている。
お母さん、作ってくれたんだ。
席について食事をする。
テレビを見ればそこには、魔物が映っていた。
「…え?」
気付けば、目の前に作業着姿の人々。
彼らも食事を取っているようだが、何故か違和感がある。
私のリビングは?寝室は?家は?
お母さんは?お父さんも居なかった…。
…そういえば、
お母さんとお父さんの顔は?
「ユウちゃん、どうしたのそんなところで」
顔を上げると、そこにはツカサくんがいた。
私の友達で、恋人。
今日は学校じゃないのかな?いつも私服の時につける筈の赤いベルトのチョーカーを首につけている。
ユウキ「あ、ツカサくん…」
ツカサ「…うん、ツカサだよ。
どうしたの、そんなキョトンとした顔をして」
首を傾げるその姿を、無性にわしゃわしゃと撫でたくなる。
ツカサくんなら喜んでくれそうだけど、今は他に人の目もあるからやめておこう。
それにしても、キョトンとしていた、か…。
ユウキ「してたかな…?
まぁ驚いてはいたかも…」
ツカサ「驚く?一体何に…」
「よ!朝からお熱いですな〜!」
ユウキ「ふにゃぁ!?」
背中を叩かれ、びっくりして振り返ると、透き通った白髪の少年がニヤニヤした顔で私達を見ている。
全身真っ白な男の子。
人間には見えないし、私は彼のことを知らない、でも彼は私を知っている様子だった。
その少年の頭を、ツカサくんが軽く叩く。
ツカサ「ショウタ、ユウちゃんを脅かすようなマネはやめて」
ショウタ「いって、なんだよスキンシップだろ〜?
あ、もしかして怖がらせちゃった?それならごめんね?」
ユウキ「いや、その…えっと…」
初めて見るその真っ白な、ショウタと呼ばれた少年に戸惑っていると、ずずいとショウタは私に顔を近づけてくる。
ショウタ「ん?オレの顔に何かついてる?」
ユウキ「えっと…どちら、さま…?」
ショウタ「………パードゥン?」
ユウキ「あの、どちらさまなのかなって…
あ、でもツカサくんの知り合い?」
ショウタ「…えー…ツカサくん、ちょと作戦会議」
私の様子を訝しんだのか、ショウタくんはコソコソ話をしたいらしく、ツカサくんの手を引こうとするけど…。
それを抵抗してツカサくんは私を見る。
ツカサ「いや、え…ちょっと待て…
ぼ、僕は?」
ユウキ「ツカサくん」
ツカサ「この人は?」
ユウキ「…?」
ツカサくんの指指すショウタくんを見て、首を傾げる私に、ショウタくんも首を傾げる。
ショウタ「いやいや、初期化…初期化かこれ?
にしたって、なんでテーブルで食事取ってるの?」
ユウキ「?
朝ご飯は食べないと?」
ショウタ「…どういう初期化?」
今度は90度に体ごと傾げていくショウタくん。
そんなに不思議なことかな…?と思っていると、今度はツカサくんが身を乗り出さんばかりに聞いてくる。
ツカサ「ユウちゃん!今…いや、昨日は何月の何日だった?」
ユウキ「えっと…7月22日?」
ツカサ「何年の?その日のこと覚えてる!?」
ユウキ「え、えぇ?」
たしかその日は……?
だめだ、靄がかかっているように記憶を探ることができない。
私が唸っていると、ショウタくんがツカサくんを諭すように話しかけてくる。
ショウタ「ツカサくん、聞きたいことが色々あるのはわかるけど畳み掛けすぎ。ユウキちゃん戸惑ってるよ。
それに…」
ビーッ!!ビーッ!!と、サイレンが突然鳴り響く。
ユウキ「な、なに!?」
ショウタ「朝の清掃のお時間でーす」
ツカサ「いや、それよりもユウちゃんの様子が!」
ショウタ「清掃はきちんとやりましょう?
お兄ちゃんとの約束、ね?」
ショウタくんに睨まれるツカサくん。
その姿は、その幼さからは想像もできない大人びた印象を持っていた。
それに気圧されたのか、はたまた本当に約束をしていたからか、ツカサくんは引き下がる。
ツカサ「っ……わかってる…」
ショウタ「はいよろしい。
ユウキちゃん、混乱してるとこ悪いけど仕事の時間だよ。
ついてきてくれる?」
ユウキ「え?え?」
不安げにツカサくんを見つめると、バツの悪そうに顔を反らしながらも、やがて観念したかのように肩をすくめ…。
ツカサ「…大丈夫、悪いことじゃない。
むしろ良いことだから…
一緒に行こう?」
ユウキ「分かった…」
二人について行くと、そこはまるでロボットアニメで出てくるような戦艦の中。
作業着姿の人々が慌ただしく右往左往する中、ツカサくん達に連れられ、発進口に向かう。
そこに、ゴワゴワしたファーのついた黒コートの男と白衣の男が待っていた。
「遅かったな、カマエル、サリエル、ツカサくん。
もうアキラくんがあらかたの準備をしてくれたぞ」
カマエル…自分を指しているのだろうか?
