小話 第一章≫第二章
・バイト
入学から1ヶ月ほど経った頃のこと…。
学園長室にて、ジェードは頭を下げてこう言い放つ。
ジェード「学園長…おれ、バイトがしたいです…」
クロウリー「…そんなにマドルに切羽詰まっているのですか…?
今も充分に与えているでしょうに」
ジェード「まぁそうなんですけど…
でも…金はいくらあっても欲しいものですし、なにより…」
クロウリー「…なにより?」
ジェード「ジュゼの為にお金貯めないと…
あの子が暮らしやすい環境をいち早く作らないと…
ジュゼくん、今もちょっとだけ我慢してるから、それから早く解放してあげたいっ!」
クロウリー「ですが、私からの仕事は全てやり尽くしてくださいましたし…
あ、そうです!よいアルバイトがありました!
貴方、飲食業などにご興味ありません?」
ジェード「…まぁ、バイト程度にならやったことはありますけど」
クロウリー「実はうちの寮の一つにモストロ・ラウンジという、寮生が行う飲食店があるのですが…
そこで働いてみますか?」
ジェード「へー、そんなのが…
いいですね、行かせてもらいます」
クロウリー「では、支配人に取り次いでおきますね。私優しいので」
数日後、モストロ・ラウンジの面接にジェードは向かう。
そこで、オクタヴィネルの寮長にして、モストロ・ラウンジの支配人であるアズール・アーシェングロットと顔合わせすることとなる。
アズール「ようこそモストロ・ラウンジへ。
貴方がアルバイトをしたいと仰っていた方ですね」
ジェード「ジェード・フレグラスです、よろしくお願いします」
アズール「……被りましたね」
ジェード「え?なにが…?」
すると、がちゃーんと無遠慮な扉の開く音と共に背の高い二人のそっくりな顔した寮生が入ってくる。
「やっほー!その子が新しいアルバイト?」
「おや、確か噂の魔法の使えない…」
ジェード「魔法は使えますぅ!
扱えないだけですぅ」
「それ同じじゃね?」
ジェード「全ッ然違うからっ!」
アズール「フロイド、ジェイド。
オンボロ寮の監督生に興味津々なのは分かりますが、あまり失礼をなさらないように」
先程の「被った」の一言。
アズールのが呼んだ一人の名前を聞いて、ジェードは納得がいく。
ジェード「あー…被ったってそういうことですか…」
フロイド「んー?どういうことー?」
分かってなさそうなフロイド。
ジェードは立ち上がり、ジェイドと呼ばれていたもう一人に向かって挨拶をする。
ジェード「はじめまして、ジェード・フレグラスですぅ」
ジェイド「あぁ…はじめまして、ジェイド・リーチと申します」
ジェイドも流れに気付き、恭しく挨拶を返す。
フロイドはそれを見て爆笑する。
フロイド「あ、あはは!ウケる!
ジェイドとジェードってほぼ一緒じゃん!!」
ジェイド「ですが困りましたね。
今は大丈夫ですが、仕事をする際にお呼びする時が…」
ジェード「ですよねー……んー…
あ、おれのこと、ここではスイって呼んでくれませんか?」
アズール「スイ、ですか?」
フロイド「スイちゃん?なんか泳いでて可愛いね」
ジェイド「スイ、スイ…ふふ…
失礼、では我々はあなたのことをスイさんと呼ばせていただきますね」
ジェード「いいよ!
………ところで、お給料は以下ほどです?」
アズール「貴方なかなかに話が早くて助かりますね。
そうですねぇ…
最初はこのくらいで、もちろん働きぶりによっては昇進もありますよ」
と、アズールは契約書をテーブルに置く。
ジェード「ほー〜ぉおー?おぉ?…………」
ジェードは契約書をマジマジと見つめ、思案し始める。
フロイド「…スイちゃん黙っちゃったね」
ジェイド「なにか、計算事でもしているのでしょうか?」
やがて、ジェードは顔を上げる。
ジェード「………アズールさん」
アズール「はい」
ジェード「とりあえず週5で入ってもよろしいでしょうか?」
アズール「!か、歓迎いたしますっ!!」
フロイド「やばww」
ジェイド「一体何がそんなによろしかったのでしょうか…?」
アズール「こら、ジェイド!
