第一章:真紅の暴君

・回想:リドルの過去
彼は生まれた時から母から様々な教育を受けていた。
分刻みのスケジュール、食べるものも決められ、寝る時間も読む本も何もかも…。
きっと不思議に思わなかったのだろう…。
あの日が来るまでは…。


二人の少年が遊びに来た。
彼の唯一の自由時間にこっそり抜け出して…。
楽しく友達と遊ぶ彼の姿。
あぁ、やっぱり彼も幼い子どもなんだなって思った。
けど、そんな幸せもつかの間で、彼は時間も忘れて少年に誘われ、いちごのタルトを食べた。
母はそれはもう怒りに怒った。
それ以来、彼の教育はなおさら厳しいものになったそうだ。
いつになったら、彼の母は彼を許してくれるのだろうか…。


リドル「どんなルールに従えば…ボクは…」

ジェード「…そうやって、君は許されるのを待つだけなのかい?」

リドル「うわ!?
 …君、なんでこんなところに…」

ジェード「なんでだろうね。
 霊獣の力が君の深層心理に干渉してるのかもしれないね。
 それで、君はそうしてて自分の希望は叶ったかい?」

リドル「それは…」

ジェード「君の心を見させてもらったよ。
 君の母親はろくでもない人だよ。
 自分の子供を自分のお人形としか考えてない」

リドル「そんなことは!…ない…はず」

ジェード「もー、君が母親庇わなくてどうすんのっ!
 おれにはそりゃ虐待だな…としか思わなかったけど、確かにあれは彼女なりの愛情だよ。
 もちろん、接し方を大いに間違えているのは変わりないけど」

リドル「っ…」

ジェード「でも、君は今どこにいる?
 ナイトレイブンカレッジ、君の家ではないだろう?
 ここでも厳格にルールを守るリドルくんにならなくてもいいんじゃないかな?
 あと、ルールを守らせたいなら、ユニーク魔法なんか使っちゃだめだよ。
 エースの拳、痛かったでしょ?
 君はユニーク魔法でそれをずっとしてきたんだよ。
 魔法を人に向けるのは、暴力と変わらない。
 暴君と言われても仕方ないね」

リドル「暴力と、変わらない…」

ジェード「なぜこんなルールがあるのか、なぜ守る必要があるのか、それを教えてあげなきゃ、誰もルールを守ろうなんて思わないよ。
 まぁ、確かに"『何でもない日』のパーティーにマロンタルトを持ち込まない"は理不尽極まりないなとは思ってたけどね…」

リドル「ボク…ホントはマロンタルト、食べたかった…
 あんなルール、本当は意味なんてないんだ…」

ジェード「…ありゃ、否定しちゃうのね」

リドル「レモネードだって、いつだって飲んでもいい。
 薔薇の色だって白だっていいし、フラミンゴもピンクでいい。
 ハートの女王はとても尊敬している。
 でもやっぱり、どうしてこんなルールを作ったのか分からないんだ。理解できない」

ジェード「うん、そうか」

リドル「ボクは、本当はたくさんお友達が欲しかった、それなのに…
 ボクは、間違っていたんだ…」

ジェード「…間違いを認めることは罪じゃない。
 むしろ、とても大切なことなんだ。
 それに今からでも遅くはないよ。
 これまでのことを反省して、みんなに寄り添える寮長になろう。
 ね、リドル?」

リドル「…うんっ!」



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