ツカサくんが苦い顔をしている。
ショウタ「ほんとに?サンキューアキラ!」
アキラ「まぁ、これくらいは当然ですよ。
…ユウキさん、どうされたんですか?」
ツカサくんを気にするように、アキラと呼ばれた男は私に声をかけてくる。
すると、ショウタくんがフォローを入れてくれる。
ショウタ「あー…あのさ、ちょーっと緊急事態発生中っていうか…」
「え?どうしたの?」
ショウタ「…ユウキちゃん、たぶん初期化してるぅ…」
「「……はぁ!?」」
大層驚く二人に、そんなに大事なのかと隣のツカサくんに聞いてみる。
ユウキ「あの…初期化って…?
なんか、何度も聞くんだけど…」
ツカサ「ユウちゃんは気にしなくてもいいよ〜」
ユウキ「は、はぁ…」
ツカサくんが言うなら、気にしなくてもいいのかもしれない。
アキラさんは相当戸惑っている様子だけど…。
アキラ「…え?初期化?まじ?
あー…いけっかなぁ…」
ショウタ「何?そんな大変な奴がいるの?」
アキラ「いや、至って普通の魔物の群れですけど…
最後のウェーブがちょーっと怖いかも…」
ツカサ「アキラさんでも怖いとかあるんだ?」
アキラ「流石に初期化は洒落にならんので…
所長、どうしますこれ?」
「うーむ、ここに来て初期化はたしかに痛いな…」
ツカサ「…でもユウちゃん、僕のことは分かるみたいなんです」
「え?それは本当か?」
ツカサ「それと、昨日は7月22日って言ってくれて…」
アキラ「それって…」
「…ともかく、今は目の前の処理を優先しよう。
すまない三剣 結城くん。混乱を重ねるところ恐縮だが、今から君には魔物の討伐をしてもらいたい」
ユウキ「まもののとうばつ…魔物の討伐ぅ!?」
「大丈夫、君には力がある。
彼と共にあの魔物を打破する力がね!
彼の武器となり、あの魔物を退治してほしい!」
ユウキ「えっと…彼?」
と示された、アキラと呼ばれていた男性を見る。
短髪の、メガネをかけた面長の男。
口調は丁寧だが、高身長で雰囲気がちょっと怖い…。
アキラ「…まさか一からの説明が、こんな早く来ることになろうとは…
私は多部 暁(タベ アキラ)、貴女のパートナーです。
不安なことはあるでしょうが、最大限努力させてもらいます。
よろしくお願いします」
ユウキ「はい…」
ツカサ「最大限努力、じゃなくて絶対生還、だろ!」
アキラさんを睨むツカサくん。
ずいぶん警戒しているようだ。いつも通りとはいえ、やけに突っかかっている感じがする…。
すると、ショウタさんが飛び込むように仲裁してくる。
ショウタ「まぁまぁまぁ、ツカサくん落ち着いて…
あ、ちなみにオレはツカサくんのパートナーね?」
ユウキ「ツカサくんは、一緒じゃないの?」
そう言うと、ツカサくんは困ったようにこちらに笑いかける。
ツカサ「…うん、ごめんね?
そういうことになってるから」
ユウキ「そっか…分かった」
離れ離れか、ちょっと寂しいな。
なんて思ったけど、これから魔物の討伐をさせられるなんて…。
一体、私達は何に巻き込まれているのだろう…?
でも、目の前には幼なじみで恋人な轟木 司(トドロキ ツカサ)はいる。
不思議な少年、ショウタと怖そうな男の人アキラと共に、ユウキはよく分からない何かに巻き込まれていく。
…そもそも、ユウキ自身が”人間”ではないことも知らずに…。
──それはプロローグ、始まりの話
・目を覚ました少女は記憶喪失…?
