ウィングズ・ギルド
兄弟喧嘩も解決し、シズルが仲間になり、万々歳(?)なアヴァン。
時計台を昇り、エレットの言うその人に会いに行く。
シズル「へぇ、君たちもあいつに会いにね…」
アヴァン「なんだ、アンタ、ホントはそっちが目的だったのかよ…」
シズル「まぁね。
たまたま君たちが話してるのを見つけて、先回りした次第だよ」
エレット「……」
シズル「エレット、その冷ややかな目やめて、悪かったから…」
アヴァン「あはは…つか、そいつってどんな奴なんだ?」
エレット「ちょっと閉鎖的な人でね、色々あってボクとシズルは顔を会わせてくれるようになったけど、赤の他人には拒絶的で…」
アヴァン「ほう…そういう奴か。
分かった、俺はそいつと仲良くなればいいんだな!」
シズル「…一応忠告しとくけど、彼、簡単には落ちないよ?」
アヴァン「それくらい手強い方が、仲良くしがいがあるってな!」
時計塔の1番上、チクタクと鳴る時計の音が響く部屋に、かの青年─シュールはいた。
シュール「……」
アヴァン「ちーす!邪魔するぜー!!」
シュール「邪魔するなら帰れ」
アヴァン「あ、そりゃ失礼しました──って何でやねん!!」
ノリツッコミするアヴァンに、シュールはうっとおしそうに目を向ける。
シュール「……つか、アンタ誰だよ」
アヴァン「俺はアヴァン、ウィングズギルドのリーダーだ!」
シュール「ウィングズギルド…?」
アヴァン「あぁ!…つっても、今仲間集め、もとい勧誘の真っ最中でな」
シュール「なんだ……
で?その非公認ギルドがオレに何の用?」
アヴァン「ひこっ…今から名乗り上げんだよ!!
こいつ、閉鎖的というか生意気だな!!」
その言葉に、シュールは少しシワを寄せる。
シュール「…エレットの差金か……
アイツに何言われたか知らないけど、オレに関わるな、失せろ」
アヴァン「関わるのも失せるのも俺の勝手だろ?」
シュール「マジ失せてくださいお願いします(棒読」
アヴァン「懇切丁寧にお願いされた!?棒読みだけど!?
どんだけ嫌なんだよ…
まぁいいや、望み通り失せてやるよ。
だが……」
ヒュンッ、シュールの真横に、いつの間にか握られていた大剣が横切る。
シュール「っ!?」
アヴァン「お前が勝ったら、の話だけどな」
シュール「…アンタが勝ったら?」
アヴァン「ギルドに入れ!」
シュール「勧誘というか脅しだろ、それ…」
アヴァン「安心しろ。この手使ったの、お前だけだ」
シュール「なおさら安心できるか…
まぁいい、勝てばいいんだろ、勝てば」
と、シュールはその手にレイピアを召喚させる。
アヴァン「ニヒッ……そうこなくっちゃな!」
シュール「手加減は?」
アヴァン「なしに決まってんだろ!!」
キンっ!シュールはレイピアで大剣をはね飛ばし、間合いを取る。
アヴァンは見越していたかのようにくるりと回り、そのままその遠心力にのせて斬撃を放つ。
アヴァン「火炎斬!!」
シュール「っ、シルフィウィンド!」
飛んできた炎の斬撃はシュールの放った風の斬撃で打ち消される。
アヴァン「へっ、やっぱり愛剣の方が打ち込みやすいな!」
シュール「そんな大きな大剣振り回して斬撃とか、お前バカか?」
アヴァン「あぁ?なんでバカ呼ばわりされなきゃいけねぇんだよ!」
シュール「あぁ、アホ毛だから……アホか」
アヴァン「アホ毛じゃねーし関係ねぇだろうが!!」
アヴァンは大剣で切りかかる。
その動きを軽い身のこなしで交わす。
シュール「……遅い」
交わしきったところを蹴り飛ばし、アヴァンを怯ませる。
アヴァン「っ……こんのっ…」
シュール「シルフィウィンド……」
アヴァン「うおっ!?」
切り刻む風を大剣で受ける。
アヴァン「……っお前強いな!
ますます気に入った!」
シュール「なんなんだよ……こいつ」
アヴァン「ドラグニル…行くぞ」
ブワッと大剣に炎か渦巻く。
シュール「……その剣……そうか、ただの大剣って訳じゃなさそうだな」
アヴァン「おう!魔具換装ドラグニル、炎の加護を受けしどんな姿にも変わる武器だ!
今は俺に合わせて大剣になってもらってるがな!」
シュール「……そうか、あんたの剣、いや、そのバンクル、どこかで見たと思った。
あんた、霧の都に訪れたことがあるな?」
アヴァン「あ?……へぇ、なんだ?お前もか?
