小話 第一章≫第二章

・新作レモネード
ジェード「…新メニューの考案?」

アズール「はい、スイさんにもぜひ、考えていただきたく…」

ジェード「いいけど…
 それ、おれにメリットあるんですか?」

アズール「そのメニューが売上一位となった暁には、売上の一割を進呈」

ジェード「……まぁいいや。
 でも、この世界とおれたちの世界の料理は結構似てますよ?
 だから、異世界の馴染みのない料理で客を釣ろうと思っていても、おれのアイデアは平々凡々に映るかと」

アズール「企みまでバレてましたか…
 あなたは素晴らしく勘が鋭いですね…本当に憎たらしい」

ジェード「褒め言葉として受け取っておきまーす。
 ……でも、そうだね…
 たぶん、この世界でもできそうな、そんでもっておれの得意なドリンクがあるんですけど…
 それでも教えましょうか?」

アズール「…平々凡々だとか言って断るのかと思いましたが、意外にノリノリですね」

ジェード「なに、特別なものじゃないです。
 どこかの世界では、もともと薬として出されていたドリンクですよ」


──────
エース「ジェード!
 モストロ・ラウンジにお前の考案した新作が出るんだって!?」

ジェード「…どうしてそれを…?」

エース「ケイト先輩が教えてくれた!」

デュース「なんか、めちゃくちゃそれを推しにしてマジカメで宣伝してたぞ」

ジェード「…これどちらかというとこれが狙いだったな…
 アズール先輩、何重にも策を練ってるなぁ…
 やはり恐ろしい人だ…」

ジュゼ「…何を教えたんだ?」

ジェード「ん?レモネード。
 あ、そういやこれ、もともとはリコリスさんのだったね…
 ごめんね、ジュゼに相談せずに教えちゃった…」

ジュゼ「んーん、いいよ…
 でも…うん、レモネード飲みたい…
 今夜行っていい?」

ジェード「いーよ!来てきて!」

グリム「やったー、夕食はモストロ・ラウンジだゾ!
 ツナパスタ食べるんだゾ!」


夕刻、モストロ・ラウンジにて。
ジュゼ、グリム、エース、デュースは新作のレモネードについて聞きつけて、遊びに来ていた。


アズール「いらっしゃいませ。
 早速お越しくださいましたね」

ジュゼ「ジェードがレモネードのレシピを教えたって聞いたらね」

エース「ジェードー!いるー?」

ジェイド「はーいー?」

エース「いやアンタじゃねぇよ!!」

デュース「そういや、ここにもいたな。
 こっちはジェイド・リーチ先輩だけど…」

グリム「呼ぶとき、わけわかんなくならないのか?」

ジェイド「ご心配なく。
 アルバイトに入る際に、その辺りはきちんと解決済みです」

フロイド「スイちゃーん、つーかーれーたー」

ジェード「それおれに言われても困りますって!
 あ、みんな、いらっしゃい!」

エース「お前、ここじゃスイって呼ばれてんのか?」

ジェード「まぁ先輩と被るからね」

デュース「どうしてスイなんだ?」

ジュゼ「…翡翠のスイかな?」

エース「んー?もしかして、目の色?」

ジェード「そう!おれの目は翡翠色!
 てか、ジェードって名前もそういう意味もあるからね」

デュース「なるほど…
 確かに、ジェードの目はキレイだからな」

ジェード「んー?口説いてるつもり?」

デュース「は!?そ、そんなわけ…」

ジュゼ「………」


ジュゼがジトーっとジェードを見つめる。
それを見てジェードはケラケラ笑う。


ジェード「あはは、ジュゼ怖い顔してる。
 ふふ、冗談だってば」

ジュゼ「むー…」

ジェード「もー今度は可愛い顔してくれるじゃん?」

ジュゼ「別に、してないし…」

アズール「こら、いちゃついていないで仕事なさい。給料減らしますよ」

ジェード「あは、怒られた。
 さて、ご注文をどうぞ」

グリム「ツナパスター!」

エース「お前、完全に見せつけられたな…
 オレ、例のレモネードとカルボナーラ!」

デュース「はぁ?…パエリア一つ」

ジュゼ「…オニオングラタンとレモネ──」

ジェード「あ、まって!
 ジュゼはレモネード頼んじゃだめ」

ジュゼ「は?」

アズール「ちょっと、お客様のオーダーを遮らないでください!」

ジェード「いや事情あるんですよ…