こほん…週5も入っていただけるのであれば、こちらも嬉しい限りです。
では、手続きを…」
契約を取り決め、制服の発注を行い、本日はお開きとなる。
ジュゼ「それで、バイト始めるんだ?」
ジェード「うん!今度の月曜日からね。
おれ特に部活とか入ってないし、ちょうど良くね?」
ジュゼ「今まで学園長の雑用係をやってたけどそれ全部、完璧にやり終えちゃったんだっけ?」
ジェード「いやぁ…これからジュゼが通う学び舎なんだと考えたら張り切ってしまいまして…
もージュゼくんの為だったら、おれなんでもでき──んぶ…じゅ、ジュゼ…?」
唐突に引き寄せられ、ギューッとジュゼが抱きしめてくる。
ジュゼ「………なに?」
ジェード「いやー君から熱烈なハグしてくれるなんて…
珍しいなぁ、と…」
ジュゼ「俺は、ジェードが心配だよ…
全部俺の為だって言って、無理してない?」
ジェード「っ…そ、そんなわけ…」
ジュゼ「お前は無理しすぎるところあるからな…
よしよし、いっぱい頑張ってるな」
ジェード「…ふぇ…うぅ…ジュゼ、ジュゼぇ…♡」
ジュゼ「よしよし…」
──────
ジェード「今日からよろしくお願いします!」
フロイド「よろしくースイちゃーん」
アズール「まずはジェイド、フロアの説明お願いしますね」
ジェイド「はい、おまかせください。
ではスイさん、こちらへ」
ジェード「はーい」
──────
アズール「…学園長の言ったとおり、読み込みが早いですね…
もううちの寮生と変わらないほどに仕事をなさっている…
初任給、もう少し上げても問題なさそうですね…」
ジュゼ「…ここ、かな…
ジェードの言ってた店って…」
アズール「いらっしゃいませ…
おや、あなた、スイ…ジェードさんの…」
ジュゼ「ジュゼ・フレグラスです。
ジェードは頑張っていますか?」
アズール「ええ、とても素晴らしい働きぶりですよ!」
ジュゼ「よかった…
この前の元気付けが効いたみたいだな」
アズール「?…彼、もしや無理をして…?」
ジュゼ「あいつ、本当はちょっと無理するところがありまして…
今は平気そうだけど、たまにガス抜きしてやらないとすぐ破裂しそうで…」
アズール「気丈に見えて意外に、ってやつですね。
肝に銘じておきます…」
ジェード「え、あれ!?
ジュゼ、なんでここに!?」
ジュゼ「仕事ぶりを見に来たんだ。
メニュー、見せてくれる?」
ジェード「よ、よろこんで!」
アズール「…ふふ、固定客が増えたようで、これはとても喜ばしいことですね…」
その後、ジェードとジュゼのいちゃつきを見にくる客まで増えて、アズールはもっと初任給を増やしたのだとか。
アズール「イグニハイド寮の方々も時々いらっしゃるようになって、あの二人本当に素晴らしいですね…」
イデア『見せもんにされている…
まぁ、本人たち自分の世界で気づいてなさそうっすね…
うちの寮のやつも珍しくおたくのラウンジに赴くなぁと思いましたけど…
あれは確かに一部の人は見に行きたくなりますなぁ…』
アズール「と、いうと?」
イデア『貴重なボーイズラブですよ、しかも公然で堂々と。
ま、拙者、興味は微塵もありませんが…』
アズール「オタクの世界、というやつですか…」
入学から1ヶ月ほど経った頃のこと…。
学園長室にて、ジェードは頭を下げてこう言い放つ。
ジェード「学園長…おれ、バイトがしたいです…」
クロウリー「…そんなにマドルに切羽詰まっているのですか…?
今も充分に与えているでしょうに」
ジェード「まぁそうなんですけど…
でも…金はいくらあっても欲しいものですし、なにより…」
クロウリー「…なにより?」
ジェード「ジュゼの為にお金貯めないと…
あの子が暮らしやすい環境をいち早く作らないと…
ジュゼくん、今もちょっとだけ我慢してるから、それから早く解放してあげたいっ!」
クロウリー「ですが、私からの仕事は全てやり尽くしてくださいましたし…
あ、そうです!よいアルバイトがありました!
貴方、飲食業などにご興味ありません?」
ジェード「…まぁ、バイト程度にならやったことはありますけど」
クロウリー「実はうちの寮の一つにモストロ・ラウンジという、寮生が行う飲食店があるのですが…
そこで働いてみますか?」
ジェード「へー、そんなのが…
いいですね、行かせてもらいます」
クロウリー「では、支配人に取り次いでおきますね。私優しいので」
数日後、モストロ・ラウンジの面接にジェードは向かう。
そこで、オクタヴィネルの寮長にして、モストロ・ラウンジの支配人であるアズール・アーシェングロットと顔合わせすることとなる。
アズール「ようこそモストロ・ラウンジへ。
貴方がアルバイトをしたいと仰っていた方ですね」
ジェード「ジェード・フレグラスです、よろしくお願いします」
アズール「……被りましたね」
ジェード「え?なにが…?」
すると、がちゃーんと無遠慮な扉の開く音と共に背の高い二人のそっくりな顔した寮生が入ってくる。
「やっほー!その子が新しいアルバイト?」
「おや、確か噂の魔法の使えない…」
ジェード「魔法は使えますぅ!
扱えないだけですぅ」
「それ同じじゃね?」
ジェード「全ッ然違うからっ!」
アズール「フロイド、ジェイド。
オンボロ寮の監督生に興味津々なのは分かりますが、あまり失礼をなさらないように」
先程の「被った」の一言。
アズールのが呼んだ一人の名前を聞いて、ジェードは納得がいく。
ジェード「あー…被ったってそういうことですか…」
フロイド「んー?どういうことー?」
分かってなさそうなフロイド。
ジェードは立ち上がり、ジェイドと呼ばれていたもう一人に向かって挨拶をする。
ジェード「はじめまして、ジェード・フレグラスですぅ」
ジェイド「あぁ…はじめまして、ジェイド・リーチと申します」
ジェイドも流れに気付き、恭しく挨拶を返す。
フロイドはそれを見て爆笑する。
フロイド「あ、あはは!ウケる!