目の前にはフードを被った人。
顔はよく見えない。
その人は悲しそうに声をかける。
「いいんだね、もう…」
「…うん、約束でしたし。
むしろ、こんなワガママ聞いてくださり、ありがとうございます」
「…こちらこそ。
でも、逃げてくれても良かったんだよ?」
「ふふ、何を言ってるんですか。
ここから逃げる場所なんて、どこにもないのに…」
「…そう、だね…
そうしたのは、私だ…」
フードを被った人は、私の手を取る。
「…ごめんね、ありがとう…
おやすみ、三剣 結城くん」
─────────────────────
目を覚ます。
いつもの寝室、いつものリビング。
食卓には暖かな朝食が並べられている。
お母さん、作ってくれたんだ。
席について食事をする。
テレビを見ればそこには、魔物が映っていた。
「…え?」
気付けば、目の前に作業着姿の人々。
彼らも食事を取っているようだが、何故か違和感がある。
私のリビングは?寝室は?家は?
お母さんは?お父さんも居なかった…。
…そういえば、
お母さんとお父さんの顔は?
「ユウちゃん、どうしたのそんなところで」
顔を上げると、そこにはツカサくんがいた。
私の友達で、恋人。
今日は学校じゃないのかな?いつも私服の時につける筈の赤いベルトのチョーカーを首につけている。
ユウキ「あ、ツカサくん…」
ツカサ「…うん、ツカサだよ。
どうしたの、そんなキョトンとした顔をして」
首を傾げるその姿を、無性にわしゃわしゃと撫でたくなる。
ツカサくんなら喜んでくれそうだけど、今は他に人の目もあるからやめておこう。
それにしても、キョトンとしていた、か…。
ユウキ「してたかな…?
まぁ驚いてはいたかも…」
ツカサ「驚く?一体何に…」
「よ!朝からお熱いですな〜!」
ユウキ「ふにゃぁ!?」
背中を叩かれ、びっくりして振り返ると、透き通った白髪の少年がニヤニヤした顔で私達を見ている。
全身真っ白な男の子。
人間には見えないし、私は彼のことを知らない、でも彼は私を知っている様子だった。
その少年の頭を、ツカサくんが軽く叩く。
ツカサ「ショウタ、ユウちゃんを脅かすようなマネはやめて」
ショウタ「いって、なんだよスキンシップだろ〜?
あ、もしかして怖がらせちゃった?それならごめんね?」
ユウキ「いや、その…えっと…」
初めて見るその真っ白な、ショウタと呼ばれた少年に戸惑っていると、ずずいとショウタは私に顔を近づけてくる。
ショウタ「ん?オレの顔に何かついてる?」
ユウキ「えっと…どちら、さま…?」
ショウタ「………パードゥン?」
ユウキ「あの、どちらさまなのかなって…
あ、でもツカサくんの知り合い?」
ショウタ「…えー…ツカサくん、ちょと作戦会議」
私の様子を訝しんだのか、ショウタくんはコソコソ話をしたいらしく、ツカサくんの手を引こうとするけど…。
それを抵抗してツカサくんは私を見る。
ツカサ「いや、え…ちょっと待て…
ぼ、僕は?」
ユウキ「ツカサくん」
ツカサ「この人は?」
ユウキ「…?」
ツカサくんの指指すショウタくんを見て、首を傾げる私に、ショウタくんも首を傾げる。
ショウタ「いやいや、初期化…初期化かこれ?
にしたって、なんでテーブルで食事取ってるの?」
ユウキ「?
朝ご飯は食べないと?」
ショウタ「…どういう初期化?」
今度は90度に体ごと傾げていくショウタくん。
そんなに不思議なことかな…?と思っていると、今度はツカサくんが身を乗り出さんばかりに聞いてくる。
ツカサ「ユウちゃん!今…いや、昨日は何月の何日だった?」
ユウキ「えっと…7月22日?」
ツカサ「何年の?その日のこと覚えてる!?」
ユウキ「え、えぇ?」
たしかその日は……?
だめだ、靄がかかっているように記憶を探ることができない。
私が唸っていると、ショウタくんがツカサくんを諭すように話しかけてくる。
ショウタ「ツカサくん、聞きたいことが色々あるのはわかるけど畳み掛けすぎ。ユウキちゃん戸惑ってるよ。
それに…」
ビーッ!!ビーッ!!と、サイレンが突然鳴り響く。
ユウキ「な、なに!?」
ショウタ「朝の清掃のお時間でーす」
ツカサ「いや、それよりもユウちゃんの様子が!」
ショウタ「清掃はきちんとやりましょう?