 エース、悪いけど一口だけジュゼにレモネードあげてもらってもいいかな?
 理由はすぐにわかるから」

エース「え?まぁ…いいけどよ」

ジュゼ「…?」


注文を終えしばらくの雑談の後。
ジェードが器用に注文商品を配膳してくれる。


ジェード「おまたせしましたー。
 カルボナーラ、パエリア、ツナパスタ、レモネードです。
 オニオングラタンはもうしばらくお待ち下さーい」

グリム「うひょー!相変わらず美味そうなんだゾー!」

エース「ほい、ジュゼ、レモネード」

ジュゼ「…いいの?」

エース「ジェードの言ってた理由、見てみたいからな!」

デュース「普通に、美味しそうなレモネードだけどな…」

ジュゼ「お言葉に甘えて…こく…ん、すっぱっ!!」

エース「え?酸っぱい?
 んー…普通じゃね?」

デュース「?僕もいいか?
 …普通だな」

ジュゼ「へ?なん…あ…」

ジェード「合点いったかな?ジュゼくん」

ジュゼ「これ、いつものだとみんなには甘過ぎるんだな…?」

ジェード「ご名答〜。
 はい、ジェードちゃん特製、ジュゼくん専用のレモネードだよ!」

ジュゼ「ん…いつもの美味しいレモネードだ」

エース「へー…なぁ一口…さんきゅ!
 って、あんまっ!?
 お前いっつもこんなの飲んでんの!?」

デュース「僕も…
 これは…角砂糖をそのまま食べた甘さだな…」

ジュゼ「え…そこまで言う…?」

アズール「やはりそうですか…
 最初レシピを見せられた時、僕も目を疑いましたからね…」

ジェード「そーそー、最初これ見せて満場一致で甘すぎるって言われてやっぱりー?って…
 その後普通のを提出したよね」

ジュゼ「ええ?俺、これが好きなのに…」

ジェード「大丈夫、寮でいっぱい作ってあげるからね♡」

ジュゼ「それならいいや…」

ジェイド「こうしてジュゼさんの来店が減るのでした」

アズール「ちょ、スイさん!
 身内を匿って来店回数減らすのやめてください!」

ジェード「言うてレモネードごときじゃ減らないですから…
 おれ、ここで働いてる限りは迎えに来るついでに食べてくれるんですし…」

ジュゼ「うん、普通に美味しいよ、ジェードの手料理の次に」

アズール「まぁ、それで素直に褒めてくれているのでしょうね。ありがとうございます」

エース「怒らないんだな」

アズール「おそらく…いや、絶対この方、スイと自分が中心に世界が回っているので…」

ジュゼ「ちがう、オルガも」

アズール「オルガさんは…知りませんね、誰ですそれ?」

ジェード「ジュゼのお兄さんでおれのお義兄さん。
 多分この世界には来てないかな」

ジュゼ「……ぐすっ…」

ジェード「あーよしよし、思い出しちゃったね。
 泣かないでー」

ジュゼ「うぅ…ごめん、これすぐ止めるからぁ…」

ジェード「ぇ、やば、ジュゼちゃんが泣くのやめようとしてる…
 やめなくていいんだよ?泣いていいんだよ?」

アズール「いや止めてくださいアンタバイト中だろ」

ジュゼ「ずっ…アズール先輩の言うとおり…
 バイト終わるまで我慢するから…」

ジェード「あー!早くバイト時間終わんねぇーかなー!!!」

アズール「露骨過ぎませんかあの人」

エース「互いで世界が回ってるやつは言うことが違ぇなぁ…」

デュース「ところでさっきの甘々レモネードは…?」

ジェード「おれの自腹。さっきこっそり先輩と交渉したのさ」

エース「やっぱな…」



ジェード「ちなむとさっきのジュゼの嫉妬。おれとデュースに向けてなんだよね〜」

エース「お前はともかく、デュースも?」

ジェード「なにデュースに色目使ってんだの嫉妬。
 ただのお戯れだっての、他意はないし〜」

デュース「そうだったのか?全然気づかなかった」

ジュゼ「…お手洗い行ってる間に何の話してんの…」


(ジュゼが普通に嫉妬で怒ることはめったに無いけど、ジェードの目についてはちょっと怒るかも。
 ジュゼにとって、彼の中で一番好きなところだし、実はあまり人にバレたくないし取られたくないと独占欲が働く。
 なお、ジュゼ本人は気づいてない模様。
 ジェードもそこまでは頭は回ってない)



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