第一章:真紅の暴君

・一件落着?
すごく暖かい。
抱き締められている。
目を開ければ、金色の蜂蜜のような髪が飛び込んでくる。
ジュゼの心配そうな琥珀の瞳と目が合う。


ジェード「……ジュゼ…」

ジュゼ「!…目が覚めた?
 いきなり気絶するから驚いたよ…」

ジェード「ごめん、仕様把握足りてなかった…
 リドルの深層心理を覗いてたみたい」

ジュゼ「深層心理…心の中を…?
 あの何か、は霊獣だったのかな…?
 霊獣が化身に攻撃してたようだけど、その攻撃のはずみで心が繋がったのか?」

ジェード「そんなとこ…と、リドルは?」

ジュゼ「…そこにいるよ」


先導された先に、倒れたリドルを抱えるトレイ。
そして、ハーツラビュルの寮生たち。
同じくして、リドルも目を覚ましたようだ。


リドル「ぅ…ボクは…一体…」

トレイ「リドル、目を覚ましたんだな…」

ケイト「…はぁ、一時はどうなるかと思った!」

リドル「…みんな…その、ごめんなさい」

デュース「ローズハート寮長が、謝った!?」

リドル「ボク、みんなにすごく悪いことをしてた…
 ホントはもっとみんなと仲良くなりたかったのに…
 ぐす…ごめんなさい…ごめんなさい…っ!」

ケイト「うっそ…あのリドルが、ギャン泣きしてる」


泣きじゃくるリドルに、エースがそっと近づいてくる。


エース「オレ、寮長が今までの行動を謝ってくれたら言おうと思ってたことがあんスけど……
 ゴメン、の一言で済むわけねーだろ!
 絶ッッ対許してやらねぇーーー!!!!」

皆「「「「「えええええええ!?!?!?」」」」」

ケイト「この空気でそれ言う!?
 リドルくんが謝って、エースちゃんも仕方ないなーで、めちゃくちゃいい話で終わるところじゃん!?」

エース「ったりめーだ!こっちは散々コケにされたわけだし?
 せっかく苦労して作った手作りマロンタルトを捨てられたわけだし?
 涙ながらに謝られたくらいじゃ、許せねぇーなぁ」

ジェード「うわ…ここでその言い草は心強いよ…
 さすがのおれもドン引きだわ…」

リドル「そんな…じゃあ、どうすれば…」


おろおろと、どうやって許してもらえばと悩むリドルに、エースがぶっきらぼうに言い放つ。


エース「…オレ、しばらくは誕生日じゃないんだよね…
 だから、“なんでもない日”のパーティーのリベンジを要求する!」

リドル「え…」

エース「オレ、ちゃんとパーティーに参加できてねーし。
 そんで、お前が駄目にしたマロンタルトの代わり、一人でタルト作ってこい。
 あ、トレイ先輩に頼るのなしで!自分で苦労しろ!
 そしたら、許してやらないことも、ない。
 いい?わかった?」

リドル「うん…わかった…
 …料理、したことないけど…」

ジュゼ「え、そうなの?」

ジェード「あぁ、あの母なら料理はさせてくれないか…
 んー…エースくん、レシピ本の支援物資はよろしいかな?」

エース「え?まぁ、そんくらいなら」


ジェードがてててとリドルの前に座り、顔を合わせる。


リドル「ジェード…?」

ジェード「レシピくらいは教えてあげるよ。
 それなら初心者なリドルくんでもうまくタルトが作れると思うよ、ね!」

リドル「あ、ありがとう、ジェード」


ニカッと笑うジェードに、控えめにぎこちなくリドルは笑った。



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