意外に冒険好きなんだな!お前」
シュール「……たまたま、あの地に入っただけだ」
カラン、とシュールは手に持っていたレイピアを投げ捨てる。
そして、風が手の上を渦巻き、その手から羽の生えた白と黒のレイピアが現れる。
シュール「エンジェレイピア……奴らはこれをそう言ったか……
オレに関わったこと、後悔させてやる」
アヴァン「何をそんなに嫌がってんだか知んねぇけど。
ますます仲間にしなきゃいけねぇよな!こいつは!」
シュール「…………はぁ、うざいんだよ……
デュアルブロウ!!」
カチンっ、エンジェレイピアは二つに割れ、風を纏った双剣がアヴァンに襲いかかる。
アヴァンはそれらを受け止め、押しのけるように振り上げる。
アヴァン「これで決めるぜ!牙龍炎斬!!」
吹き出した炎を振り下ろし、刃の斬撃がシュールを襲う。
それをもろに食らったシュールは膝をつく。
シュール「ぐぅっ…オレが、負けた…だと」
アヴァン「クーッ!あっぶねぇ!!
お前強いな!!」
シュール「……まぁ、本気じゃなかったし、別にいいか」
アヴァン「あぁ?なんだよ、手加減して負けたのかよお前」
シュール「そういうお前も、手加減なしとか言いながら全然手抜きじゃねぇか」
アヴァン「あれ?バレた?」
舌を出して笑うアヴァン。
シュールは溜息を吐く。
シュール「バレバレだ」
アヴァン「そっかー…じゃあ、今度手合わせする時は本気でな?」
と、アヴァンはシュールに手を差し出す。
シュール「…?」
意味の分からないとでもいうようなシュールの顔にアヴァンは呆れたように言う。
アヴァン「おいおい、俺が勝ったらなにするか、忘れたのか?」
シュール「……そうだったな。
……でも」
アヴァン「怖じけずいてたら、なんも始まらねぇよ、ほらっ」
シュール「うわっ!?」
シュールは半ば強引に外に連れ出される。
吹きすさぶ潮風、赤く燃える太陽は海に沈み、きれいなオレンジを放っていた。
シュール(すごい眩しい…けど)
アヴァン「スゲェ綺麗だな!!」
シュール「あ…」
アヴァン「あ?なんだよ…」
シュール「いや……」
(同じこと考えてたとか…)
アヴァン「にしても、こっから見る夕暮れはスゲェな!
やっぱ海はいいぜ!」
シュール「……ここなら、毎日こんな感じだぞ」
アヴァン「そうか!にひひ、良いこと聞いた!!
んじゃ、行こうぜ」
シュール「行くって、どこにだ?」
アヴァン「ギルド予定地、相棒が今探してるところだ」
シュール「今かよ、なにもかも行き当たりばったりか」
アヴァン「楽しけりゃ何でも良いんだよ!」
シュール「呆れた…だが、たまにはそれも良いかもな」
シュールは黄昏の空を見上げていた。
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時計台を昇り、エレットの言うその人に会いに行く。
シズル「へぇ、君たちもあいつに会いにね…」
アヴァン「なんだ、アンタ、ホントはそっちが目的だったのかよ…」
シズル「まぁね。
たまたま君たちが話してるのを見つけて、先回りした次第だよ」
エレット「……」
シズル「エレット、その冷ややかな目やめて、悪かったから…」
アヴァン「あはは…つか、そいつってどんな奴なんだ?」
エレット「ちょっと閉鎖的な人でね、色々あってボクとシズルは顔を会わせてくれるようになったけど、赤の他人には拒絶的で…」
アヴァン「ほう…そういう奴か。
分かった、俺はそいつと仲良くなればいいんだな!」
シズル「…一応忠告しとくけど、彼、簡単には落ちないよ?」
アヴァン「それくらい手強い方が、仲良くしがいがあるってな!」
時計塔の1番上、チクタクと鳴る時計の音が響く部屋に、かの青年─シュールはいた。
シュール「……」
アヴァン「ちーす!邪魔するぜー!!」
シュール「邪魔するなら帰れ」
アヴァン「あ、そりゃ失礼しました──って何でやねん!!」
ノリツッコミするアヴァンに、シュールはうっとおしそうに目を向ける。
シュール「……つか、アンタ誰だよ」
アヴァン「俺はアヴァン、ウィングズギルドのリーダーだ!」
シュール「ウィングズギルド…?」
アヴァン「あぁ!…つっても、今仲間集め、もとい勧誘の真っ最中でな」
シュール「なんだ……
で?その非公認ギルドがオレに何の用?」
アヴァン「ひこっ…今から名乗り上げんだよ!!
こいつ、閉鎖的というか生意気だな!!」
その言葉に、シュールは少しシワを寄せる。
シュール「…エレットの差金か……
アイツに何言われたか知らないけど、オレに関わるな、失せろ」
アヴァン「関わるのも失せるのも俺の勝手だろ?」
シュール「マジ失せてくださいお願いします(棒読」
アヴァン「懇切丁寧にお願いされた!?棒読みだけど!?
