第一章:真紅の暴君

・何でもない日のやり直しパーティ
数日後のバラの庭園にて…。


ジェード「結局、おれの服またスカートかよ!」

ケイト「フレアなだけでズックは履いてるって…」


自分の衣装に不満不平を漏らすジェード。
そんな様子のジェードにジュゼは魔法の一言で機嫌を取り戻させる。


ジュゼ「かわいいよ、ジェード」

ジェード「……許す!」

ケイト「あは、面白いね君たち」

ジュゼ「あ、ケイト先輩。この前のスマホの件、ありがとうございます」

ケイト「うんうん、いいよぉ。
 俺もマジカメ仲間が増えて嬉しい限りだから〜」

ジェード「ほぼ強制的に入れたくせに…
 まぁ、これのおかげでみんなと連絡とりやすくなったから、いいんですけど」

ジュゼ「ジェードもスマホ以外にいいこと聞いたくせに」

ジェード「ジュゼ、あの話はしないの〜」


ジェードに注意されてジュゼはそっと口を抑える。
そんな二人を見てくすくす笑うケイト。
なぜこの三人が仲良くなっているのかは、また別のお話である。


トレイ「よ、みんな揃ってるな」

グリム「にゃはー!ケーキにタルト、クッキーもあるゾ!」

エース「いっぱいあるからってあんま食いすぎんなよ?」

ジェード「何でもない日おめでと〜!さて、今日の主役は?」

トレイ「これから来るよ」


トレイが目配せした先に、いつものとおりにリドル寮長が現れる。


「我らがリーダー!赤き支配者!
 リドル寮長のおなーりー!」

「「「リドル寮長、バンザーイ!」」」


リドル寮長はいつもどおり、『何でもない日』のパーティーの飾りを見回っていく。


リドル「うん、庭の薔薇は赤く、テーブルクロスは白。
 完璧な『なんでもない日』だね。
 ティーポットの中に眠りネズミは…って、いや…居なくてもいいか」

トレイ「そんな急に変えなくたっていいさ。
 ジャムはネズミの鼻に塗らなくったって、スコーンに塗ればいい。
 絶対ないとダメ、じゃなくて、あったっていい、にしていけばいいだろ?」

リドル「うん、そうだね」

エース「…で、寮長の詫びタルト、ちゃぁんと、用意してくれたんっすよね?」


ニヤニヤ笑いながらいたずらめいた顔で寄ってくるエース。
リドルはそれを一瞥し、照れ臭そうに指を指す。


リドル「も、もちろん…
 これ、僕の作った苺のタルト。
 ジェードからもらったレシピを見て、完璧に作ったからね。
 ジェードのレシピはとてもわかり易かった。グラムまできっちり書かれていたからね」

ジェード「ふふ〜ん、お役に立てて何よりだよ〜」

デュース「グラムまで…そんなに事細かに書いていたのか」

ジェード「うちにはデータをしっかり書かないと怒る理系がいますので」

ジュゼ「それ、誰のことかな?」

ジェード「誰のことでしょうねー?」

グリム「絶対ジュゼのことなんだゾ……」


そんなコントをはさみつつ、トレイによってリドルの作った苺のタルトが切り分けられ、エースたちの前に並べられる。


リドル「…さぁ、召し上がれ」

エース「へへーん、じゃあ早速…
 いただきまーす、はむ…
 …ぶっふ!?しょっぱい!?」


一口食べて、甘い味がすると思ってら塩味。
思わず吹き出すエースにリドルもレシピ提供をしたジェードも目を丸くする。


ジェード「えぇ!?なんでさぁ!?
 砂糖と塩間違えでもした?」

リドル「そんな、材料もちゃんと確認したし、レシピはちゃんと読み込んで…あっ!」

ジェード「あ?あってなに!?」

リドル「もしかして…オイスターソースを入れたから?」

ジェード「リードールーさーん?
 隠し味とか、ちょい足しとか、レシピに書いてないことは初心者がやることじゃありません!!
 そもそも誰だそんなこと言ったやつ!!!」

リドル「…トレイ…」

ジェード「ぉおおおおい!!!!」


見事なキレ芸を見せるジェードに、トレイは唖然としつつもクスクスと盛大に笑い出す。


トレイ「…プッ、あはは!
 まさかあの冗談を真に受けて、ほんとに入れる奴がいたなんてw…あははは!!!」

リドル「え、じょ、冗談だったの!?
 …あは、あはは、そうだね。馬鹿だな、ボク…あはははっ」


それを見てリドルも笑いだし、みんなも笑い始める。


エース「はぁ……でも、しょっぱいタルトってなんか新鮮じゃね?
 むしろ、これも何かクセになってて美味しいかも?」

デュース「マジで言ってんのか?」

ケイト「あむ、あー…これもこれでなんかありかもー」

デュース「ダイヤモンド先輩まで!?」

ジュゼ「俺は…なんか違うかも」

デュース「ジュゼはいつも通りだった…」

ジェード「そもそもジュゼ、甘党だから合わないでしょ」

トレイ「まぁ、ジュゼにはドゥードゥル・スートが必要そうだが、ケイトには必要ないかもな?
 お前、甘いもの嫌いだもんな」


ジュゼの器に魔法を掛けながら、トレイがそんな軽口を叩く。
その言葉にケイトは驚く。


ケイト「え?…トレイくん、なんで知ってんの…?
 ジェードちゃんたち言ってないよね!?」

ジェード「ケイト先輩言ってほしくなさそうだったから言ってないよ…
 そもそもそんなタイミングここまでなかったし」

ジュゼ「おなじく…もしかして、前から知ってた?」

トレイ「あぁ。でも、言う必要もなかったし」

ケイト「はぁ…トレイ、君そういうところだよ?」

トレイ「え?どういうことだ?」


リドルは自分で作った苺のタルトを食べる。
甘さとは程遠いしょっぱいタルト。
明らかに失敗作のタルトだ。


リドル「…ふふ、甘くないタルト。これも悪くないね…ふふふ」

ジェード「…リドルくん、君にはちゃんと怒ってくれる後輩も見守ってくれる先輩もいる。
 君はちゃんと一人じゃないよ」

リドル「うん」

ジェード「だからね、君は君の世界を守れるように、これからを知っていこうね」

リドル「…うん、わかったよジェード。
 ありがとう」

ジェード「…どういたしまして」


ニコニコ笑い合うジェードとリドル。
その様子を見て、ジュゼは微笑ましく笑う。


ジュゼ「…ふふ」

グリム「ふな?ジュゼ、何笑ってるんだ?」

ジュゼ「んー?…ジェードがああやって誰かに寄り添ってあげてる姿を見て、なんだか嬉しくなってね」

エース「嬉しいんだ?嫉妬じゃなくて?」

ジュゼ「嫉妬?ジェードがああして仲良くしているところを見るほど微笑ましいものはないだろ?」

エース「アンタ、意外に放任主義?」

ジュゼ「ジェードのいろんな一面が見たいだけだよ。
 俺に向けてばっかじゃなくて、他人と触れ合うあの子が…」

エース「ふーん…お熱いこって」

グリム「にゃっはー!腹がはち切れるまでごちそうを食ってやるのだー!
 『なんでもない日』バンザーイ!」

ジュゼ「夕飯はちゃんとあるから程々にね〜」

グリム「じゃあ夕飯が入る程度にいっぱい食べるんだゾ!」


こうして賑やかな『何でもない日』のパーティーは、お開きになるまで続くのであった。


──To Be Continued…
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