ジェイドとジェードってほぼ一緒じゃん!!」
ジェイド「ですが困りましたね。
今は大丈夫ですが、仕事をする際にお呼びする時が…」
ジェード「ですよねー……んー…
あ、おれのこと、ここではスイって呼んでくれませんか?」
アズール「スイ、ですか?」
フロイド「スイちゃん?なんか泳いでて可愛いね」
ジェイド「スイ、スイ…ふふ…
失礼、では我々はあなたのことをスイさんと呼ばせていただきますね」
ジェード「いいよ!
………ところで、お給料は以下ほどです?」
アズール「貴方なかなかに話が早くて助かりますね。
そうですねぇ…
最初はこのくらいで、もちろん働きぶりによっては昇進もありますよ」
と、アズールは契約書をテーブルに置く。
ジェード「ほー〜ぉおー?おぉ?…………」
ジェードは契約書をマジマジと見つめ、思案し始める。
フロイド「…スイちゃん黙っちゃったね」
ジェイド「なにか、計算事でもしているのでしょうか?」
やがて、ジェードは顔を上げる。
ジェード「………アズールさん」
アズール「はい」
ジェード「とりあえず週5で入ってもよろしいでしょうか?」
アズール「!か、歓迎いたしますっ!!」
フロイド「やばww」
ジェイド「一体何がそんなによろしかったのでしょうか…?」
アズール「こら、ジェイド!
こほん…週5も入っていただけるのであれば、こちらも嬉しい限りです。
では、手続きを…」
契約を取り決め、制服の発注を行い、本日はお開きとなる。
ジュゼ「それで、バイト始めるんだ?」
ジェード「うん!今度の月曜日からね。
おれ特に部活とか入ってないし、ちょうど良くね?」
ジュゼ「今まで学園長の雑用係をやってたけどそれ全部、完璧にやり終えちゃったんだっけ?」
ジェード「いやぁ…これからジュゼが通う学び舎なんだと考えたら張り切ってしまいまして…
もージュゼくんの為だったら、おれなんでもでき──んぶ…じゅ、ジュゼ…?」
唐突に引き寄せられ、ギューッとジュゼが抱きしめてくる。
ジュゼ「………なに?」
ジェード「いやー君から熱烈なハグしてくれるなんて…
珍しいなぁ、と…」
ジュゼ「俺は、ジェードが心配だよ…
全部俺の為だって言って、無理してない?」
ジェード「っ…そ、そんなわけ…」
ジュゼ「お前は無理しすぎるところあるからな…
よしよし、いっぱい頑張ってるな」
ジェード「…ふぇ…うぅ…ジュゼ、ジュゼぇ…♡」
ジュゼ「よしよし…」
──────
ジェード「今日からよろしくお願いします!」
フロイド「よろしくースイちゃーん」
アズール「まずはジェイド、フロアの説明お願いしますね」
ジェイド「はい、おまかせください。
ではスイさん、こちらへ」
ジェード「はーい」
──────
アズール「…学園長の言ったとおり、読み込みが早いですね…
もううちの寮生と変わらないほどに仕事をなさっている…
初任給、もう少し上げても問題なさそうですね…」
ジュゼ「…ここ、かな…
ジェードの言ってた店って…」
アズール「いらっしゃいませ…
おや、あなた、スイ…ジェードさんの…」
ジュゼ「ジュゼ・フレグラスです。
ジェードは頑張っていますか?」
アズール「ええ、とても素晴らしい働きぶりですよ!」
ジュゼ「よかった…
この前の元気付けが効いたみたいだな」
アズール「?…彼、もしや無理をして…?」
ジュゼ「あいつ、本当はちょっと無理するところがありまして…
今は平気そうだけど、たまにガス抜きしてやらないとすぐ破裂しそうで…」
アズール「気丈に見えて意外に、ってやつですね。
肝に銘じておきます…」
ジェード「え、あれ!?
ジュゼ、なんでここに!?」
ジュゼ「仕事ぶりを見に来たんだ。
メニュー、見せてくれる?」
ジェード「よ、よろこんで!」
アズール「…ふふ、固定客が増えたようで、これはとても喜ばしいことですね…」
その後、ジェードとジュゼのいちゃつきを見にくる客まで増えて、アズールはもっと初任給を増やしたのだとか。
アズール「イグニハイド寮の方々も時々いらっしゃるようになって、あの二人本当に素晴らしいですね…」
イデア『見せもんにされている…
まぁ、本人たち自分の世界で気づいてなさそうっすね…
うちの寮のやつも珍しくおたくのラウンジに赴くなぁと思いましたけど…
あれは確かに一部の人は見に行きたくなりますなぁ…』
アズール「と、いうと?」
イデア『貴重なボーイズラブですよ、しかも公然で堂々と。
ま、拙者、興味は微塵もありませんが…』
アズール「オタクの世界、というやつですか…」