どんだけ嫌なんだよ…
まぁいいや、望み通り失せてやるよ。
だが……」
ヒュンッ、シュールの真横に、いつの間にか握られていた大剣が横切る。
シュール「っ!?」
アヴァン「お前が勝ったら、の話だけどな」
シュール「…アンタが勝ったら?」
アヴァン「ギルドに入れ!」
シュール「勧誘というか脅しだろ、それ…」
アヴァン「安心しろ。この手使ったの、お前だけだ」
シュール「なおさら安心できるか…
まぁいい、勝てばいいんだろ、勝てば」
と、シュールはその手にレイピアを召喚させる。
アヴァン「ニヒッ……そうこなくっちゃな!」
シュール「手加減は?」
アヴァン「なしに決まってんだろ!!」
キンっ!シュールはレイピアで大剣をはね飛ばし、間合いを取る。
アヴァンは見越していたかのようにくるりと回り、そのままその遠心力にのせて斬撃を放つ。
アヴァン「火炎斬!!」
シュール「っ、シルフィウィンド!」
飛んできた炎の斬撃はシュールの放った風の斬撃で打ち消される。
アヴァン「へっ、やっぱり愛剣の方が打ち込みやすいな!」
シュール「そんな大きな大剣振り回して斬撃とか、お前バカか?」
アヴァン「あぁ?なんでバカ呼ばわりされなきゃいけねぇんだよ!」
シュール「あぁ、アホ毛だから……アホか」
アヴァン「アホ毛じゃねーし関係ねぇだろうが!!」
アヴァンは大剣で切りかかる。
その動きを軽い身のこなしで交わす。
シュール「……遅い」
交わしきったところを蹴り飛ばし、アヴァンを怯ませる。
アヴァン「っ……こんのっ…」
シュール「シルフィウィンド……」
アヴァン「うおっ!?」
切り刻む風を大剣で受ける。
アヴァン「……っお前強いな!
ますます気に入った!」
シュール「なんなんだよ……こいつ」
アヴァン「ドラグニル…行くぞ」
ブワッと大剣に炎か渦巻く。
シュール「……その剣……そうか、ただの大剣って訳じゃなさそうだな」
アヴァン「おう!魔具換装ドラグニル、炎の加護を受けしどんな姿にも変わる武器だ!
今は俺に合わせて大剣になってもらってるがな!」
シュール「……そうか、あんたの剣、いや、そのバンクル、どこかで見たと思った。
あんた、霧の都に訪れたことがあるな?」
アヴァン「あ?……へぇ、なんだ?お前もか?
意外に冒険好きなんだな!お前」
シュール「……たまたま、あの地に入っただけだ」
カラン、とシュールは手に持っていたレイピアを投げ捨てる。
そして、風が手の上を渦巻き、その手から羽の生えた白と黒のレイピアが現れる。
シュール「エンジェレイピア……奴らはこれをそう言ったか……
オレに関わったこと、後悔させてやる」
アヴァン「何をそんなに嫌がってんだか知んねぇけど。
ますます仲間にしなきゃいけねぇよな!こいつは!」
シュール「…………はぁ、うざいんだよ……
デュアルブロウ!!」
カチンっ、エンジェレイピアは二つに割れ、風を纏った双剣がアヴァンに襲いかかる。
アヴァンはそれらを受け止め、押しのけるように振り上げる。
アヴァン「これで決めるぜ!牙龍炎斬!!」
吹き出した炎を振り下ろし、刃の斬撃がシュールを襲う。
それをもろに食らったシュールは膝をつく。
シュール「ぐぅっ…オレが、負けた…だと」
アヴァン「クーッ!あっぶねぇ!!
お前強いな!!」
シュール「……まぁ、本気じゃなかったし、別にいいか」
アヴァン「あぁ?なんだよ、手加減して負けたのかよお前」
シュール「そういうお前も、手加減なしとか言いながら全然手抜きじゃねぇか」
アヴァン「あれ?バレた?」
舌を出して笑うアヴァン。
シュールは溜息を吐く。
シュール「バレバレだ」
アヴァン「そっかー…じゃあ、今度手合わせする時は本気でな?」
と、アヴァンはシュールに手を差し出す。
シュール「…?」
意味の分からないとでもいうようなシュールの顔にアヴァンは呆れたように言う。
アヴァン「おいおい、俺が勝ったらなにするか、忘れたのか?」
シュール「……そうだったな。
……でも」
アヴァン「怖じけずいてたら、なんも始まらねぇよ、ほらっ」
シュール「うわっ!?」
シュールは半ば強引に外に連れ出される。
吹きすさぶ潮風、赤く燃える太陽は海に沈み、きれいなオレンジを放っていた。
シュール(すごい眩しい…けど)
アヴァン「スゲェ綺麗だな!!」
シュール「あ…」
アヴァン「あ?なんだよ…」
シュール「いや……」
(同じこと考えてたとか…)
アヴァン「にしても、こっから見る夕暮れはスゲェな!
やっぱ海はいいぜ!」
シュール「……ここなら、毎日こんな感じだぞ」
アヴァン「そうか!にひひ、良いこと聞いた!!
んじゃ、行こうぜ」
シュール「行くって、どこにだ?」
アヴァン「ギルド予定地、相棒が今探してるところだ」
シュール「今かよ、なにもかも行き当たりばったりか」
アヴァン「楽しけりゃ何でも良いんだよ!」
シュール「呆れた…だが、たまにはそれも良いかもな」
シュールは黄昏の空を見上げていた。
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