お兄ちゃんとの約束、ね?」
ショウタくんに睨まれるツカサくん。
その姿は、その幼さからは想像もできない大人びた印象を持っていた。
それに気圧されたのか、はたまた本当に約束をしていたからか、ツカサくんは引き下がる。
ツカサ「っ……わかってる…」
ショウタ「はいよろしい。
ユウキちゃん、混乱してるとこ悪いけど仕事の時間だよ。
ついてきてくれる?」
ユウキ「え?え?」
不安げにツカサくんを見つめると、バツの悪そうに顔を反らしながらも、やがて観念したかのように肩をすくめ…。
ツカサ「…大丈夫、悪いことじゃない。
むしろ良いことだから…
一緒に行こう?」
ユウキ「分かった…」
二人について行くと、そこはまるでロボットアニメで出てくるような戦艦の中。
作業着姿の人々が慌ただしく右往左往する中、ツカサくん達に連れられ、発進口に向かう。
そこに、ゴワゴワしたファーのついた黒コートの男と白衣の男が待っていた。
「遅かったな、カマエル、サリエル、ツカサくん。
もうアキラくんがあらかたの準備をしてくれたぞ」
カマエル…自分を指しているのだろうか?
ツカサくんが苦い顔をしている。
ショウタ「ほんとに?サンキューアキラ!」
アキラ「まぁ、これくらいは当然ですよ。
…ユウキさん、どうされたんですか?」
ツカサくんを気にするように、アキラと呼ばれた男は私に声をかけてくる。
すると、ショウタくんがフォローを入れてくれる。
ショウタ「あー…あのさ、ちょーっと緊急事態発生中っていうか…」
「え?どうしたの?」
ショウタ「…ユウキちゃん、たぶん初期化してるぅ…」
「「……はぁ!?」」
大層驚く二人に、そんなに大事なのかと隣のツカサくんに聞いてみる。
ユウキ「あの…初期化って…?
なんか、何度も聞くんだけど…」
ツカサ「ユウちゃんは気にしなくてもいいよ〜」
ユウキ「は、はぁ…」
ツカサくんが言うなら、気にしなくてもいいのかもしれない。
アキラさんは相当戸惑っている様子だけど…。
アキラ「…え?初期化?まじ?
あー…いけっかなぁ…」
ショウタ「何?そんな大変な奴がいるの?」
アキラ「いや、至って普通の魔物の群れですけど…
最後のウェーブがちょーっと怖いかも…」
ツカサ「アキラさんでも怖いとかあるんだ?」
アキラ「流石に初期化は洒落にならんので…
所長、どうしますこれ?」
「うーむ、ここに来て初期化はたしかに痛いな…」
ツカサ「…でもユウちゃん、僕のことは分かるみたいなんです」
「え?それは本当か?」
ツカサ「それと、昨日は7月22日って言ってくれて…」
アキラ「それって…」
「…ともかく、今は目の前の処理を優先しよう。
すまない三剣 結城くん。混乱を重ねるところ恐縮だが、今から君には魔物の討伐をしてもらいたい」
ユウキ「まもののとうばつ…魔物の討伐ぅ!?」
「大丈夫、君には力がある。
彼と共にあの魔物を打破する力がね!
彼の武器となり、あの魔物を退治してほしい!」
ユウキ「えっと…彼?」
と示された、アキラと呼ばれていた男性を見る。
短髪の、メガネをかけた面長の男。
口調は丁寧だが、高身長で雰囲気がちょっと怖い…。
アキラ「…まさか一からの説明が、こんな早く来ることになろうとは…
私は多部 暁(タベ アキラ)、貴女のパートナーです。
不安なことはあるでしょうが、最大限努力させてもらいます。
よろしくお願いします」
ユウキ「はい…」
ツカサ「最大限努力、じゃなくて絶対生還、だろ!」
アキラさんを睨むツカサくん。
ずいぶん警戒しているようだ。いつも通りとはいえ、やけに突っかかっている感じがする…。
すると、ショウタさんが飛び込むように仲裁してくる。
ショウタ「まぁまぁまぁ、ツカサくん落ち着いて…
あ、ちなみにオレはツカサくんのパートナーね?」
ユウキ「ツカサくんは、一緒じゃないの?」
そう言うと、ツカサくんは困ったようにこちらに笑いかける。
ツカサ「…うん、ごめんね?
そういうことになってるから」
ユウキ「そっか…分かった」
離れ離れか、ちょっと寂しいな。
なんて思ったけど、これから魔物の討伐をさせられるなんて…。
一体、私達は何に巻き込まれているのだろう…?
