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ウィングズ・ギルド

エレットが紹介したい人がいると案内をしてくれたのは新時計台。
そこに、その人がいるらしいのだが…。

アヴァン「…なぁ、そこで仁王立ちしてる奴がそうか?」
エレット「いえ、知らない人です」

そっぽを向くエレットに、焦げ茶の青年─シズルは驚愕する。


シズル「知らない人とか、酷いよエレット!」
エレット「知りませんよ、あなたみたいなブラコン兄貴なんて」
アヴァン「知ってんじゃん、つか兄貴!?」
シズル「そうだ!俺はシズル・ノクターン!
 エレット・ノクターンの兄だ!!」
エレット「そういうことするから嫌いなんだよ、このバカ兄貴!!!」
シズル「ガーン!!」
アヴァン(なんだこの修羅場は…)
シズル「ふふふ……そうか、反抗期か…
 自分から自立しようと努力してるんだね、お兄ちゃん感動したよ…」
アヴァン(なんか感動し始めたぞ兄…)
シズル「だが、しかし!
 私はどこの馬の骨か知らぬ貴様に、我が弟を託すつもりはないぞ!」
アヴァン(なんか俺に飛び火した!?)
 「ちょ、お兄さんいきなり何を…」
シズル「貴様に兄と呼ばれる筋合いはなーいッ!!」
アヴァン「だーっ!こいつめんどくせーっ!!」
シズル「いざ尋常に、勝負!!」
アヴァン「超展開すぎてついていけねーよっ!!」
シズル「エレットに手を出したこと、後悔させてやる…」
アヴァン「俺は何もしてねぇし!!」

トンファーを構え、アヴァンに連撃を喰らわせる。
その動きはとても速く、アヴァンは鉄製の剣で避けるのが精一杯だ。

アヴァン(な、なんだよこいつ…!?)
シズル「どうした?もう終わりかい?
 たくっ、最近の若い奴らはホント、運動不足だね…」
アヴァン(運動不足とかそういう次元じゃねーだろ!!
 これ、本気出さないと、不味いかも…だがっ!!)

間合いを取ろうにも素早く詰め寄り、行動が取れない。

シズル「これで、終わりだよっ」

トンファーの刃が妖しく光り輝く。
そこから時空が歪むような魔力を感じる。

アヴァン(時空使いだと!?無理無理こんなの相手にできねぇ!!)

アヴァンは苦虫を噛んだ顔をし、防御体制に入る。
すると……


エレット「……兄さん」

バチッ……放電の音がエレットから響く。

シズル「え?」

振り返った刹那、
ドッシャーン!!
突然の雷鳴。
シズルとアヴァンの間に大きな抉り、焼き焦げた穴ができる。
 
アヴァン(っ…!?
 地面が抉れてる!?雷一発落としただけで…)
シズル「…え、エレット?」

明らかな怒りの反応に、シズルは戸惑う。
エレットは怒りの目でシズルをにらむ。

エレット「兄さん、いつもいつもボクの邪魔ばかり…
 もちろん、それが兄さんの優しさだということも知ってるよ?
 でも、ボクはもう子供じゃないんだよ?
 自分の事くらいしっかりできるし、将来だって考えてる!
 アヴァンについていこうと思ったのも、ボクの意思だ。
それを兄さん、止める気なの?ねぇ?違うよね!?」
シズル「……」
アヴァン(俺様茅の外~)
グリード(ソト~)

アヴァンとグリードは体育座りで二人の様子を見守っていた。

シズル「…そうだね、うん、心配性が過ぎたね。
 あはは、君の事が見えないと、とても不安になるのは僕の悪い所だね…」
エレット「…ボク、回りが見えてない時の兄さんは嫌いだけど、兄さんは好きだよ?
 だから、兄さんにはボクの事、見守っていてほしいな」
シズル「…あぁ、分かった。
 と、いうことでアヴァンくん」
アヴァン「あ、はい!?」
 (やべぇ、暇すぎてグリードとしりとりしてた)
シズル「俺もギルドに入らせてもらうから、よろしく」
アヴァン「え……あ、はい」
エレット「え!?兄さんも入るの!?」
シズル「僕には君を見守る義務があるからね。
 といっても、別の本業があるから付きっきりって訳じゃないけど」
エレット「やったー!」
アヴァン「ブラコン怖ぇ…」
グリード「アヴァン、どんぐりノ次ー!」

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